概要
〝異形〟を擁す少年少女が境界線上の神域で手繰る、呪いと祈りのその顛末
鄙びたその地にましませる聖き御山のふもとには、東と西に分たれたる対の小国が根付いている。
東領の領主の血を継ぐ瞠(みはれ)は、『獣返りの子』と呼ばれる異形である。
たとえ一族の姫として遇されようとも、人並外れたその容貌ゆえに、俗世に在ることはもはや望めなかった。
ゆえに数え十五にして、古くより『異相』を身に宿す者たちが参るのだと伝わる領境の神域の門をたたいたが――しかしそのような身の上の者は、当代、ひとりのみならず。
かくして御山の神域『境の坂井』で、獣返りの名で厭われる、少年と少女はあいまみえることとなる。
稔り招きの霊狐を思わせる人の子ならざる異相の色彩、あるいは咲き乱れる花を纏った鹿の角を頭上に戴く異様のかたち。
――異質なものと称されるいびつを抱えこんだふたりが、境界線上で手繰
東領の領主の血を継ぐ瞠(みはれ)は、『獣返りの子』と呼ばれる異形である。
たとえ一族の姫として遇されようとも、人並外れたその容貌ゆえに、俗世に在ることはもはや望めなかった。
ゆえに数え十五にして、古くより『異相』を身に宿す者たちが参るのだと伝わる領境の神域の門をたたいたが――しかしそのような身の上の者は、当代、ひとりのみならず。
かくして御山の神域『境の坂井』で、獣返りの名で厭われる、少年と少女はあいまみえることとなる。
稔り招きの霊狐を思わせる人の子ならざる異相の色彩、あるいは咲き乱れる花を纏った鹿の角を頭上に戴く異様のかたち。
――異質なものと称されるいびつを抱えこんだふたりが、境界線上で手繰