なにげない日常もネタの宝庫。あなたの体験談が、コミックエッセイに――!?カクヨムコン新設賞インタビューVol.2

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なにげない日常もネタの宝庫。あなたの体験談が、コミックエッセイに――!?
第7回カクヨムWeb小説コンテスト 注目の新設賞!
第2弾 短編賞 実話・エッセイ・体験談部門篇 コミックエッセイ編集者鼎談



昨年の応募総数が15,000作品に迫り、受賞作はなんと108作品!          (※大賞、特別賞、CW漫画賞、短編賞、佳作などすべて含む)

いまや名実ともに日本最大の小説新人賞となったカクヨムWeb小説コンテスト、通称カクヨムコンが、今年も12月1日(水)から始まります!!

賞金総額600万円、受賞者はKADOKAWAからの作家デビューの道がひらけるこの豪華コンテストですが、今年はさらに新設賞、上乗せ特典、新規選考参加編集部など、見逃せない新趣向を、盛りだくさんご用意しています!!

でも、小説なんて書いたことないし、書ける気もしない……
そんなあなたに朗報です!
カクヨムコンには、1万字以下の短編賞があり、さらに今年から、コミックエッセイとしてコミカライズを目指す「実話・エッセイ・体験談部門」が加わりました。

何も特別なことをしなくても、ちょっとものの見方を変えるだけで、周りの面白エピソード、目先の変わった体験談、日常にふと感じるモヤモヤが、コミックエッセイに変わります。

自分ではそうと気づかないだけで、誰しも、”ネタ”の宝庫を持っているはず。今回、この部門の選考に参加するKADOKAWA社内3部署の編集者も、日々、コミックエッセイの開拓と編集にいそしんでいます。それぞれのレーベルの持ち味や編集方針、エッセイ執筆のうえでの目のつけどころなど、様々なアドバイスをもらってきました。
ぜひご参考になさって、カクヨムコン応募への意欲を燃やしていただけたら幸いです。

コミックエッセイ編集者鼎談

――このたびは、カクヨムコンの新設部門の選考に加わってくださり、ありがとうございます。それぞれの部署で、コミックエッセイをつくっていらっしゃいますが、まずは、編集部のご紹介をお願いできますか?

編集Y コミックエッセイ編集部では、作者の体験をベース(またはモデル)にしたエッセイ漫画を刊行しています。また最近では、エッセイに創作要素を半分混ぜた「セミフィクション」と呼ばれる作品や、SNSで活躍する作家さんの作品なども多くなってきていますね。

編集N コミックNewtypeという、全作品が無料で読めるWebコミック配信サイトで漫画編集をしています。良い作品をお届けするべく、スタッフひとりひとりが漫画家さんとガッチリとタッグを組んで漫画づくりに向き合っています。

編集H わたしが所属する新規コンテンツ開発課は、コミックスや実用、読み物などを作っている部署です。紙書籍ではないボーンデジタルのかたちでも、女性向けコミックエッセイを中心に積極的に刊行しています。

――なるほど。ひとくちにコミックエッセイといっても、社内のいろんな編集部が、さまざまな切り口でコミカライズを企画しているんですね! いま、編集部での売れ筋や話題作には、どんな作品があるんですか?

編集Y いわゆる創作コミックと比べて、コミックエッセイは絵柄がシンプルだったり、日常の中の人間関係や出来事、飼い猫・飼い犬などをテーマにしていたりと、読者の共感度が高い作品が多いのが特徴ですね。
最近では、『夜は猫といっしょ』『ねことじいちゃん』『うちの猫がまた変なことしてる。』など、猫ジャンルで特にヒット作がたくさん出ています。
またセミフィクション作品である『消えたママ友』は手塚治虫文化賞短編賞を受賞しました。ツイッター発の『メンタル強め美女白川さん』も発売直後から大反響を呼び大ヒット中です。

編集N コミックNewtype編集部として、このエッセイジャンルはこれからのチャレンジになります。ストーリー漫画でいえば、破天荒で魅力的なグルメコミックとして5月の連載開始直後から話題を呼んだ『鍋で弾丸を受けながら』は、原作者の実体験をベースにしていて、エッセイ要素があるかもしれません。また、『とある科学の心理掌握』も「とある」シリーズの最新作の名に恥じないクオリティで人気です。過去には『世話やきキツネの仙狐さん』『女子高生の無駄づかい』『真夜中のオカルト公務員』がアニメ化・ドラマ化された他、各賞を受賞した『メタモルフォーゼの縁側』の実写映画化も決定しています。

編集H 新規コンテンツ開発課で手がけている作品は、夫婦の問題、ママ友の話、職場の人間関係など、女性向けの内容が中心ですね。ボーンデジタルの分野でも、ぜひ大ヒットを出したい!と意気込んでいます。

――今回、編集部のみなさんが、カクヨムコンの「実話・エッセイ・体験談部門」にこんな作品が応募されてきたら嬉しいな、というような具体的なオーダーがあれば、聞かせてください!

編集H 王道ですが、新規コンテンツ開発課では、やはり夫婦の問題(浮気、子育て、義母、モラハラなど)、ママ友の人間関係、職場の人間関係など、ちょっとドロっとした、人とのリアルな関係性に着目した作品を読みたいですね。

編集N 方向性こそ異なりますが、コミックNewtypeが求めているのも、「共感」と「意外性」に富んだ作品です。「共感」はテーマやキャラクターへの興味や感情移入、「意外性」はそれらの持続に繋がります。「共感」は「リアリティ」と言い換えることも可能ですが、これが「意外性」とセットになると、その作品は読者に新たな視点や気付きを提供できるようになるんじゃないかな、と。

編集Y コミックエッセイ編集部としては、日常の中に潜んでいる、ちょっとした非日常を追体験できるような作品の応募がくると嬉しいですね。たとえば、めずらしい職業、巻き込まれてしまった事件、友人知人には言いづらい過去の経験など、「他人の人生を覗き見」できるような作品を読んでみたいです。必ずしも自身の体験でなくてもかまいません。身近な友人のこと、学生時代のこと、家族のことなど、視点を少し変えれば、面白い・興味深い・怖いエピソードは日常にたくさん潜んでいると思います。

編集N そう、ネタは案外近くに落ちているものですよね。あなたが「みんな知っていることだよね」と思い込んでいても、他の人にとっては実は初めて目にする新鮮なことかもしれません!

――通常のストーリー漫画とは、いずれも違う手法や着眼点ですよね。コミックエッセイ化されやすい作品、特徴みたいな共通項ってあるんでしょうか?

編集Y ストーリー漫画と違い、起承転結やキャラクター設定などを作り込む必要はありません。むしろ、読者が自分の身近に感じられるような人や出来事のほうがコミックエッセイ化されやすい傾向があります。

編集H 確かに。そのうえで、自分自身がその体験を通じてどんな葛藤を感じ、どんな成長をしたかという内面の変化までしっかり描きこめると、さらに理想的ですよね。

編集Y そうなんです。コミックエッセイは、かなりシリアスな体験やエピソードでも、シンプルな絵柄と表現で読みやすく描けるという特徴があります。個人的なコンプレックスから昨今の社会問題にまつわるものまで、たとえネガティブな内容であっても、そこにリアルな「人生」や「生活」があれば、なんでもコミックエッセイになります。

編集N 応募者のかたには、ぜひ書店に行ってコミックエッセイの棚を眺めてみていただきたいですね。そこには、幅広い層が興味を持ってくれるテーマを描いた作品がずらっと並んでいるはずです。ただ、すでにたくさんの作品がリリースされているということは、ライバルが先行しているという意味でもある。あなたが書こうと思っているものが誰も書いていないものか、あるいはみんなが興味を持っていそうなテーマが自分のなかに眠っていないか、探ってみるとヒントになるんじゃないでしょうか。

――なるほど! 必ずしも奇をてらう必要はない、ということですね。もし、先行例としてこんなコミックが参考になるよ、という具体的なベンチマークがあれば是非おススメください!

編集Y そうですね、たとえば、

‣ママ友の失踪から浮かび上がる人間関係の闇を描いた『消えたママ友』
‣破天荒で常識離れした母親を描いた『プリンセスお母さん』
‣高校時代の精神科病院入院という凄絶な体験を描いた『高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで』
‣覗き見したい職業経験を誠実に描いた『メンズエステ嬢の居場所はこの社会にありますか?』

あたりは、参考にしていただきやすい作品ではないかと思います。

編集H うんうん、どの作品も面白いですよね!うちの編集部からですと、

‣ワンオペの家事育児を夫に協力してほしくても、自分に収入がないばかりにしんどさを抱えている妻の『夫の扶養からぬけだしたい』
‣夫の浮気の証拠をタブレットで見つけてしまった妻の復讐を描く『娘が初めて「ママ」と呼んだのは、夫の不倫相手でした』

等の作品も共感力満載で、特に女性のかたには是非おススメです♪

――最後に、応募者に向けた、編集部からのメッセージをひとことお願いします。

編集N コミックエッセイというと衣食住にちなんだものが多いですが、人生にはそれ以外の要素もふんだんに散りばめられています。そして誰も同じ人生を歩んでいない以上、あなただけの経験というものがあるはずです。そして、それは他の誰かに楽しんでもらえるものかもしれません。あなたの中に眠る原石を見つけて、磨いてみてください!

編集Y 誰にでも人にはなかなか言いづらい経験、心のうちに秘めている感情やコンプレックスがあると思います。特別な体験でなくても、見方を変えると自分の日常のなかにモヤモヤしたものが必ず潜んでいるはずです。誰かにこっそり打ち明けるような気持ちで、ぜひそうしたエピソードをご応募いただけると嬉しいです。

編集H 皆さんの作品を楽しみにお待ちしています!

――本日は貴重なアドバイスの数々をありがとうございました!!

今後も、カクヨム運営は、社内のさまざまな部署と連携しながら、第7回のWeb小説コンテストを盛り上げていければと思っております。ユーザーのみなさま、ぜひ奮ってご応募くださいね。

次回、第3弾はホラー部門の選考にかかわる文芸編集部のインタビューをお届け予定です!どうぞお楽しみに。

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