第10話



鍵と枷――――――――――――――――


神秘的な黄金の鍵―――――――――――


棘を翳した輪の枷―――――――――――





二人の正体は何者だろうか。




「何者か。」


「はじめまして。私はチェリッシュ。」


「はじめまして。僕はラヴィッシュ。」


チェリッシュ………

ラヴィッシュ………


『もしかすると…双子だろうか…』




「「私達はある意味、鍵と枷。」」


チェリッシュが伝う。


「私達は、とっても似ている。だけどちがうの…。」


ラヴィッシュが伝う。


「僕達は、とっても仲良しだよ。なんでだと思う…?」


「それは何故だ。」


身構えた。



それはね………



「「お兄ちゃんと戦う為に、いつも一緒に、力を合わせてきたんだもん…!!」」


来た。


迅速で飛び掛かってきた。

身軽とはやりやすいな…。


目を瞑り開眼。片眼帯に、閃光が走る。


シャボン玉状の弧を剣で描く。

バブル状の泡射包を激砲する事が可能。


「「うわぁっ !?」」


シャボン玉の中に閉じ込めた。


「暫くおとなしくしているんだぞ。」


そのすきにカイシェルを抱き上げて空中硝子ブランコの奥へ進んで行った。


「「あはは、なにこれおもしろーい ! 」」


シャボン玉の中でぽよぽよ弾け遊ぶ二人。





⦅何をしているのですか⦆


「あっ、この声は……――――――――」


「しっ…!黙ってラヴィッシュ。怒られちゃうよ…!」


二人だけに聞こえる謎の声。謎の声主の正体は、優しくて鮮明な声色の持ち主。何者だろうか。チェリッシュとラヴィッシュの主だろうか。兎に角………――――――――――


ルイの繰り出したシャボン玉はどうすれば弾けるのだろうか。声主の主は厳しく二人を叱り付けた。


⦅ルイは賢明な御方ね。貴方達、二人は暫くその中で反省を遂げなさい。⦆


「「はーい。」」


⦅………ルイ。チェリッシュとラヴィッシュを侮ってはなりません。次送る私の従者を相手に、貴方は自分探しの旅の氷山の一角を練り越えられるでしょうか。私は願いを掛けています。ルイならば、きっと…。⦆


「あれぇ? 誰かまた来るよー…。」


「主様、通信を切りますー…。」


チェリッシュとラヴィッシュの目の前に現

訪れたのは…やはり追ってきたか古今東西ストーカー桁違い(ハンター) ノッカー&ピッキーだ。


ノッカーとピッキーは、砂利草を散らしながらバキバキ拳を鳴らす。それはそれはおっかないワル二人組。


「あーん。腕がなるわぁー。」


「来るぞ。」


パンッ と、ルイのシャボン結界を決壊し蒙スピードで真正面からぶつかりに来た。


二人は相槌を打ち右と左に別れる。

左ノッカー、右ピッキー。

ピッキーに豪快にぶつかって来たのがチェリッシュだ。ピッキーはあまりの気迫に少々ビクついたが慌ててナイフを取り出した。相手のチャームオブハートアタックを回避してナイフで首元をスライドした。


「…痛あぁい、お姉ちゃーん。」


「急所は外してあげたのよ、感謝おし。」


「チェリッシュ可愛いいでしょ?許して?」


「言っとくけど私あっちの方が断然好み。」


バンッ と、銃口を放って

次あっち。


隣は男っ子二人同士仲良くやっているようだ。

何せ、ラヴィッシュは捕獲の力を繰り返す。

「捕まえてやる捕まえてやる捕まえてやる――――――――!」

ジタバタジタバジタバタ足蹴りを放つが足のリーチが短い。ノッカーは、グワシッ…と、ラヴィッシュの頭を掴む。


「聞くが、宝石の涙は何処へ行った?」


「知らないもーん。」


「答えるんだ。」


ジャキッ…と、銃口を額に向ける押し付けた。


「う、うぅ… !! チェリッシュ、助けてぇ…!!」


チェリッシュが発狂した。


「お兄ちゃん…酷い…私の方がラヴィッシュのことは凄く愛情深いのに…!」


「ミッション終えたら素顔に帰る。そしたら今度は本当に、遊ぼうな。」


バンッ…


銃口を弾いて髪の毛を掠めた。

ラヴィッシュはビックリしてその場に座りこみました。






「こ、来ないでぇ…!」

「助けてぇ…!」

チェリッシュ&ラヴィッシュは、薔薇蕾の中に身を隠してしまいました。


「教えてくれ。姉弟。宝石の涙は何処へ行ったんだ?」


ノッカーは、これはミッションなんだと割り切って考え、銃口を姉弟に翳す。




「し……知らないもーん…!」


「な、ないもーん…!」


「お兄さんは怒るぞ……………………。」


「ほーら !……ノッカーあのこ達のこと可愛いいでしょう? 道を通してくれただけも、もう良いでしょう?ねっ…?ノッカー。」


……………。


「……行くぞ。」


「はいよーし !」





ノッカーとピッキーは踵を返し振り返ることなく薔薇道の中を進んで行きました。

微かな優しさを残して。


「うぅ…ひっく…うぐ………………? う…… なにこれ。可愛い小瓶。」

「それ……治癒薬だよ、お姉ちゃん ! 」


ノッカーは蹴られた処が、微妙に痛い上にあたたかく感じる為ちょっと、儚い笑味でした。

二人は、ルイ達に追いつくのだろうか。

そして、もう独りの存在を忘れていないだろうか。




「だぁああああ ! あの二人組は何やってるんですか遅いですよぉぉぉ ! 」

シュゴカラですよね…。


終わり














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