第16話
ルイティア達は辿り着いた『涙の神殿』
此処がルイティアの故郷。薔薇園を通して
森湖蛍光、湖の中にあっただなんて。ここまで来て約総13人。
ルイティアは自分の部屋の中に居た。お休みの様だ。無理もない。
旅先の果てに我が母に出逢えたのだから。
我が母――――――………
「………母さん。」
父さんは、何処へ。
母さん…
俺は……これからどうすればいい。
御話したいことは。
天の山に達する程あるんだ。
ルイティアは部屋の壁に寄りかかり。
窓の外の止まない雨を見つめていた。
雨――――――…………
ふと、ルイティアは嘆いた。
『……空が…泣いている……』
「泣いているのは、貴方よ。」
!
カイシェルが居た。
いつのまに。
扉を開けて―――――………
「――――……… 何用だ。」
「……ルイが…泣いているかと…思って……」
沈黙
ルイは窓の外を見てる。
虚ろな瞳で。
その目はまるで灰色に錆びている。
カイシェルは、ただ、じっと。
立ちすくんだまま。
逃げないでルイティアを見つめている。
――――――――……………。
先に口を開いたのは、
カイシェル。
「泣きたいのなら、泣いてくださいな、ルイ…。」
「…。」
カイシェルは言葉を与え続ける
「お母さんに、逢えて、どう想いました……ルイ?」
想いを伝え 心の怪我を治癒するかのように
「御母さん…とても安堵しておりましたわ。……ルイは?
…… 御父さんにも、お逢いしたいでしょうに?」
素早く口を切ったルイ。
「母が雨、父が大地、……どうしろと?」
「…そ…それは…っ…」
「抱き締めたい。」
どうやって
「…父まだ見ぬ父も、出逢えた母も、自然界の異人だろうが、『その姿は人型』 まるで、ギリシャ神話の物語の様だな………。
………何が神秘。馬鹿馬鹿しい。」
「ルイ…!」
「俺は…!」
¨バンッ¨
カイシェルに、壁に強く、叩いた。
¨ビクッ…!!¨ カイシェルはすむ。
「俺は……俺は……。」
「―――――………。」
二人のなんなのだ。
人間と違って、生まれ方も、愛し方も、始まりも、形も、全部ちがう―――――………。
「ただ、本当は、逢って、抱き締めてやりたいんだ。」
「そ、それなら素直に……ッ…」
「駄目なのだ… ! 俺は意味不明な宝石の涙なのだ…!故にかろうじて人型ではあるが、解らん……解らんのだ……何かが受け入れたくない……『自分の形態がオゾマシイ』
自分が…ムナシイ。――――………」
生理的なその言葉を吐いてはならない。
絶対に。
否定してはならない。
母さんと出逢えた。
それだけでも、よかった、本当に。
しかし…
「見ろ。カイ。今も俺の母さん達が空から舞い降りてきているぞ。
笑え。笑うんだ―――――――…………!」
「 ルイ !!! 」
「貴様も俺の事が気持ちわ…」
¨パンッ¨
「……ルイを愛しておりますわ !!!」
両手で一発喝を入れられたルイシェルはハッとしたのか口許に手を当てて我に還った。そしてその両手はカイシェル。両手で彼の頬を優しく包み込むとギュッと抱き締めた――…
「私は自分の事が好きなのは、貴方様の事が好きだから、いっしょなのですわ。」
「―――――。」
「例え、生まれた型が違くとも。」
「…果たしてそうだろうかな」
「本当ですわ。だって私はクレプシドラ。
ルイを盗んだの私カイシェルですもの。」
「何が伝いたい。」
「気持ちよいの
ルイとこうしてると。」
抱いた腕を緩めないカイシェル。
ルイティアは言葉の『気持ち』の下りでビクッ…としたが、カイシェルの指先がルイティアの瞳の粒子を拭きとった。
小さな雫だ。
その瞬間、ボタボタ地に涙が溢れ落ちた。
ボタボタ ボタボタ
ずっと溜まっていた水が溢れだしてしまいました。
止まらない。
止まらない。
誰か、この感情が止まらない。
「……人間ですわ。私も。貴方も。
その感情が心の理想郷ならば浄化しなければなりませんわ。
理想なんて紛い物、人それぞれ、生まれも故郷も育ち方も、宇宙の奇跡の様ですわ。
私達は、ある意味汚くて当然です。
血を被って泣いて生まれてきた子供達だったのですから。
ルイも―――………。」
「――――――カイ……。」
「――明日は晴れますわ――」
「――――――もう、晴れ上がっている。」
笑顔と伝う名の。
空の明け涙。
ルイティアも ぎゅっ と
抱き返した。
―――――――――――――――……………
―――――――――………………
――――――……………
終わり
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