第15話




この人は誰なのだろうか


涙の神殿


ターコイズブルー色の城


クリスタルで作られているのか


宝石の城。そんな感じがする。


キラキラ輝いてダイヤモンドの様だ





―涙の神殿・ルイの誕生―


「何者だ。」


ルイティアは剣を身構えた。


「ルイ…!いけませんわ…!

この方は何かを感じますわ。」


「…っ」


ルイは、むぅ……少し唸ると、目を鋭利にし、シャープに睨んだ。目の前の、謎のベールに包まれた女性を…。


「私の名前はレウディファスト。この、涙の神殿を守っている、涙を司る女王です。」


レウディファスト


「あの時、シュゴカラが伝っていた者か。」


「まぁ。シュゴカラをご存知で?」


「――――――………まぁ、な。」


あの時シュゴカラがどういった意味で

『おまえには解らない 』と伝えたわれた

のか。本当にカイシェルを思っているのか。

いびつだが、しかたあるまい…。


「シュゴカラは私の配下。通り名を風の鳳凰。言わば、エンジェルです。」


エンジェル


「シュゴカラが天使だと…。」

「…。」

カイシェルは黙ったままだ。


レウディファスト様は早速話しに入った。


「―――…それでは、なんでも私に聞いてください。私は涙を司る神殿の主。なんなりと、ルイ。」


ポカン…と、ルイ特有の目をパチクリ。


「…嘘だ。」


まさか…こんなにも早く、辿り着く事が、

できるかなんて思いもよらなかったのだ。

ここは涙の神殿。ルイが旅先で探していた。

『自分探しの旅』を 終わらせることはできるのだろうか。


「ずっと、ずっと、知りたかったのでしょう?自分の事を。私を信じて、ルイ。」


ルイは、意を決した。


「…信じる。」


深く頷き、カイシェルと顔を見合わせた。

そして――――――――………


「…ひとつ聞きたい。」

「何でしょう。」


「……宝石の涙を生んだ両親について知りたい。」


レウディファスト様は透明な瞳をキラキラ輝かしてルイの瞳の奥をじっと見つめた。

ルイは固唾を飲み込みその静粛さに周りも息を飲んだ―――――――――――……………





「お母さんは私です。」




全員が目を見開いて、え…? とした表情をザワつかせた。

そして、ルイティア本人が、あまりの唐突の言葉に、意識が朦朧とした。


お母さん―――――――――――…………?





「……かあ…さん…?」

「はい。」




大丈夫か?


気は、確かか?


「ははっ、まぁルイ、人生未知なる境遇の壁にぶつかれば、誰だって現実逃避したくなるさ。」


「……絶句……。貴方マジでレウディファスト様のお子さんだったわけ……? ふーん。」


「ル…ルイ…ッ」


カイシェルが、心配そうにルイティアの容態を覗き込む。

驚いたのは、ルイティアだけじゃない、カイシェルもだ。


「…。」


「…。」



沈黙。

沈黙を破って先に口を開いたのは、レウディファスト様。


「私の、本当の名前を教えますね。どうか受け入れてください、ルイ―――――……。」


今までのは偽名か。

偽名なのは防御装。

身を守るための仮面。

その仮面が、今、解き放たれた―――――。






「母なる雨、セイレイン」





セイレイン





「………。」


「………。」


セイレイン。その名の通り『雨』の様に――――――――……………

『大地』のガイアンドと結ばれ誕生した子

――――――――……………

空の涙から生まれた『涙の子』とは

ルイティアの事です。

そうゆう意味です。






その言葉を聞いて誰もが懐かしい響きを思い出す―――――――――――――……………






独り、モノケノカラを、残して―――……………





静粛を切ったのはユーモア高な青年

彼はこんな時でもユーモア。

名前を。エグゼロス

「まさに自然界の奇跡だねぇ。ガイアと結ばれた生まれた子供ルイティア。

うーん。ファンタスティック…!」



微睡んでいるが真摯に教えてあげようとする二人。妖艶なこの子も。

名前を、チャームヴィーナス

「他に知りたいことはないかしら………?」





では、宝石の涙とはいったい何―――――?





「待て。」

ルイティアは声を発した。


「……ルイティア?」


沈黙


「――――――――……独りになりたい。今日はもう、休ませてくれ。」


ルイティアは手を口に当て金属マスクをしているにも気にせずにエアで受け止めた。

生理的にアレで涙が滲んだ。その潤い霞んだ瞳に大粒の涙が―――――――――…………


「ルイ、ルイティア… !」


ルイティアは涙の神殿へ歩いた

言わば実家に籠り応接間を潜り抜くと

懐かしい自分の部屋に帰りました

そして、長かった長い旅路の疲れを今はただ、体を休めることに、したのでした


旅は終わらない――――――――…………

終わってしまえば自分も終わる――――…

生きる動力とは夢や希望だけでない――…

今、自分が息ができるのは『皆』と伝う―


心配してくれる大事な人達が此処に居てくれるからだ






………………記憶が還りました………………


終わり

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