第2話
この物語はルイティアとカイシェル、二人が出逢った日の、思い出でした。
あれは、1年前のある日の事だーーーーー。
その仮面の下は泣いていた。
本当は傷ついて泣いていた。
いつもニコニコ笑ったふり。
その仮面の下はボロボロだ。
-冬-
雪の降るある日の事でした。
僕は泣かない。
僕は、強いんだ。
僕は、男の子だ。
ママ、パパ、置いてかないで。
見えないよ………。
光が、見えないよ。
僕の、光は、どこ?
「…っ」
朝だ…………………
ベッドの上だった。
城内は静かだ。
音ひとつ無い、静粛な朝。
「…まるで白昼夢だな。」
はぁ……と、深いため息混じりに愚痴を溢す奪還剣士ルイティアであった。
-涙城-
「おはようございます涙王様。」
「ルイよ…夜更かしも程程にするんじゃぞ。」
「ヴ…はい。」
紺碧の城。
水で作られた涙の円珠。
キラキラ輝く 太陽を通して。
まるで宝石の結晶の様です。
ここに、独りの青年の剣士¨ルイティア¨が居りました。
まだ、涙王様から見れば、青い若い、まだまだいける。
今年で19歳になる男。
期待に溢れる我が国の宝。
その実力は確かなものだ。
「なに…?ルイよ、主は笑顔をまだ知らんのか。」
「はい…?」
笑顔。
「笑顔を知ると、その呪文は解けるぞよ。」
…笑顔を知ることで呪文が解ける…
「…さようです、か。」
納得いくか。
ルイティアの家は涙の結晶体
涙が宝石に成ると伝う。
ありえない話しだが。
本当だ。
「涙が枯れそうだ………。」
どんだけ狩られてきてんの。
たくさん言いたい所だが、早速ミッション。
「クレプシドラを捕えて欲しい。」
…クレプシドラか。
やっていることは、涙狩りの連中と変わりないが、な。
やるか。
ルイティアは涙城門外へ出向かうと騎乗し着いた。
居た。
あの子か。
物陰に隠れてルイは剣を身構える。
タイミング……
少し、鼓動が鳴る。
水井戸を組む可憐な女性まだ14.15の歳頃か
ローブを身に纏っているが、あの青い瞳が良く見える。潤々した溢れそうな瞳。綺麗だ。
ルイは片眼帯だがより集中力が高くゆり観えるのだ………。
そして
女性は水井戸からバケツに水を伝う、流れる時……。
捕えた。
ルイのオッドアイが光る…!
「!」
次の瞬間ーーー。
頭上、徘徊したビルの天頭から弓使いがピンポイントで狙いを定めているではないか。
「危うい…!」
ハッ…と、とっさにクレプシドラを庇いに飛び出したルイはスッ転んだ。
間髪入れずその1ミリ持たない矢文を剣の先端で跳ね返しました。
「な、なに…!?なにが、起きたの…!?」
「気にするな。」
相手の弓使いは、チッと舌打ちをして、消え去りました。
ルイはクレプシドラを見やる。
矢文が地面にメリ込んでいた。
ルイは紙を手に取り読む。
それはそれは、頭を抱えたくなるような……
「あ、あの。」
「…なんだ。」
「貴方は、いったい、…何者、でしょうか…………。」
「…ルイだ。ルイティア。」
と突っ返してビラをクレプシドラに見せる。
恐る恐る、クレプシドラは矢文を見た……。
『天国ならば、信じますか?』
『地獄は恐いですか?』
『行き先により、継ぎへ繋がる物語が選ばれる。よって、僕が連れていってあげます………!』
クレプシドラは驚きました。
「…大丈夫か。」
「…う、うぅ。」
涙かれてしまった………。
こうもなってしまっては…………なんと言うか。
項垂れそうになったが、仕方あるまい………だろう?
「……この流れに逆らう事はあるまい。」
「……ッ あ、ありがとぅ。私、カイシェルよ。カイ。」
カイ…。 正に殻に閉じ籠ったような…
籠り貝だな…
「頼むから、カイシェル。」
「?」
グワシっと、カイシェルの肩を掴んだ。
「…いくな。(敵者元に)」
「…はぁ。」
ここに
堅物な剣士ルイティア
クレプシドラのカイシェル
森の井戸水の自然界 木漏れ日の花畑
ふたりが初めて出逢った思い出の
エピソードでしたとさ。
先ず旅道を行けば、道のりは、意外にもまったりでした。
疲れたら、休みを取り…
時には天国と地獄は嘘か偽りかを話したり…
カイシェルの奥さん居ますか発言に、ルイが先読んで居ないわと、カッカして恥じいたり…
ちょっと赤面したり
なんだか可愛い二人だったり
あれ?
いつの間にか
なんだろうか
この気持ちは………もしかして
「春じゃのう、ふぉっふぉっふぉっ。」
「…さようです、か。」
ムスッとなってるルイに、涙王様は、約束どうりご褒美を、ルイティアにプレゼントしました。
その御褒美は…
ババーンッ
「…はい?」
「クレプシドラならぬ、カイシェルを授けよう…!ふぉっふぉっふぉっ」
ルイティアは笑顔で剣を抜き取り、ストーンと涙王様にブッけた。
大丈夫、柄は外してないから。
「恥知らずがァッ!!」
「す、すまぬ、我が愛しのルイよっ…!」
そんなルイが赤らんで、咆哮を叫ぶと、カイシェルがビクッと肩を竦めた。
カイシェルは¨キュン¨が止まらない。
「ルイ…!」
「ま、まぁ、なんだろうな。……ゴホッ。… テラ怒畜生だ。はにかむ……が、あり、あり、あ………」
ありありあ?
「ルイ………?」
カイシェルが、凄く青い瞳を輝かせて期待の眼差しを光らせている!
…………っ下がれねぇだろ。
「ありがとう。」
ルイの火照る横顔を見つめカイシェルはパァッと笑顔が光溢れた…!
「愛していますわ…! ルイティア… ! 我が君、お救いを承けたまわりし、ありがたき、この涙…ルイティアの為に…!」
「む?あ、あぁ…ゴホンッ…! (生きてて良かった(焦)」
ルイが残した言葉は[出逢いの切っ掛けとは、自分で作ってしまっちゃえばいい。]
殻に籠ったシェルターなんざ、彼の、ルイティアの豪拳でピンポイント一発だ。
そんな、豪拳が、今宵一夜限りだけ、
優しい掌に包まれたカイシェルは癒されたのでした。
-月夜の空 煉瓦街の屋根の上-
「…IT'S SHOWTIME…」
この子は、遠くを覗き見るような感じで煉瓦の街並みの天に立つ。
そして…
「宝石の涙も、涙狩りの連中も、いい加減にしなさいとこの僕は告げているのです…
必ず、双方和解させてみせます。
それが、僕、シュゴカラの役柄デスっ…!」
終わり
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