第2話

この物語はルイティアとカイシェル、二人が出逢った日の、思い出でした。


あれは、1年前のある日の事だーーーーー。






その仮面の下は泣いていた。


本当は傷ついて泣いていた。


いつもニコニコ笑ったふり。


その仮面の下はボロボロだ。






-冬-


雪の降るある日のこと。


僕は泣かない。


僕は、強いんだ。


僕は、男の子だ。


ママ、パパ、置いてかないで。





見えないよ………。


光が、見えないよ。


僕の、光は、どこ?











「…っ」


朝だ…………………


ベッドの上だった。


城内は静かだ。


音ひとつ無い、静粛な朝。



「…まるで白昼夢だな。」


はぁ……と、深いため息混じりに愚痴を溢す奪還剣士ルイティアであった。





-涙城-


「おはようございます涙王様。」


「ルイよ…夜更かしも程程にするんじゃぞ。」


「ヴ…はい。」



紺碧の城。


水で作られた涙の円珠。


キラキラ輝く 太陽を通して。


まるで宝石の結晶の様です。






ここに、独りの青年の剣士¨ルイティア¨が居りました。


まだ、涙王様から見れば青い若いまだまだいける。


今年で18歳になる男。


期待に溢れる我が国の宝。


その実力は確かなものだ。




「なに…?ルイよ、主は笑顔をまだしらんのか。」


「はい…?」


笑顔。


「笑顔を知ると、その呪文は解けるぞよ。」





…笑顔を知ることで呪文が解ける…





「…作用です、か。」






納得いくか。

ルイティアの家は涙の結晶体

涙が宝石に成ると伝う。

ありえない話しだが。

本当だ。





「涙が枯れそうだ………」






どんだけ狩られてきてんの。





言いたい所だが早速ミッション。





「クレプシドラを捕えて欲しい。」




…。クレプシドラか。




やっていることは、涙狩りの連中と一緒だが、な。




やるか。




ルイティアは涙門外へ出向かうと騎乗し着いた。



居た。

あいつだ。





物陰に隠れてルイは剣を身構える。

タイミング……

少し、鼓動が鳴る





目先には水井戸を組む、可憐な女性。

ローブを身につけているが、その青い瞳がよく見える。




片眼帯なだけに………。




女性が水井戸からバケツに水を伝う、流れる時。


捕えた。


ルイのオッドアイが光る…!



「!」


次の瞬間ーーー。





頭上、徘徊したビルの天頭から弓士がピンポイントに狙いを定めている。


「危うい…!」


ハッ…と、とっさにクレプシドラを庇いに飛び出したルイはスッ転んだ。

間髪入れずその1ミリ持たない矢文を剣の先端で跳ね返す。





「な、なに…!?なにが、起きたの…!?」

「気にするな。」





相手の弓士はチッと舌打ちをして消え去ったのだ、なんと波乱な……。


ルイはクレプシドラを見やる。


矢文が地面にメリ込んでいた。





ルイは手に取り読む。

それはそれは、頭を抱えたくなるような……



「あ、あのぅ……。」


「…なんだ。」


「貴方は、いったい、…だれ、でしょうか…………。」


「…ルイだ。ルイティア。」


と突っ返してビラをクレプシドラに見せる。


恐る恐る、クレプシドラは矢文を見た。





『天国ならば、信じるかい?』

『地獄は恐いかい?』

『行き先により、継ぎへ繋がる物語が選ばれる。よって、僕が連れていってあげよう………!』





クレプシドラは驚きました。





「…大丈夫か。」


「…う、うぅ。」






涙かれてしまった………。

こうもなってしまっては、………なんというか。

項垂れそうになったが、仕方あるまい、……だろうが。




「……この流れに逆らう事はあるまい。」


「……あ、ありがとぅ。私、カイシェルよ。カイ。」





カイ…。 正に殻に閉じ籠ったような…

なんだかなぁ…


「頼むから、カイシェル。」


「?」


グワシっと、カイシェルの肩を掴んだ。





「…いくな。」


「…はぁ。」




ここに、堅物な剣士ルイティアと、クレプシドラのカイシェル



森の井戸水の自然界 木漏れ日の花畑

ふたりが初めて出逢った思い出の

エピソードでしたとさ。






先ず行けば、道のりは、以外にもまったりでした。


疲れたら、休みを取り…


時には、天国と地獄は嘘か偽りかを話したり…


カイシェルの奥さん居ますか発言にルイは先読んで居ないわと、カッカして雷を落としたり…









ちょっと赤面したり








なんだか可愛い二人だったり








あれ?


いつの間にか


なんだろうか


この気持ちは………もしかして。



「春じゃのう、ふぉっふぉっふぉっ。」


「…作用です、か。」


ちょっとムスッとなっとるルイに、涙王様は、約束どうりご褒美のを、ルイティアにプレゼント致しました。





ババーンッ


「…はい?」


「クレプシドラならぬ、カイシェルを授けよう…!ふぉっふぉっふぉっ」



ルイティアは笑顔で剣を抜き取り、ストーンと涙王様にブッけた。

大丈夫、柄は外してないから。



「恥知らずがァッ!!」


そんなルイが赤らんで、咆哮を叫んだ。


「す、すまぬ。我が愛しのルイよ…パタリ。」





カイシェルは、キュンが止まない。


「ルイ…!」


「ま、まぁ、なんだろうな。……ゴホッ。… テラ怒畜生だ。はにかむ……が、あり、あり、あ………」


ありありあ?


「ルイ………?」


カイシェルが、凄く青い瞳を輝かせている!




…………っ下がれねぇだろ。





「ありがとう。」


ルイの火照る横顔を見つめカイシェルはパァッと笑顔が光溢れた…!


「愛していますわ…! ルイティア… ! 我が君、お救いを承けたまわりし、ありがたき、この涙…ルイティアの為に…!」


「む?あ、あぁ…ゴホンッ…! (生きていてよかった(焦)」


ルイが残した言葉は[出逢いの切っ掛けとは、自分で作ってしまっちゃえばいい。]


殻に籠ったシェルターなんざ、彼の、ルイティアの豪拳でピンポイント一発だ。


そんな、豪拳が、今宵一夜限りだけ、

優しい掌に包まれたカイシェルは癒されたのでした。






-月夜の空 煉瓦街の屋根の上-





「…IT'S SHOWTIME…」


この子は、遠くを覗き見るような感じで煉瓦の街並みの天に立つ。


そして…


「宝石の涙も、涙狩りの連中も、いい加減にしなさいとこの僕は告げているのです…

必ず、双方和解させてみせます。

それが、僕、シュゴカラの役柄デスっ…!」


終わり



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