第5話




-枯れた城-


雷が鳴り響き空は黒い渦を巻く…。


こちらの境界世界はダークネスだ。


城の中を覗いて見よう。




そう、その城の中には、涙狩りの連中の巣窟なのだ。

と言うことは、この黒い城の中に、涙狩りの連中を仕切る狩の王様がいるはずだろう。

例えばこのふたり………

ピッキーとノッカー




「おーい、枯王様、帰ったどー、はい、土産。」


「さぁ、枯王様、私達に約束のご褒美を♡」



枯王様は、ゆっくりと椅子から立ち上がった。



「おお…ピッキーとノッカーよ……私に、ルイティアの涙を……有難い……ありがとう。」



その瞬間、捕ってきた宝石の涙の宝箱が勝手に開き、宝石の涙は、枯王様の身体の全てを潤わした。

身も心も、生き返りました。

これの繰り返しなのだ。



「生き返ったっすか、枯王様。」


「ほんと、おつかれー。」



身も心も生き返った枯王様は、愛情でいっぱいになりました。

愛情でいっぱいになると、愛情で返したくなる。



「さぁ、褒美の……エン($)だ。」





ドッカリと、エンが撒き散らされた。





「これまた派手な…。」


「きゃーっ♡お金よー♡」



枯王様は、問いました。



「お主等は、本当に、エンが好きなのだなぁ。」


枯王様は、ピッキーとノッカーをあたたかい掌で優しく撫でた。


そっと、その手をノッカーが支える様に取った。






「はい…。何せ、これで、新しい⦅顔⦆が、買えるのですから。」


⦅新しい顔⦆とは何か?どういう事なのかと説明すると………?





…実を言う、ピッキーとノッカーは家から逃亡中なのだ。


このふたり、できているのだ。


¨恋人¨と伝う若人よ。






「…なんすか枯王様。何か問題でも?」


「……いやいや、何かあったらまた私に頼りなさい。何より大切な私の仮子達よ。」


「枯王様…。」


ノッカーは、こっちが涙枯れてきそうで。


だから頼む、俺達は一生を掛けて貴方にルイティアの宝石の涙を授けます。


だから頼む。


死ぬな。




「おまえもだぞ、こら、ピッキー、」


「?」


ノッカーは、ピッキーの腕を引いて、自室に暫く休養を経て休むことにしました。


次会うときは、ルイティア…!


終わり

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