第11話



「ルイ――――――――……」

「なんだ――――――……?」


「降ろして、くださぃ………!」


辺りは薔薇園に包まれ。

棘の付いた蔦が木々に。

蝶小さな花の蜜を頂く。

小鳥は水溜まりで羽洗。


可憐な風景に、二人は、映りました。


しかしながら…


「恥ずかしいです… ! もうっ…ルーイ ! 」


「ならん。」


剛健で優しい彼は、カイの我が愛しの王子様です。


「剣士だ、剣士。」


「えっ !? 心を読まないでくださいっ…!」


歩く。


薔薇園は赤い花のロード。

蔦は曲線に絡み合ってる。

小湖は光を反射している。


抱き抱えられていたカイ。

ルイはそっと優しく降ろしてくれた。

足が地に着くやっぱりちょっと痛い。


「………あ、歩けるか。」

「………は、はぃぃ!!」


ちょっと、恥ずかしいです。


『『俺たち(私たち) 初々しすぎる――!』』






グシュァッ …!!


「きゃああああルイ!?」

「来たぞ。」


血が、血が、ブシューッと火吹く。


カイシェルがパニック。

ルイティアが抑宥める。

しかし血に気を取られてる余地もなくて。

ルイティアのメッキを貫通し弓矢が腕に。

グラリと目眩が瞬じた。足を地面の雑草に絡め引っ掛け倒れるのを堪える。ルイは長剣を

繰り出した。薔薇蔦の天辺に立っている影を見つけた。


弓使いシュゴカラ


「キミ達、エアロ戦は好きですか?」

¨ポゥ¨ と、光の珠を繰り出し風の弓矢をブっ放してやる…!と、意気込んでいる。

ルイは長剣の兆しを身構えた。




「…やっと、僕とやりあえるね。」

「サシでどうだ。」

「いいよ。僕もその方がやりやすい。」

「シュゴカラと申したな。何故狙う。カイを。」

「関係ないです。」

「有り得るとも。」

「知りたいですか……?」

「問答せぃ……。」

「何故………レウディファスト様の御命令でね!!」




シュゴカラは空中に円を描き、円の中心から強烈な弓の数を繰り出しブっ飛ばした。


ザシュザシュいくいく。

掠めて射たれるのがイラッと来るが、ルイは質問をブっ飛ばした。


「レウディファストとは?」

「カイシェルを渡してくれたら教えてあげますよ!…!」


超豪弓数に対して、こちらも円を描き結界を描こうじゃないか。


頭上がガラ空きだ。

ヤバい。ピンポイントを突かれるか…?


シュゴカラは空高く飛び上がると翼を生やした。

『…ふむ。空を守る者…か。』

ルイは剣山を起こした。

大地に剣先を突き刺し ザシュッ と、華やかに血の花弁を散らせた。

『ルイティア…!!貴様ァ…!!その身のこなし方が気障りなんです―――――――ッ!!!』

凄い嫉妬だ。


「ルイ…!気をつけて…!その人、空中で泳ぐことが上手なの…! 目頭を守って、勝利を得て――――――…!!」

『空中を泳ぐ…。水魚か何か?フム…。』


あああぁ…ハラハラして落ち着かないわ。

シュゴカラを怒らせないで……ルイ !


『僕を…僕を…バ・カ・に・するなよ―――――――!!!』


シュゴカラはメカニクル装着を発動。

空中ローラーブレードを発動

『空の軌跡』とはこれも伝う


空中を滑走するジェットコースター

軌跡が止まらない空中が火花を摩擦。


「不束者め解れぃ。…いくぞ ! 」


ルイは、シュゴカラのエアロ飛行戦に続く。

シュゴカラの翼が弓牙となって刻みつく。

血の血痕が雨を降らす。

しかし、暮れないルイティア。

それがルイティアだ。

「涙返し」

「鳳凰!!!」

ドカァッ と、爆破を放ち合った。

それでも…――――――――!!!

「解ってほしい…シュゴカラ!!!」

カイシェルを遠ざける為逃げよ

引いてく引いてく、ルイティア。

「ルイティアの方が解らないですよ…貴方には良い…大切な人が居るから…なのに、僕には…僕には…………………………!」

追えよ追えよ風の鳳凰シュゴカラ。



「…貴様の涙は誰の為にある…」



この言葉は確か…

「………ッ!」

シュゴカラはドクッと心臓が跳ねた。




「泣きながら俺とやりあおうとするな………若人!!!」




シャボンの玉が一斉に薔薇園に放出された。

空中の電気分解により水の粒子達が結合する

バチバチと静電気を発する。

いや、火花か?

それとも…


「水の軌跡――――――。」


シャボン玉が一斉に、光を放ちクラッシュ!!!


「ぐ………ぁ…ア――――――……」


パンッ と、全てのシャボン玉が弾けて消えた。

爆発を残して。


ルイティアは空中から迅速下降しカイシェルを抱えると、燃え盛ん火の海を最後に薔薇園を跡にした。



「…………っカイシェ…ェ…。」





その名前を叫んでも…

背煙の空に手を伸ばす

届かない小さな恋だと


確かに


解った様なフリをして

シュゴカラは意識が遠くなっていった


儚くも綺麗な赤い花弁を散りばめて。


終わり

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