第7話
「漸く見つかったな。」
「………っ、すてき。」
ここは聖なる森。
聖なる森は綺麗な自然に囲まれた場所。
西洋神殿の様、それは、とても儚くて。
聖なる森の奥中、そこには小さな一件小屋が、ありました……。
ルイティアは、そっと小屋の扉を開らく。
中に二人は入ると、辺りを確認し、安堵の息をつく。
……………休息の束の間だ。
……身体を癒そうか。
…。
パチパチと火花が打つ暖炉は暖かくて微睡んでくる。なんだか眠くなってきたな…。少し灰被った暖かみのあるベッドとモーフ。木でできた四角いダイニングテーブルと椅子。この木の家は本当に有り難い…。
ルイティアは暖炉の近くの椅子に、足を組んで腰掛け、暖炉の火を見つめている。
カイシェルは中々柔らかみのあるベッドの上にちょこんと座りルイティアを見つめている。
ルイ…身体はまだ、痛むのかしら…
私…何かできる事はないのかしら…
私に治癒の力がもしもあったら……
「カイ。」
「え、あ……はいっ!」
ドキッ、と…跳ね上がる心臓。
………少々火照る。火照らない理由は無い。
「大丈夫か?」
ちょっとキョトンとして、カイシェルを見つめたルイ。
己の、なんと言うか…こうゆい時の神聖な空気を、蔑ろにする気ではあるまい。
「私は大丈夫ですよ…。それより、ルイは?私中央聖都市で買い集めた食材やアイテムで何か作りますよ?えーと、何がいいかしら、そうね、あたたかいミルクティーはいかがですか?」
「…水をいただきたい。」
「お水がいいの?じゃあその金属マスクを外してくださいな。」
カイシェルはルイの金属マスクを両手を使い優しく外した。
その、仮面の下の口許が解放されると、カイシェルは刹那………
「「―――――――――――。」」
苦い。
「…ねぇ、ルイ、私、貴方の口から聞きたい言葉がたくさんあるの。」
「…何が欲しい?」
「…ルイの過去。」
火花が散り散りに飛び交う。暖炉二人を熱に讃えて謳う。急かすな。
「…あれは20年前の事だった。」
ルイが[宝石の涙]を流す力を授かったのは、誕生と同時に産声を嘆いた。
望んでもいないこの力は、ルイは物心がつく頃になると、じわじわ宝石の涙の事で心が病みつきの日々を送っていました。
「今となっては、慣れの果ての事。」
「それでも、貴方は耀かしいわ。」
その瞳は、涙いている。
しかし今は。
穏やかに心が包まれている。
「本当にこれが穏やかな空気ですか?…ふふっ」
「少々焦るがな。……えーい。焦らすな、コラ。」
「うふふっ、はは、」
カイシェルは¨ルイの甘え¨を感じとると、自分から受容の器となって、懐を差しあげるのでした。
「ルイ………………………。」
「………ふ。なんだ。カイ?」
「過去は重い足枷だから、捨ててしまいなさいな。」
貴方の為です。
「そう簡単に捨てられたらいいんだが、な…。」
もうすぐ、新しい朝が来る――――
テーブルの上のミルクティーは…
湯蒸気を天井に昇らせつつあるが
微かな影がこちらを覗き
観ていたとしても?
『………チッ』
-終わり-
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