第31話






―魔盗賊城―


黒い雲煙に黄金の稲光。

目の前にあるのは魔盗賊城

着いてしまった

本当に



「……やばくなぃ……。」

「元々こういう空気だよ、絶対。」


期待を裏切らない魔盗賊城。やはり

黒い雲に稲光。

ヤバい。


「ルイ…。」

「うむ…。」


行くしかないでしょう。


「それで、どうやってあの魔物の群れに飛び込むのかい?」

「……いやぁん、無理っぽい……。」


ルイ達は城壁の周りにガーディアンしている魔物達に注意を注ぐ。

魔物…。剣士であるルイティアやその側近の二人組は見なれてはいるが、カイシェルは恐怖している。無理も無い、二度目の惨劇なるか。

どう想っても『あの時』を思い出す。


ここまで来て、引くわけにいかない。



「いけると思えばいけるだろう。」

「…そう、ですね。」

遠回しに

「無事を願ってほしい。」

「…!」

「カイが、大事と思えば、大事なのだ。」

背中で伝える。


「ルイティア…!」

カイは、信じる。


いくぞ。


ルイティアは岩影茂みから客足を力む。

思い切り、地面を蹴飛ばして駆け込む。

銀鎧の重さが嘘の様に軽く見える。


敵陣に、つっこむ。

一体、スライドした。

力いっぱいに振り切る。


血潮が咲くと、あとは

なすがまま

ルイティアの流れに…。


「エグゼロス、チャームヴィーナス。」

「はいよ。」

「…ふん。」


続けと指示されると二人は武器を繰り出し自ずと敵陣にアタックした。


エグゼロスは球体の爆竹をジャケットの裏側から取り出すとライターで火をつける。

ブン投げた。

すると、敵の集落にBOMBし、ダイナミックな火炎を大爆発させた。


閃光と、土煙が、交じり合って煙たい。


エグゼロスは、目を鋭利に霞め、蟀谷に亀裂を走らせる。

チィッとばかし、舌打ちすると殴り飛ばした。

バキッと敵の魔物の頬の形態を崩し、悪さに立ち上がらされるまえに、足で踏みつけ眠らせた。

二体…三体…飛ばしていく。

大切な仲間達と派手な花火がなくっちゃ。やってらんないエグスゼロス様。

暴君の小悪魔かよ。

魔物の群れを型付けて…50体切った。

彼の無双は派手な戦い方でしたとさ。





一方

ルイティアは銀の鎧が一際目立つ。

ちょっと重たいけど、防御に満ち溢れている。

大剣を空で一回転させ水の軌跡を描くのである。

その戦い方は、神秘的。

時に、エグゼロスがヤリ過ぎていないか気になってサイドを見た。

案の定、エグゼ様は返り血を浴びた笑顔で、手を振って返してきた。

「…エグゼ。」

「ああ、はいはい大丈夫だよルイ。僕はSじゃないよ。」

そうじゃなくて…

「塵も積もれば山と成る。片しておけ。」

ルイも120体越えた処だ。

このまま無双で突き進もう、ルイ。





一方

「カイシェルは回復の役割に回ってくださいね。」

「は、はい…。」

バシュバシュ弓を四方八方飛ばすシューゴ。

こちらも無双。

風の弓矢を一本放つ。

その、一本の弓矢が綺麗に魔物を裂いていく。

一本の弓は、円を描き飛ぶ。

魔物の群れを貫いてゆく。

弓矢は一週二週…三週…繰り返し廻る。

気がつけば血潮の薔薇を咲かせていましたとさ。

「…次から次へと来ますね。」

「…ええ、確かに。…!…シューゴ、後ろ…!」


危うくチャームヴィーナスが槍で刺しました。

魔物は倒れた。

「…! ああ、キミですか、あ、ありがとうございます。」

「……どんまい……。」

チャームヴィーナスはシューゴをちょっと助けた後は、直ぐにエグゼロスの方へ明け暮れた。

「……ねぇーエグゼロスーこっち来て加勢してぇー……。」

「ああ、今行くよー。」





ルイティアは独り無双。






その時。


「…む?」

「…手伝います。」

シューゴが来た。


カイシェルの事は、あちらの二人にまかせた。

ただ、一言シューゴは謝りたくて…。


「…あの時は、申し訳ありませんでした。」

「…。」


コクリ、と…頷いたルイティア。

剣柄を投げたり…

弓を射したり…

互いに嫉妬し合っている場合じゃない。


今は。


互いに協調し

戦って

ゴールを目指すんだろう。





「ピキューイ」

キィちゃんがルイティア達に加勢し加わった。

「…そうだ、ルイティア知っていますか。」

「なんだ。」

「キィちゃんの真名は、キューティング・イデア・ヴァンクル。」


どんな時でも

助け合えるのが

仲間かもしれない


確かに

バチバチと思いきや

今は今。仲の良さが

程好い距離感なのか

なんだか心地好い…




「………そうだったのか。」

「………そうですよ。」




【自分だったら

同じ志の者と書いて

同志と読む】


そう


私は先陣に咲く

一輪の花とは

云えないけれど


確かに

私は

ここに居る




「……斬ったぞ !」

「道が開けて来ましたね、ルイ!!」


ザシュッ…と、剣をスライドし、墜とす!


9999魔物の群れを突破。


二人は顔を見合わせました。


「「よし !」」


城内へ進むもうか !

微かな残り香を

生きる強さを、ここに讃えて。





夢は心に

鍵は、羽ペン

枷は、時分の弱さなり

涙は 、たくさん流して来た


狩りは魔の手となり、盗みは過去の業となり


―THE END―

TO BE CONTINUE⇒




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