43話 擦れ違い
春がやってきた。
ようやく鞄を作る作業にも
慣れてみんなと同じ生活
ができるようになった。
体重は増えたり減ったりだが、
前よりは食べれるように
なったと思う。
3月娘の手紙には就職が
決まったと連絡があった。
手紙のやりとりは週に2回
欠かさず書いていた。
初めて私から児相に面談を
お願いした。娘に会いたいと
伝えるため。
4月桜は咲いたのだろうか。
待合室で待っていると
児相の人が少し悲しそうに
腰を下ろした。
「サキさん顔色良くなりましたね」
「皆さんのお陰です。」
私は頭を下げた。
児相の人は少し涙ぐむ。
「もっとうまくいったら刑期
短くできたし、執行猶予だって
できたのに、私は悔しい」
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