42話 変化

大丈夫。どこかで聞いた

気がした。もう大丈夫」

私には勇気がなかった。

これ以上落ちるのが

怖かった。娘が無事だった。

それで十分。迷惑は

掛けたくない。どこか

遠くで、娘の住所が

わかれば毎月仕送りを

送って、元気にしている

事がわかればそれで十分。

泣いている下山さんの手を

優しく擦った

「なんで私が慰められ

ちゃうのかね」

泣きながら笑った。

私も久しぶりに困った顔のまま

小さく笑った。

鉄格子から小雪が

チラチラ舞っていた。

久しぶり心が暖かくなった。

「下山さんありがとう」

うん、うんと下山さんは頷く

春になったらあやに会ってみよう

私は少し春が待ち遠しくなった。

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