第26話 タクシー
港が見えてきた。暗闇の中
汽笛がボーーと音が鳴った。
「お客さん本当にここでいいの?」
私は財布の中のお金をガッサと掴んで
運転手に渡し、なにか言われる前に出た。
冷たい塩の香りが鼻につく。
倉庫が立ち並ぶ中、灯りが見えた。
とにかく人がいる所へ行きたい。
アヤの情報が知りたり、明かりのついた倉庫
の扉は鍵が閉まっていた。
「すみません!!」ドンドンドン!
中は誰もいないのか、音がしない。
困った。路地を覗く、奥の方に鉄網の階段
があり2階に上がれるようになって
いた。上を見上げると窓が開いている。
あそこから中の様子が見えるかもしれない。
とにかくなにか情報が知りたい。
路地に入り、階段を登る。
窓枠から覗くと下には車が
並んでいた。人影はない。
倉庫とは思えないほど、中は体育館のような
きれいなホールだった。
辺を見渡すと近くにフォークと
黒い点々が散っていた。血?
心臓がバクバクする。
助けがほしい。1人じゃ無理だ。
警察に電話する。
もしかしたら娘が居るかも知れない。
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