第11話 詐欺師

やっぱりジュンの事が好きだと思った。

「どうだ?食べてるかい?」

先輩と名乗る男がやってきた。

せっかく、よい時間だったのに。

「車乗るか?」先輩はジュンに話し掛けた。

ジュンは一瞬戸惑ったが、「はい」

と言って鍵を渡してもらった。

「おーい、後輩が乗るってよ。誰か

乗せてやってくれ〜」

そう言うと先輩の連れとジュンが

スポーツカーを物色し始めた。

せっかくの良い時間がなくなってしまった。

「つまんなそうだね」

ヤバい。バレたみたいだ。慌てて

「いえ、そんな楽しんでます!」

「それなら良かった。ところで、

お母さんには言ってきたかい?」

「いえ、ケンカ中なんで、」

「そっかそっか、思春期だもんな!」

いや、別に思春期とか関係ないし

「でも帰らないと心配しない?」

「しないです。ママは私の事興味ないし」

「へぇ〜。そうなんだ。なんで?」

「小さい時、パパと離婚して、お金なくて

それどころじゃなかったんです」

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