第32話 決意

私は立上がたった。

鼻から思いっきり深呼吸をする。

さっきまでの鼓動がなく

星を眺めているくらい心は穏やかだった。

なにも考えなくても

勝手に身体が動く。

私はガッチャリとドアを開け

相手が驚いてこちらを向いた瞬間

串をそのままお腹にぶっ刺した。

串が貫通した男は串を掴み

引き抜こうとしたが

私がさらに押したので

「いっっ」と言いながら男は気を失い

その場にうつ伏した。

「ママ!!」

アヤが叫ぶ。

私は急いで娘を抱きしめる。

「良かった無事で何かされてない?」

「なんで!」

娘を抱き寄せ涙が溢れる。

良かった。無事だ。もうなにもいらない。

「あや、大丈夫。もう大丈夫だかね」

「ママが大丈夫じゃないよ!」

「いいのそんな事。」

「良くないよママ」

娘が泣き始める。

「大丈夫、ねぇ大丈夫だから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る