第33話 想い

娘の顔を上げて額をつける。

「あや、聞きなさい。時間がないの」

涙ぐむ娘小さく頷く。

「家に帰ったらタンスの引き出しに

通帳があるから、それを持って

警察か施設に行きなさい。

後は大人の人がしてくれるから

施設の人の話をよく聞いて生きなさい。」

アヤは首を横に振ろうとしたが、

私が掴んでさせない。

「いい。暗証番号はあやの誕生日

だから、自分の通帳に入れるの」

「ママはしばらくあやに会えないと

思うから、1人で生きていくのよ」

あやはポタポタ涙を流す。

「泣かないの、あや、ねぇ」

頭を優しく擦る。

「もう大丈夫だから、怖いことは

終わったから」

私はもう一度抱きしめる。

「いい。私はね。あやが生まれてきて

本当に嬉しかったの。あやが生まれる

まで一人だったから、ママずっと幸せ

だった。これからもあやが居ると思うと

生きていけるから、心配しないの。」

私は強くあやを抱きしめる。

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