第31話 過去

私はよい母親じゃない事を自覚している。

私の母は愛情がない人間だった。

ご飯の用意や服など生活必需品

は用意してくれたが、抱締められた

事も、好きだよと言ってくれた事も

なかった。参観日は来たことがない。

旅行も一緒に行ったことがない。

一緒に暮らしていたが会話もほとんど

なかった。 虐められた時だって

一週間1人で過ごした時だって

私はいつも一人ぼっちだった。

だから私は繋がりがほしかった。

誰かと繋がっている感覚がほしかった。

散々、男に騙され、お金を取られたが、

あやができたときはすごく嬉しかった。

へその緒で繋がっている感覚。

1人じゃない感覚。この子と繋がっている。

そういえば、私も娘に愛情を伝えたことがなかった。

あんな母親にはならないと思ったが、

やっぱり似たものなのかもしれない。

もっとちゃんと伝えてあげれば良かった。

暗闇の中、子どもの時のあやが泣いている

姿が見える。そんな事はさせられない。

私は母に助けてもらえなかった。

私は今娘を助けられる。

目を開けると震えが止まっていた。

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