第31話 過去
私はよい母親じゃない事を自覚している。
私の母は愛情がない人間だった。
ご飯の用意や服など生活必需品
は用意してくれたが、抱締められた
事も、好きだよと言ってくれた事も
なかった。参観日は来たことがない。
旅行も一緒に行ったことがない。
一緒に暮らしていたが会話もほとんど
なかった。 虐められた時だって
一週間1人で過ごした時だって
私はいつも一人ぼっちだった。
だから私は繋がりがほしかった。
誰かと繋がっている感覚がほしかった。
散々、男に騙され、お金を取られたが、
あやができたときはすごく嬉しかった。
へその緒で繋がっている感覚。
1人じゃない感覚。この子と繋がっている。
そういえば、私も娘に愛情を伝えたことがなかった。
あんな母親にはならないと思ったが、
やっぱり似たものなのかもしれない。
もっとちゃんと伝えてあげれば良かった。
暗闇の中、子どもの時のあやが泣いている
姿が見える。そんな事はさせられない。
私は母に助けてもらえなかった。
私は今娘を助けられる。
目を開けると震えが止まっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます