第21話 虫

あやは息を殺しながら

ゆっくり進む。

「おいおいおい!まだ見つからない

のか、電気つけちまうか?」

「いいよ。興が冷めちまう。」

「どうせ倉庫からは逃げられや

しねぇんだから」

そっか、例え非常口に行ったとしても

鍵を掛けられていたら出られない。

何箇所か高い所に窓があった。階段

を使って2階に行こう。

ポッケに入っていたピアスを

遠くに投げる。車に当たり

小さな音が響く。「おっ!」

男達が意識が音のする方に

いく。ゆっくり車の隙を

ぬぐいながら、階段に向かう。

まだ大丈夫。小さい頃私は家でよく

かくれんぼをやっていた。

ママが見つけられなくて

困るほど私は得意だった。

静かに2階にいけば時間は稼げる。

なんだったら2階から飛び降りて

死んでしまえばいい。売り飛ばされる

くらいなら死んだほうがマシだ。

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