第9話 死者への入口

そうこう話しているうちに

黒のワンボックスカーが

やってきた。フロントが下がり

「おぉ!タクヤ!ちゃんとかわいいこちゃん

連れてきたか!今日はタダ飯にしてやるよ。

男はサングラスを少し下げて私を

嫌な目で見る。私は軽くお辞儀する。

「今日は好きにしてくれ。高校生じゃ

食べれない。いい肉やワインやカクテル

も用意している。ジャンジャン飲んで

食って帰ってくれ。」

タクヤが「うっす」と言って後ろを開けて

乗り込む。鼻がツンとくるすごい香水臭い

車の中は囲むようにしてソファ

が並んであり、中央に小さな机

と天井にシャンデリアがあった。

「コイツは逆に海外から仕入れ

たんだ。イカすだろう!」

着くまでどうでもいい話をして

過ごしていたが、ジュンは腕組み

最後まで喋らなかった。

声を掛けたがった。できなかった。

車から降りると塩の香りがした。

香水の匂いから開放されてホッとする。

でっかい倉庫がズラリと並んでいた。

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