第23話 チャンス

あやは階段下まできていた。

ただどうやって登ればいいのか

困っていた。鉄網の階段。

どうやっても音がしそうな気する。

投げて注意引くものもない

手探りで辺を触ると消化器があった。

「おい、俺真中まで来ちまったぞ!」

「くるまに隠れてんだろ。探し出せ!」

ゆっくり階段を登る。音が出ないように

消化器を持って慎重に歩く。

「おい、2番手はどうすんだよ。」

「そりゃ、次に近かったやつ順だろ」

「あや〜、そろそろ出ておいで〜」

大きな声でゲラゲラと笑い合う。

完全に狩りを楽しむライオンだ。

私は一歩、一歩慎重に登る。

『カッキン〜』

しまった。消化器が

鉄の手すりに当たって音がした。

慌てて消化器を暗闇の中に放り込む。

お願い当たって!!

『ガッシャンッ』と何かにぶつかる音が

した後、車からキュインキュイン!と

サイレンが鳴り響く。

「なんだ!」

私は一気に階段を駆け上がった。

チャンスは今しかない。

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