第15話 入口

ソファまで行くと机に携帯が置いてあった。

なんだあったじゃん。

ガチャリ。

振り向くと先輩が倉庫の

鍵を閉めた音だった。

先輩はお腹を抱えてクククと

笑っている。嫌な予感

背筋が凍る。

先輩がさらに倉庫の電気を消した。

暗闇が広がった。

「なんですかこれ!」

パニックに襲われた。心臓が高鳴る。

持っていた携帯が鳴り、

私の周りだけぼんやりと

明るくなった。

電話に出ると先輩だった。

「ヤッホー!あや」

「冗談は止めてください。」

「冗談じゃないよ〜。むしろ本業。」

「はぁ?」

「もう一回言うね!」

「中、古、車を海外に売る商売してるんだよ」

「意味わかんねぇよ!」

「だから、中古車はあ、や、だよ。今から中古車にしてあげるね」

一瞬で理解できた。心臓がギュッと掴まれた。

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