39話 不穏

秋になり、だいぶ

食べられるようになった。

それでもご飯は他の受刑者の半分

の量だ。自分の手がいつの

間にか、細くシワシワにな

っている。自相の人から娘に

会ってみないかと相談を受ける。

「ごめんなさい。」

「焦らなくてよいのよ。でも

娘さんも元気もらえると思う

し、さきさんも勇気もらえる

んじゃない?」

気持ちは会いたいでも、

今会ったら頑張れない気がする

痩せた腕を見つめる。

「今会っても心配させちゃうし

もう少し元気な姿になってから

会えたらと思います」

児相の人も私の腕を見る。

「そうね。無理してもね。」

お手紙写真付きで預かっているから

後で見てね。運動会の写真。

あやさん、頑張っていたわよ。

短距離走1位になったんだから

お母さんに似て頑張りやさんよ。」

涙が自然と溢れた。

私は何を頑張っているのだろう。

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