第24話 無難な答え

高ノ宮side


山崎の事をどう思っているか


そう聞こえたが聞き間違えかもしれない


「も、もう一回言ってもらえるか?」


「はい。いいですよ?山崎くんの事をどう思っていますか?」


...聞き間違えではなかったようだ


しかしどう思っているか

という質問は返答に困る


仮に事実を言う場合

「あたしは山崎を利用してあたしの飢えをしのごうとしている」


そんなことを言ってしまえば

関係を持つ

どころの話ではないだろう


ましてやこの噂が広がったり

山崎に伝わったりしても

どちらにしろOUTである


嘘を言う場合

「山崎の事は非常に友好的な人だと思っている」


たしかにそうではあるがこれは事実ではない

というものは2つあるといわれている


自分を守る為につく嘘

つまり事実を隠蔽してしまうことである

そして他人を喜ばせるためにつく嘘

少し話を盛ったりして他人を傷つけないようにするためにつく嘘


この場合

あたしが付く嘘は自分を守る為につく嘘


しかしこの場合の嘘は

ハイリスク、ハイリターンだ

リスクは嘘というものが見抜かれたとき


事実を言った時より

状況がひどくなる確率が高い


リターンは嘘も真実になるということ


簡単な言い方をすると

”バレなければ犯罪ではない”

というものだ


...どうしたらいいのだろう


あたしが出す答えは


「別にどうとも思ってないけど」


あれだけ考えておいてなんだが

これが最適解だと思う


「...そうですか」


少し間があったのが怖いが

どう返されてもあたしは安全な位置にいる

なぜなら嘘でもなく事実でもない

つまりどの答えでもないということだからだ


明見日は机の上にある

タブレットを持ち上げる


「なにか頼みますか?」


なにか言ってくると思ったが

あの答えで納得したようだ


「あ~そうだな...このミートスパゲティーで」


「じゃあ私はパエリアをいただきます」


「明見日さんって結構がっついたもの食うんだな」


「まぁ~そうですね。そうゆう気分だったので」


明見日は注文ボタンを押し

タブレットをもとの位置に戻す


少し沈黙があった後

明見日から話題を振る


「山崎くんとの生活はどうですか?」


「まぁ~前の環境よりかはマシだな」


「前の環境ですか...」


明見日はこのことについて

聞いていいか迷っている様子だった


「あ~あれだ。あたしってあれだったんだ。井の中の...なんとかを知らず」


なかかわずたいかいを知らず。ですかね?」


「それだよ!それ!」


正直自分の知識が乏しいことは気にしていない


気にしていたところで自分には関係ないことだと思っているからだ


「あたしって実はお嬢様だったんだぜ?」


明見日は少し笑みを浮かべる


「冗談はやめてください。お嬢様だったらこのような場所でミートスパゲティーなんか頼みませんよ」


「ばれたかぁ~これあたしの十八番おはこなんだけどね。前同じことをあいつに言ったら”宿泊料を倍にする”なんて言ってさ、ほんと面白いわ」


その話をすると明見日の笑みが苦笑いになったように見えた


「...へぇ~そうなんですか。仲が結構よくなってるんですね」


「仲良くしてないと一緒にやってらんねぇ~からな」


「そうですか...」


空気が変わった気がする


あたしの第六感がこれ以上同じ話題をするな

と告げている


その会話に割り込むようにして

頼んでいたものが来る


「お待たせしました~ミートスパゲティーとパエリアです」


机に置かれていく


あたしは空気が重たいとかそんなことよりも

早くミートスパゲティーを食べたくて仕方がなかった


しかしその前にある重大なことに気づく


「あ、あの~明見日さん?」


パエリアを食べようとしているところを遮る


「どうしたんですか?」


「そ、その~今日持ち合わせがなくて...」


よくよく考えてみればあたしは

財布なんて持っていない


...今度山崎に頼んでお小遣い制度入れてもらうか


「今日は私が誘ったんですし、おごりで構いませんよ?」


明見日のその言葉を聞いた途端

あたしは目の前にあるスパゲティーに食らいつく


その様子を見た明見日が「フフッ」と笑う

今度は重たい雰囲気にはならずに


「もしかして初めて食べたんですか?」


「まぁな!あたしはお嬢様だし」


明見日さんはその言葉を聞いてなにかホッとしているようだった


明見日はパエリアをスプーンですくい

口に入れようとしたとき


明見日が持っていたスマホが鳴る


それに少しイラ立っているようだ


「まったくこんないい瞬間に電話をかくてくるやかr...」


その相手を見た瞬間

画面を右にスワイプする


およそ0.2秒だった


「ど、どうしたんですか?山崎くん?」


なにか喋っているようだが相手が

山崎ということがわかる


ったく山崎の野郎

ほんと、誰かに迷惑かけてんな


まぁ~あたしが言える口ではないが


明見日はスマホを鞄に入れる


どうやら電話がおわったようだ


「相手は山崎か?」


「え?あ、はい!そうですけど!?」


なんかテンションがやけに高い気がする


...もしかしたらもしかするかもなので

カマを掛けてみる


「明見日さんって加賀城の事どう思ってる?」


「加賀城さんですか?」


「おう」


明見日は少し考える様子を見せる


「幼馴染ですし、関係的にはいいと思いますよ」


「...なるほど」


この質問はあくまでこの後する質問のための

探りでしかない


そうこの後する質問とは...


「じゃあ山崎の事はどう思ってんの?」


「や、山崎さんの事ですか?」


少し焦った様子を見せる明見日


これは本当にもしかするかもな



------------------------------------------------------------------------------------------------

朱華ナツメです(。・∀・)ノ


もう一つ言いたいことがあるのですが

やっぱり鬱要素とか暗い展開って書きたくても

もう数話書いちゃうとその作品はどういうジャンルか決まっちゃうので

書けないんですよね


なので次、もし違う作品を作るとしたら

そういう展開を多めにした作品を作りたいという願望があります


以上

余談でした



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る