第3話 人は見かけによらないが、見かけによる場合もある

「ん...」

あれ?


俺眠ってたっけ?

たしか帰りに変な女にあって...

覚えてないな


とりあえず体を起こさないと


...え?

痛すぎて起きないんですけどー!?

ちょ、 え?


なぜ?

あ。金縛りか~

なんだ~そうかそうか~


ってならねえよ!?


俺一人でなにやってんだろ


とりあえず目をあけるか


目を開けるとそこには見たことない黄色の屋根?があった


なんだここ?


そうだ!

思い出した!!

俺たしか思いっ切り蹴りくらったんだった!!


ということはまさかここは...


もう一度目をつぶる


俺死んだのか


終わったな


まぁ~つまんない人生だったけど


それもそれでよかっ


「起きたか」


突然よこから声を掛けられ再度目を開ける


「なにもう一度寝ようとしてんだよ」


この声まさか...


ちらりと横を見てみる


そこには銀髪の美女がいた


終わったな...


死を再確認する


今からこの人に死なない程度の拷問を受けてそして最後には...


あぁー!! かんがえたくね~‼


そう思っていると


「...そのごめんな?」


え?


「あたしのせいでこうみたいな状況になっちまって」


まったくごもっともです


「いや...その...悪気はなかったんだ...悪気は」


こいつ大事なことだから2回いってんぞ。2回


「あたしも本当に状況わかってなかったんだ」


こいつマジで根はやさしそうだな


根はな!!


「本当にごめんな...」


なんかそこまで言われると俺にもくるもんがあるよ!!


なんか俺が悪いみたいじゃん!!


てかよくよく考えると俺死んでるのじゃなかったっけ


あたまに冷たいもの感じるし


てか目を開けれるってことは死んでなくね?


…一度深呼吸してかんがえるか


そう思い深呼吸しようとして腹に力を入れると


「...い...」


「⁉ 今なんかしゃべったか⁉ 生きてんのか⁉ おい⁉」


そして俺はまるで生まれて初めて痛みを知ったかのような大きな声をだし

こういう


「...いぃぃぃたぁっぁぁぁぁっ‼」


俺、今腹刺された?

っていうくらい痛い

でも立てないからどうにもできん


どうしよ


そう思考を巡らせていると


「おい⁉ どうした⁉ 大丈夫なのか⁉」


突然隣にいる銀髪の女が声を荒げる


「あれか! 胃薬飲むか!?」


この女マジで一発殴りたい


ただ俺のためになにかしてやろうとしてんのは分かる


それは状況を見てわかる


一度整理するか


俺は帰り道に女を見つけて

大丈夫かなとおもい声掛けたら

蹴られ気を失い

この女の家で介抱してもらってんのか


たぶんあってんのか


それにしてもこの女情緒不安定かよ


俺にあんな冷たくしといて

今度は助けるとか いやまてツンデレか


ないな


そんなことを考えていたら痛みが治まってきた


とりあえず体は動かせそうだな


起きてみるか


「よいしょっと」


俺は無理をしない程度でゆっくりと体を起こす


「え?」


また隣の女がなんか言ってる


「え~⁉体動かせんの⁉ 一般人みたいなあんたがあたしの蹴りをもろにくらって?」


こいつ自己評価たかすぎだろ


だが俺もこの女と話したいことがあるので無理やり横から言葉を入れる


「あんたなにもんだよ?」


「...一般人...です」


「一般人があんなとこにいて、あんなことするはず無いでしょー!!」


「...一応高木峰高校の生徒...です」


高木峰高校とはおれが通っている学校だ


でもこんなやついたか?


いろんな意味で有名になりそうだよ


「で? 俺をお前の家までつれてきた理由は?」


そう。そこが俺が一番知りたい点だ


あんな性格のやつが俺を家まで連れていくメリットがないのだ


「...単純にあんたが蹴りでノックダウンしたから てかあたしがなにも判断せずにあんたに蹴り入れちまったのが申し訳なくて」


こいついいやつすぎだよ


「てかここ家じゃなくて...テント...」


「え?」


俺を声が漏れ出る

そしてあたりを見渡す


たしかに周りには

ラジオ 寝袋 ライト 缶詰や水などの携帯食品だ


「お前なんでこんなとこいんの?」


どうせキャンプかなんだろうと思っていた

だがそんな生ぬるいものではなかった


「あたし...その...ここに住んでんの」


「え? え~~~~⁉」


「そんなへんかよ⁉」


「いやだってテントに住んでるとか聞いたことないし⁉」


「すまんかったな‼ 一人いて‼」


いやまじで聞いたことないぞ


美人女性がテントで一人暮らしとか


もうこれどうなってんだよ


てかよく考えてみれば俺軽いとはいえ


体重50キロぐらいあんだぞ


まさかここって


「もしかしてここって」


「あ~ そうだぞ‼ここ、公園だぞ」


「やっぱりそうですよねー‼」


とりあえず落ち着こう

冷静に冷静に


「あの~ なんでテントなんかに住んでるんですか」


「あたし父と喧嘩して家を飛び出したの」


「でも行く当てないし 金もそこまでないから」


「適当な場所にいたホームレスボコってここを住処にしたわけよ」


いやこいつだいぶ腐ってんな


終わってるわ


「でももうじきこの生活も終わりなのよね」


「え? なんで?」


「この公園もうすぐなくなるのよ」


俺知らないんだけどー!!


「マジですか?」


「マジなのよそれが」


「で、どうしようかと考えてたら寝ちまってきずいたらあんたをボコってたってわけよ」


いやわけよじゃないのよ

この人ほんとボコんの好きだな


「いやまじでどうしよかなって」


「あの 父のとこに行くのはだめなんですか」


「それは...帰りたくない」


「何でですか」


「さっきも言っただろ喧嘩別れしたって だからだよ」


「子供ですね」


「てめぇ~もっかい寝たいか」


「いえいえ もう十分ねたので」


長居するのもかわいそうだな


「長居するのもあれなんで俺帰っていいすか」


俺が立ち上がりテントから出ようとすると


「ま...待って」


俺の裾をぎゅっとつかむ


「あたしを...私を助けて」

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