第4話 高ノ宮雫も間違える 

「あたしを...私を助けて」


その時、俺は考えるのを辞めた。


...いやいやいや

待て待て待て

た? 助けて?


そんなこと無理に決まってるだろ‼


いやでも女性を一人に置いとくのは...


思考を巡らせた結果


こんな答えしか出なかった


「とりあえず...家...来るか」


「え...」


なんだよ え? って


「とりあえず家...来い 後でいろいろ聞きたいことあるから」


反応がない


こいつ、親切にしてやってんのに


そしてその女性は長考した結果


「分かった」


いやなげーよ‼


体感十分はあったわ‼


...とりあえず連れていくか


帰りの道のり二人は一切会話をすることはなかった。


「家についたぞ」


「あ...はい」


反応薄くね?


「マンションなんですね」


「そうだが何か問題でも」


「あ...いえ...別に」


...


いや、絶対なんかあるだろ⁉


おかしいだろ‼


その反応は‼


まず口調も変だし


「とりあえず入るか」


「はい...」


「あの...わりときれいなんですね」


こいつ俺の事、不潔で家にはものが散乱してるやつだと思ってたのか


「悪かったな きれいで」


俺は少し機嫌を悪くしながら言う


「あ...あの...別に悪いといってるわけじゃ...」


「あ~はいはい分かったからとりあえず風呂入ってき」


服に落ち葉とかいろいろついていて汚いもんな


「え...あの...いいんですか」


「服は俺の貸してやるからとりあえず入ってこい」


「え...あ~わかりました」


相変わらず口調キモいな


あとで直せって言っとくか


いろいろ考えているうちに女性は脱衣所に向かう


そして脱衣所の扉を閉めるときに言い放つ


「...絶対に見るんじゃねーぞ」


「は...はい」


え...なにそれ?


怖すぎだろーーーー!!


いや口調もどってたし


あいつ警戒すると口調戻るのかな


シャワーの音がする


あ~でも誰かが俺の家にきて風呂入るのなんて

久しぶりだな


母さん以来か?


...覗きたい。


すごく


とりあえずバスタオルと寝間着の用意だけしてあげるか


...


脱衣所の扉を開ける


「洗濯籠のとこにバスタオルとか寝間着とか置いとくからなー」


「わかったーーー」


声でっか


こんな時間に近所迷惑だろ


時計を見るともう11時を超えていた


なんにも飯食ってなさそうだったし

飯ぐらい作ってやるか


冷蔵庫の扉を開け、食材を確認する


卵、ウインナー、ハム


ろくなものねーな


明日の朝食セットしかねぇ


あ、でもたしか


冷蔵庫の隣においてる冷凍庫を確認する


えっと...たしか


あ、あったあった


冷凍庫の中から冷凍食品を出す


俺の大事なチキン南蛮弁当だけど仕方ないか


レンチンしてしまうか


そうこうしているうちに風呂からあがってくる音がする


...


時計は12時に差し掛かっていた


「着たか」


脱衣所の扉の前で声をかける


「...着たけどなに」


何で機嫌悪いんだよ


「飯の用意しといたから」


「⁉」


「食わんなら俺が食うぞ」


「...食べなんて言ってない」


脱衣所の扉を開け、そいつは飯のほうへ一直線に向かう


どんだけ食いたんだよ


そいつは「いただきます」というと

目線の先にあるチキン南蛮弁当を食べ始める


「...で聞きたいんだけど」


「何」


「もう一度聞くけど高木峰高校の生徒で間違いないんだよな」


「そうだけど」


こいつまた不機嫌なんだけど


「学校では見かけないが」


「別室登校で出席日数もぎりぎりでテストの時も別室だから」


「何で」


「別に教える義理はないでしょ」


まぁ~たしかにないな


「分かった 聞かないことにする」


「⁉」


「聞かないの?」


「いろいろ厄介ごとに巻き込まれるのは嫌だからな」


「あっそ」


話がうまくつながらねーなこいつ


てか口調戻ってなんか安心したわ


...安心なのか?


そうしているとそいつはチキン南蛮弁当を食べ終える


「何年だ」


「...二年」


同じかよ


「...名前は」


「...教えないといけないのか」


「教えたら今日は泊めてやる」


「...高ノたかのみやしずく


聞いたことないな


「よし。今日は泊めてやる」


「いいの⁉」


こいつ俺の話聞いてたか?


「さっき言ったろ」


高ノ宮はそのまま黙り込む




「とりあえず今日は歯磨きしたら寝ろ 歯ブラシは新しいのあるから」


「分かった」


...


俺は布団を1枚だす


歯磨きを終えた高ノ宮が脱衣所兼、洗面所から出てくる


「俺は布団で寝るからお前はベットで寝ていいぞ」


「は? いや悪いし なんか他人のベットで寝るのはちょっと」


「...外で寝るか?」


「ベットで寝させていただきます」


俺は大きなため息をし電気を消そうとした


「あの...」


突如発せられた言葉に指が止まる


「なんであたしなんかにこんな優しくしてくれんの」


高ノ宮はベットに入りながら言う


なに言ってんだこいつ


そしてまたもや大きなため息をつき言葉を発する


「あんなとこに女性一人おいていけないだろ」


高ノ宮は驚いた表情をする


「分かったらさっさと寝ろ」


だが高ノ宮の口数は減らない


「ねぇ」


「なんだ」


「図々しいのは分かってんだけどさ」


「その...これからも泊めてくんね」



なに言ってんだこいつ(2回目)


「あんなとこで一人とか怖いし」


俺は考える


体感2時間は考えた(30秒)


そしてこう答える


「たしかに今日泊めて明日からまたあそこに行けなんていうのもあれだしな」


「いいぞ」


「!?」


高ノ宮はまたもや驚いた表情を見せる


「ほんとにいいの」


そうとう興奮しているようだ


「ただし条件がある」


「エッチなこと以外ならなんでもするぞ」


なんてこと考えてんだよこいつ


俺は数秒、間をあけ


大きく息を吸いこういう


「教室で授業を受けろ」


高ノ宮は思考が止まる


「キョ、キョウシツ?」


「あ~そうだ教室だよ」


「なんで」


「ここに泊めてやるのにタダとはいかないだろ」


「え...でもさっきいいって」


「ただとはいってないだろ」


高ノ宮は黙り込む


「...で将来ここの泊めてやった代を払うのに中卒は厳しいだろ」


「そんなの別室登校でも」


「世の中そんな甘くないぞー 社会に別室通勤なんてないからなー」


「た...たしかに」


「人間関係っていうのはな、将来結構重要視されるものだ」


「まぁ~たしかに?」


「だから今のうちに作るんだよ。少しでもいいから」


また高ノ宮は黙る


「...ごめん話が長くなったな...寝るか」


時計は1時を回っていた


俺が電気を消し、布団にはいり目をつぶった


「最後に一ついい」


「...なんだ」


俺は少し尖った口調で答える


そんな中高ノ宮はこう言う


「こんなあたしでも...」



彼女は少し小さめの声で言った


「青春ってできますか」







こんにちは。こんばんは。


朱華ナツメです(^▽^)/


小説は定期的にではなく


いいところ?までいったらあげていくスタイルです


つまり一話ずつではなく、何話か一気にあげるといった感じです


ご理解よろしくお願いします。


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