第31話 嫌い

「なんで来た...?」


今俺が会いたくない人ランキングトップの人が来た


「あ~あれって私もあんたも悪いじゃん?」


「だからなんですか」


俺は若干の嫌味を混ぜる


「一応私にも責任あるから」


なんだよ責任って


「後一つ聞きたいことあんだけど」


「...」


「あの...高ノ宮さん?ってこと一緒に入ってたの。あれなに?」


「...訳あって一緒に住んでるだけだ。決してやましいことはない」


「ふ~ん。そっか」


「俺からも一ついいか?」


「...何?」


「俺はお前が嫌いだ」


「...っ!」


「この際はっきり言わないといけないと思いまして、あえて強い口調で言いました」


俺は顔のいい女は嫌いだ


責任を一人で覆いかぶさりたくないから

さっきも”私もあんたも悪いと言った”


俺はこんなやつと関わりは持ちたくない


だからはっきり言ってやった


「...聞きたいこと聞いたし、私帰るから」


「早くお引き取りお願いします!」


綾瀬は立ち上がり

ドアの方へと向かう


「最後に一つだけいいか?」


扉に手を掛けた時に言う


「なんだよ」


「...ごめん...なさい」


「え?」


綾瀬はそう言うと

扉を開け出て行った


今のは何だったんだ?


あいつなりの誠意か?


だとしたら俺はとんでもないことを言ってしまったのかもしれない


―――いやそんな事どうでもいいか


「じゃあ私たちも帰りますから」


扉の向こうから声がする


「わかりました!今日はありがとうございました!」


「また学校であおな!!」


相変わらず加賀城は声がでかい


俺は個室だったが

他の患者もいる状態だったら迷惑でしかない


「お~す!」


...一気に暇になった


やることもないし

本でも読んでおくか...


学校の鞄が近くにあったので

そこから本を取り出す


よし!じゃあ始めますか!


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退院まではあっという間だった


数日で

医者から帰っていいよのサインがでた


今は朝の9時

休日だ


久しぶりのマイホーム


高ノあいつ大丈夫だったろうか

一応カギは持たせておいたが...


口座番号とか金庫の番号は教えてないし


おこずかいだけで

やりくりするようになっていたはず


あ~心配になってきた


俺はそうおもいながらドアを開けた


「た、ただいまー!!」


あいつは起きているだろうか


「...」


へんじがないただのしかばねのようだ


ではなく案の定寝ているだけであった


まぁ~休日だし

しかないのであろう


しかし寝顔だけは天使なんだよなぁ~


素材がいいだけあって

中身の事は悔やまれる


...何思ってんだ俺は


とりあえず朝飯でも作るか


俺はキッチンに立つ


...予定だったのだが


「...ってなんで洗い物や洗濯してないんだよぉぉぉぉ!!!!」


俺は彼女を起こし

洗い物や洗濯をさせた


「それにしても帰ってくるの早かったな」


洗濯機の前でボタンを押しながら彼女は言う


「まぁ~特に異常はなかったしな」


「そうなのか...それは良かった」


「確かに家主がいなくなったら行く当てないもんな」


俺は苦笑しながら答えた


「それもそうだけど...」


高ノ宮は少し照れくさそうな顔をする


「へ?」


あの高ノ宮が俺を心配している?


あしたは槍でもふるんじゃね~かな


「あ、今失礼な事考えただろ!...後その気持ち悪い笑い方もやめろ」


「お前キモって...!まぁ~いいけど!とにかくご飯にすんぞ!」


「へ~い」


そのまま今日が終わっていった


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朝7時


弁当も作り終わり

家を出る15分前

俺はあることに気づいた


俺って昨日

学園アイドルトップ3の一人にとんでもないことしたよな...

しかも写真も消してもらってないし


これは完全に『詰み』である


とりあえず高ノ宮には伝えるしかないか


「高ノ宮さ~ん?」


「ん?なに?」


高ノ宮も同時に出るため

スクールカバンの用意をしている


「非常に言いづらいんだけどさ...その~一緒に家に入るとこ写真撮られた」


「え!?」


彼女はスクールカバンを地面に落とした


「それ誰に!?」


「学園アイドルトップ3の綾瀬って人」


そういうと高ノ宮の周りは空気が変わった


「じゃあそいつを絞めればいいわけか」


「判断が早すぎるって」


「じゃあどうすればいいわけ」


こいつは絞める以外に脳はないのか


「とりあえず今日、二人で説明しに行きます」


「ま、まぁ~それでいいならいいけどよ...」


こいつ分かってるのか?


俺はそう思いながらも家を出た


.......


「今日も早いんですね。明見日さん」


「はい。いつもこの時間にきて、1組の教室を開けるのが私の仕事ですから」


そう言うと彼女は走って職員室まで行ってしまった


やっぱり俺の女神さまだ


陰キャの俺でもこんな子と付き合ってみたいという願望はある


まぁ~実際はそんなこと

ありはしないが


俺も教室に向かって...


「やっほ~山崎くん」


後ろから声を掛けられる

...この声


「...綾瀬さんですか」


「やっぱり私のことってまだ嫌い?」


「...流石にあの時は言いすぎました。すみません」


「...別にいいよ。怒ってないし」


「でも、なんであんな事言ったやつに話しかけてくるんですか?」


「う~んそれはね~...君に興味を持ったからだよ」


「え?」


俺が振り向くと

笑顔の綾瀬さんとその後ろで見ていた明見日さんの姿があった

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