第32話 転校生
明見日side
朝の7時30分
私は耳を疑いました
まさかこんな近くにも...
害がなさそうだったので手をまわしていませんでしたが...
これは由々しき事態です
「え?キョ...キョウミ?」
「どうしたの?急にカタコトになっちゃって、別に変なことは言ってないと思うけど」
「いやだって...俺に興味?」
「?」
これはまずいです!
非常にまずいです!
とりあえずここはなんとしても山崎くんから引きはがさねば!
「あ、あの~お取込み中でしたか?」
「あ、るみっちじゃん」
「綾瀬さん。おはようございます」
「それで...なにかあったんですか?」
「...なんでもないよ~」
そういうと綾瀬は自分の教室へ戻っていった
「あ、明見日さ~ん...ありがとうございました~!」
その言葉と同時に山崎はその場にへたり込んだ
「大丈夫ですか?山崎くんは顔がいい女性苦手ですもんね」
「そうなんですよ~。もう話すだけで吐き気がするぐらいで...」
「吐き気...!?大丈夫なんですか!?」
そう言いながら山崎に近づく明見日
「だ、大丈夫ですよ!明見日さんのお手を煩わせるわけにはいきません!」
しかし明見日の下心がばれたのかその手を躱した
「あ...そうですか。すみません」
「いえいえ!心配かけさせてしまって、本当にすみません!」
後もう少しだったんですが...
「...とりあえず教室開けましょうか」
そういうと明見日は教室開け、いつもの席に座った
「明見日さん」
「なんですか?」
本を読んでいた明見日が手を止め
その声に反応する
「俺たちが初めて会ったのって覚えてますか?」
忘れるはずがありません。
私と山崎くんが初めて出会った日
「はい。中学2年生の夏でしたよね」
「なぜあの時声を掛けてくれたんですか?」
「それは...」
とてもじゃないけど言えません
あの時、加賀城さんが声かけていたので私も仕方なく声を掛けたなんて
「困っていそうだったからです...」
そう言うと山崎の顔は少しどこか笑顔になったになったような気がした
「やっぱり明見日さんは優しいですね」
「...」
そんなこと言わないでください
私は優しくありません...
「俺なんかに話しかけてくれて嬉しかったです」
「...そうでしたか」
その言葉を続けられるほど、明見日の心は締め付けれられていく
「明見日さん」
「なんですか...」
名前を呼ばれた後、山崎は明見日に近づいていく
その足音に反応して明見日は近づいてくる足音の主の方を見た
その顔はとても笑顔で明見日にとって
それはもう一度心に何かを芽生えさせるものだった。
「本当にあの時はありがとうございました」
そう言うとその主は自分の席に戻り机に置いてあったブックカバーが付いた一冊の本を開く
私は何を考えていたんでしょうか
彼に罪悪感を抱いたり、この気持ちは本当の物なのか疑ってしまうときもありました...
ですが今ならこう断言できます。
「私はあなたが好きです...」
「え?なにか言いました?」
「あ、いえ!」
その答えを言うと山崎は首を少しかしげるとまた本を開いた
つい声に出してしまいました
...いけませんね...このままだとこの気持ちが抑えられない気がします
この気持ちを伝えるのはもう少し先です
ですが...こう余裕もありません。一緒に住んでいるというアドバンテージを持っている卑しい雌がいますから
そうしばらくするとどんどん生徒が登校してくる
加賀城さんの周りには男女関係なく色んな生徒がいて
私の周りにも仲のいい人が数人
山崎くんは高ノ宮さんのゲーム攻略を手伝っている
それがいつもの日常。
それが今日で変わりました
「お~い皆座れよ~」
その一声で群がっていた生徒が次々に座っていく
「前、高ノ宮が来てくれただけでも嬉しいのだが、今日はそれと同じくらい嬉しい報告がある...じゃあ入ってくれ」
「は~い!」
その元気な声と共に入ってきた生徒。
その光景は私に「またですか」と言わせるものでした
私が推測するのに身長は160くらい
髪色はオレンジベージュと言われる色、髪型はポニーテール
いかにも男受けがよさそうな見た目ですね
こんなに努力しているということは顔は...
「私、
そう元気に挨拶した子、玖宮はそれもまた美少女であった
「じゃあ玖宮は...山田!お前の隣だ!」
山田からは「よっしゃぁぁぁ」という言葉が響いた
ちなみに席は左端の一番後ろである
また山崎くんのライバルが増えないといいですが...
そして次第に時間は進んでいき、4時間目が終わり、
いわゆる休み時間兼、昼食の時間を迎えた
今日は加賀城さんの周りではなく、その美少女転校生の周りに群がっていた
加賀城も本人もその美少女転校生に群がっている一人だった
山崎や高ノ宮は未だにゲームに没頭していた
その人気の彼女はその様子をどこか視線を向けているようだった
そして何かを決意したのかその少女は席から立ち上がりこちらに歩いてくるようだった
そして山崎や高ノ宮の前に立つとこう言った
「久しぶり!山崎くん!」
その言葉に周りは驚きが隠せなかった
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