第17話 自宅

「あ、あの!...なにか...お探しですか?」


??


こんな子

この本屋にいたか?


「あ~いや別に探してはないんだけど~」


「あ...そうですか...そうですよね...」


今にも泣きそうな顔になっていた


ドンっ!!!


突然後ろから扉が勢いよく開く音がした


「誰じゃぁぁぁぁぁわしの孫、泣かしとる奴はぁぁぁぁぁぁ!!!」


!!


この声はまさか...


「ん?よく見たら坊ちゃんじゃないかい」


「ここにはいつもお世話になっております」


この人は

ここの店主の80代のじいさん


奥様が早くに亡くなられたらしく

ここを一人で切り盛りしている


それにしても孫がいたなんて初耳だぞ


まず子供がいたことすら

知らなかったぞ


「で?わしの孫はなんで泣いとるんじゃ?」


じいさんは涙目の孫を抱きしめる


このじいさんからただならぬオーラを感じる


「本をなにか探してるか聞かれて、別に場所わかるし、探してないって答えたらなんか泣き始めて...」


よしっ!


別に嘘はいってないし

このじいさんは温厚で知られてるし

別に問題は...


「つまり坊ちゃんが悪いんじゃな?」


「へっ?」


思わずすっとんきょうな声をだしてしまった


「つまりわしの孫がせっかく勇気を出して声をかけたのにそれを振ったわけじゃな?」


まぁ~そういうことになるけど


!!!


山崎は何かをひらめく


まさかこいつは!


「早く答えんかぁぁぁぁぁいっ!!!!!!!!」


こいつマゴコンだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!


俺はそのあと

もう何時間たったか忘れるくらい怒られた


ほしかった漫画も買うのを忘れた


今日はいろいろあった一日だった


家のドアにカギを差し込み

ドアを開ける


まだ帰ってないか


時計は4時半を指している


夜食やしょく作らないとな


俺の家はカレーの隠し味に赤ワインを入れる


じゃあ調理開始とするか~


...........................................................................................................................................


扉が開く音がした


帰ってきたのか?


俺はいったん調理をやめて

玄関のほうに向かう


「来ちゃいました」


そこには黒髪ロングでスタイルもよく

The.清楚という女性が立っていた


「明日見さん!どうしてここに!?」


明日見さんがうちに来るなんてそう滅多にない


前に家に来たときは俺が熱を出して休んだ時だ


その時は看病してくれて嬉しかったな


...いやそんなこと思い出している暇はない


俺は最近、明日見さんに距離を置かれているというか

嫌われたというかそんな感じだ


いよいよここまで来て報復に...


「とりあえず入らしてください」


「あ、うん。どうぞ」


俺は正直今

すごく怯えている


こんなにも明日見さんが怖いと思ったことはない


とりあえずここはいつもの感じで乗り切らなければ


「失礼します」


明日見さんは俺の家に上がると

リビングのほうへ向かった


「今なにか作っている最中でしたか?」


「え?あ!はい!カレーを作ってました!」


俺はカレーを作っている


そう!二人分


俺はまだ明日見さんに高ノ宮がしばらくの間ここに泊まることは言っていない


言ったら明日見ネットワークを通して俺は処刑されるに違いない


ここはばれないように気を付けなければ


「カレー作るにしては多くないですか?」


!?


明日見さん...


勘が良すぎるよ


「まぁ~ほら?カレーって長持ちするし」


カレーは長持ちする


これは事実だ


「はぁ~そうですか。山崎くんがそういうなら信じます」


納得はしていないようだったがここは切り抜けられた


「ところで今日はなんの御用で?」


「別に用はありませんが?来てはいけなかったでしょうか」


圧が強いよ明日見さん

直ってないよ


「いえ...別に」


明日見はリビングをうろうろし始める


「えっと...何して個々に追うんです


「ここはなぜか嫌な臭いがするんです」


嫌な臭い?


そんなに俺のリビングって臭かったか?


「臭くてすみません...」


今度から消臭剤でも買うか


「いえ!あの!別に山崎くんの家が臭いというわけじゃ!逆にこれはごほu」


??


明日見さんなにか最後のほうに言ってなかったか?


よく聞こえなかったけどまあ~俺に対するなにかだろうとは分かった


「とりあえず料理作っている最中なので戻りますね」


俺は逃げるように台所へ戻った


とりあえずこれでなにも問題なs


「ただいまーー」


扉が開いたと同時に

俺の死は確定したのである

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る