第29話 苦肉の策

「いや!まぁ~童貞ですけど!?」


響き渡る童貞という単語


「恥ずかしくなるからやめてください...」


「えっと...なんかごめんな?」


可愛そうになり謝る半金髪ギャル


決して悪気はない後輩


---この状況はどうすればいいのだろうか


「と、とりあえず今日はここまでにしときましょうか」


高ノ宮さんっ!


やっぱりこの学園の天使は一味違うようだ


「じゃあもう帰りますので。後はその女子の皆様でよろしくお願いします」


逃げるように去っていく山崎


「じゃああたしも帰るんで」


"おつかれしたぁ~"と言って出ていく


「...皆出て行きましたね」


「じゃあ私たちも帰るとしますか」


「じゃあ私は片付けとかしとくんでぇ~先帰っといてくださぁ~い」


---そうして会議は終了したのであった


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「はぁ~やっと終わったぁ~」


「そうですね」


「てかあたしたちって一緒に帰って大丈夫なの?」


「まぁ~もうすぐ家ですし大丈夫でしょう」


「そんなもん?」


「そんなもんです」


何気ない会話をして帰る


「そういえばもう一週間ぐらいたったんですね」


「ん?あ~あたしが来てもう一週間かぁ~」


「この一週間はとても長く感じましたよ」


「たしかに長く感じたな」


「そういえば一つ思ったことがあるんですがいいですか?」


「ん?なんだ?」


俺はこの一週間で思ったことがある


そうそれは


「高ノ宮さんって家でなんもしてなくないですか?」


「あ。たしかに」


そうこいつには家での役割がない


もしかしたら与えてないのが悪いのかもしれないが


「だから今日は家に帰ったらなにか役割を決めましょう」


「まぁ~居候している身としては仕方がないことか」


「"居候"ではなく"泊めている"だけです」


そこは勘違いしてほしくない


「なにが違うんだ?」


「泊めているっていた方が家から出しやすいじゃないですか」


「結構言うな...」


「何と言われようとも泊めているだけなので」


少しムキになって答えた気がする


「あれ?あんたたちも帰り一緒なの?」


そう言ったのはさっきまで会議していた綾瀬であった


「あ...えっと~綾瀬さん?でしたっけ」


「せ~かぁ~い」


あの自己紹介の時からなんとなく思っていたがこの人


「...学園アイドルトップ3になるには誰かとのお付き合いは禁止なんだけど」


「は!?別にこいつとはそんなんじゃね~し!!」


「そうですよ!なんでこんなやつとお付き合いしなきゃいけないんですか!!」


「ちょ!こんなやつってっ...!」


「あ~はいはい分かってる」


掴めない人だ!!!


さっきから興味ないのかあるのかとかわからないし

陰キャの俺はどう接すればいいかわかんない!!


「で?なんで一緒に帰ってんの?」


「あ~家が近いもんで」


「...ふ~ん」


その"ふ~ん"やめて!?


いや絶対なんか仕掛けてくるって!!


「じゃあ私帰るから」


仕掛けてこない?


「え、あ~じゃあさよなら」


「おつ~」


帰って行ってしまった


何だったんだ一体?


「と、とりあえず帰りましょうか」


「...そうだな」


このまま何事もなかったらいいけど


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「やっと家着いたぁ~」


「お疲れ様です」


家のドアを開け

愛しのソファーえと向かう


「あと4日間もあんの?学校」


「まぁ~休みは4日後ですね」


「だりぃわ~」


「仕方がないことですし」


「あたしにとっちゃ仕方がないことなんだよ」


ソファーに寝ころびながら言う高ノ宮


正直こっちも疲れているのでめんどくさい


「とりあえずこの家の役割とか決める前にご飯食べちゃいましょうか」


「ん。」


ごっはん!ごっはん~


今日の昼めしも美味しかったなぁ~


...昼飯?


あれ?俺は売店だけど高ノ宮ってどうしてるんだ?


「高ノ宮さん?」


「ん~?どした?」


「高ノ宮さんって昼めしってどうしてるんですか?」


「あ~財布にあった金で何とかつないでる」


あれ?こいつ財布って持ってたっけ?


「お前財布持ってた?」


「あ~えっとぉ...」


そういえば俺んちって非常用のお金が...


「使ったな?あった財布」


「本当にすみませんでした!!!」


ソファーから降りてこちらに向かって

スライディング土下座をかました


「それともう一つ」


「?」


「今までお昼は何食べてきた?」


「え~と...焼きそばパン」


「と?」


「...カレーパン」


「と?」


「...メロンパン」


「なに人の金で豪遊してるんですか!?」


「す、すみません!!」


「まだ食べたものあるだろ!!全部だしなさい!!」


「は!!はいぃぃ!」


なにやら俺の非常用の財布をゴソゴソとしているようだ


「い、いつもこんぐらい...です」


高ノ宮は目をそらしながらレシートを渡してきた


「お前...いつもこんなに食ってんの?」


そこには金額のとこが4列ならんだ数字を見つけた


「いや~足りなくって」


「足りなくってじゃね~だろ!!」


「すみません!!!」


こいつは何回謝るんだよ


さすがにこっちが悪いことしてるみたいになってきた


「...次からはお小遣い制な」


高ノ宮は顔をあげ輝かせる


「できれば月5万はほしい!!」


「お前舐めてんのか!!!」


「すみませ~~~~~ん!!!!!!!」


こうして俺の一日が終わった


なお小遣い制なのだが


割と本気でせがんできたので

月2万にしてやることになった


高ノ宮は不満そうであった


本当にお嬢様だったのかもしれない


これからまた生活が厳しくなりそうなので


食費も抑えないといけない


...残り物とか弁当とかいろいろ考えなければ

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