第15話 答え合わせ
「天明界第四支部は壊滅ですか。流石は団長ですわ!」
「あーしがずっと探してた場所なんだけど。先回りされたのはちょっと悔しいわー。団長って未来でも見えてるのかね?」
どうも神です。誰に挨拶をしているのか分かりませんが私は神様なのです。聖神アルカディア様なのですが、どうにも誰も信じてはくれません。
まぁ、今のところバラすつもりもないんですけどね。
「天明界も焦っているっしょ。支部が一個一夜で潰れたんだから」
「えぇ……しかし、団長はどうやってあの二人の確保をなさったのか気になりますわね。拠点も事前に分かっていらっしゃいましたし」
「団長だから説明はそれで良いでしょ」
本人はロリコン集団と思っていたみたいですけどね。後処理全部私だったので本人何も知らずにお弁当食べてますよ(マジ怒神モード)
「ただ、流石にわたくしも怪しんでいますの」
ほう、キルスさん流石にあの人のダメっぷりに気づいてしまいましたか
「団長ほどの方が人間の枠に入るのは無理ではないでしょうか。もしや、団長自身が聖神アルカディアなのではないかと」
え!????!!!!
「あーしも思ってたよ。流石に団長クラスの人間はいないんじゃないかって」
ええええ!? あ、あの、私、実は神様で……
「あ、あの」
「副団長どーした?」
「なにかありまして?」
「あの、私実は神様なんですけど。ゼロ様じゃなくて神様は私でして」
ロッテ様とキルス様は顔を見合わせて複雑そうな顔をしておりました。これは冗談!? みたいな顔をしたり、普通に疲れているのかなみたいな顔をしていたり。
「あ、あー、そうですわねぇ。あっと、えとこれ。わたくしのお昼に食べようと思っていたクッキー食べてくださいまし」
「あーしもかぼちゃプリンあげる」
「え、あどうも」
「疲れてますわよね」
「あーしこれから副団長のサポートガチでガチるわ」
あ、これ可哀想な人だと思われるんですけど……まぁ、クッキーとプリンは食べますけどね!
もぐもぐ
「てか、天明界に捕縛されてた子供ってどうなったん?」
「団長の祖母の方、ルバザ様の孤児院で引き取って貰うらしいですわ」
「ふーん、孤児院ってお金かかるんじゃ」
「ルバザ様はかなりの財を持たれているとか。それと革命団から数人を送ることにもなっていますわ」
「革命団のことは知ってるの?」
「いえ、ルバザ様にもそれは秘密に団長はしているようですわね。なので、あくまで純粋に一般の人として雇って貰うようですわね」
もぐもぐ
「天明界も第四支部を潰されたから流石に焦るだろうね」
「そうですわね。こちら側には団長がいる、それだけで勝ちは確信しておりますわ。ただ、芥川龍太郎の本を集めるようにと上位会員のディラーが上に報告をしていたのが気になりますわね」
「上位会員って、なんだっけ? あーし忘れちったわ」
「天明界は会員制ですの。下位会員、中位会員、上位会員、特上会員。そして天神人ですわね」
「今回のは上位会員をぽしゃったわけね」
「そうですわね。上位会員でも聖騎士を遥かに凌駕する実力がありますし」
もぐもぐ
まぁ、正直ゼロ様が居れば全部関係ないと思いますけどねぇ。
さーてと息抜きにゼロ様の様子を見に行きますか。
◾️◾️
私は猫である。名前は特にありません。
銀色の毛に青い瞳、猫として私より可愛い猫は存在しておりません。
「にゃー」
「お、レイにゃか」
私は猫である、学園に通っているゼロと言う少年に懐いています。
名前が無いとか思ったりもしていますが、実はちゃんと【レイにゃ】と言う名前があります。
「にゃにゃ!」
「おお、今日もかわいいなぁ。やっぱりレイナに似てるわぁ」
詳しくは知りませんがゼロ様にはメイドがいるそうでそのメイドが、私にそっくりらしいです。
可愛いだなんて見る目ありますね!
「お兄様!」
「リトルシスターか」
「聞いて! 変なやつにずっと絡まれてるの!」
「誰だよ」
ゼロ様の妹であるイルザ様ですね。部屋に兄のシャツをしまい込んでいるヤバい妹です。掃除の時に没収をして私物にしているくらいヤバい妹です。まぁ、姉も姉でパンツ盗んでいるので何とも言えないですけど。
ゼロ様ヤバい姉妹に挟まれているのです。なので掃除の際は私が回収をして保存をしています。使命感で行動しているので私的欲求はないです。
「ふふふ、随分と私を恐れているようですね」
「アンタが面倒だからスルーしてたのよ」
「誰だ」
「お兄様、キャル・スリヌーラよ。よく家にきてた面倒な女じゃない。顔だけは良いってお姉様も言ってたの覚えてないの」
「ナチュラルに煽る癖は相変わらずですね。イルザさん。ふふふ、落ちこぼれを兄に持つ貴方らしいと言うか」
「ほら、こうやってすぐに悪口言うんだもん」
「すぐに怒る癇癪持ちの貴方に言われても全く効きませんよ」
「こんの!」
「顔でかいですね」
「なにを!!」
あぁ、この人昔屋敷に来てましたね。キャル様は結構悪口を言ってしまう、思っていることを言って煽ってしまうタイプです。
彼女には取り巻きがいて、今も4人ほど男女二人ずつ居ます。
「キャル様、このような落ちこぼれと関わる必要はありません」
「そうですよ」
「ふふふ、しかし、イルザさんはこう見えて主席、前期成績もトップですからね」
「まぁね。アンタもずっと次席で満足してるもんね。僻みたくなるわよね」
「ふふふ、今までのは単なる投資。勝つための布石ですよ。イルザさん。相変わらず夜はおねしょですか?」
「そ、それは言うな! お、お兄様! なんとか言って! アタシが虐められてるの!」
「ん?」
ゼロ様は興味なさそうにノートに文字をずっと書いているご様子。中身は資産形成のための商売計画ですか
この人団長とか代行者辞めたくて必死ですもんね。まぁ、辞めさせることはありませんけど。
最近、団員たちの士気が上がっているのか信仰が強くなっています。魔力が以前よりもちょっと増えましたし。
一級魔法連発くらい出来ちゃいます! 褒めて褒めて! とゼロ様に言ったらそれくらい普通だろと言われて、瞳をうるうるさせていたらハグしてもらいました! やったぜ!
などと回想をしている暇はないようですね。
「お久しぶりですね、ゼロさん」
「おー、久しぶり。半年ぶりくらいか」
「いいえ、349日、5時間46分ぶりです」
「おお、覚えてるのか」
「えぇ、相変わらず落ちこぼれ満喫ですね」
「そうなんだよ」
「……少しは怒ったらどうですか?」
「うーん。でもお前、怒ったら喜ぶだろ。人の感情を逆撫でしたいメスガキの印象だからさ」
「め、メスガキ……ふふふ、相変わらず言ってくれますね。ゼロさんは成績が最下位クラス、魔力がないのによく在籍できてますね。褒めてあげます。ぱちぱちぱち」
「おお、煽ってるな」
「えぇ、煽ってますよ。ざーこざーこ、雑魚で最下位で魔力もないのにコネだけでギリギリ在学してる人だと見下してますよ」
「ほほう。言ったな小娘」
「ようやく怒りましたね」
「怒ってはないけど……それにしても相変わらず可愛いな」
ゼロ様は立ち上がり、わざわざキャル様の後ろから、背中越しに彼女に話しかけた。
「ちょっと待ちなさい。なぜ、背中越しに私に話しかけるんでしょうか?」
「あぁ、胸無さすぎてこっちが表と思うたわ(関西弁)」
あーあ、その人はレスバも強いので煽ったら百倍返しで帰ってくるの知らないんだ。
「……ふ、ふふ。その程度の煽りに私が乗るとでも?」
「いや、そんな訳ないだろ。俺はお前を軽く見てない」
「だから、背中越しに話しかけるを辞めなさいッ」
「え? 怒ってる?」
「ああ、そうで……っ。いけないけない。この人のペースに巻き込まれるとダメだと分かっているじゃないですか」
「あ、でも、そう言えばキャルのお父さんってこの学園の学園長だよね。コネ入学流石っすわぁ。あれだよね、試験とかも教えてもらえるんでしょ?」
「そ、そんな訳ないでしょ!! ちゃんと試験受けてますよ!!」
「あーそうなんだ。じゃ、ちゃんと試験受けて俺の妹に負けたのか」
「こ、これは投資投資! 負けたんじゃないもん! 最後に勝つの私だもん!!」
「あれ? 言葉が幼くなってるよ」
「そ、そうやっていつもゼロ君は意地悪するから!」
うわぁ。引くわぁ。女の子相手も容赦しないゼロ様引くわぁ。
しかし、キャル様もこれではいけないと思ったのか顔をキリッとして仕切り直す。
「ふふふ、以前の私なら今ので負けていましたね。今回の勝負も全ては私の計算。この勝負がいずれ敗北への導火線であるとは貴方は知る由もないでしょう。真の天才は勝負を常に計算しているのですよ」
「あぁ。だが、お前は次席、俺の妹には勝てないんだ。そして、レスバでも剣術でも俺に勝てない。じゃあな、次席。俺達兄妹が居る時代に生まれた哀れな凡夫」
「こ、このぉぉ!! なんでいつもそんな言葉がポンポン出るんですか!」
「キャル様! 落ち着いてください! こんな落ちこぼれかまってもしょうがないですよ」
「そうですそうです! キャル様は次席で凄いですよ!」
キャル様は今にもゼロ様に殴りかかろうとしていますが、周りに停められております。
そこへ、イルザ様も一歩前へ出ました。停戦の申し入れでしょうか?
「じゃあね。自称天才、アタシ達兄妹の時代に生まれた哀れな凡夫」
「こ、このぉ!! 覚えてろよ! このぉ!!」
「お兄様、こんな凡夫放っておいてお昼食べにいきましょう」
「そうだな」
平和なお昼で安心しました。さて、そんなお昼ですが何故かキャル様も同席をしております。
「何の用?」
「少しお話をしたいと思っているだけですよ。天才の話を聞いておくも良い勉強になりますよ。ゼロさん」
「次席の話なんてお兄様にいらないわ。アタシ、主席よ」
「えぇ、無視させてもらいますね。さて、ゼロさん貴方本当に成績がやばいのでは?」
「それなりにはやってるけど」
「ここだけの話。最近、妙な事件が多発していることはご存知ですか」
「いや、知らん」
「……俄かには信じられませんが六大神を本気で復活させようとしている連中がいます。神源教団はご存知で?」
「知ってるぜ」
「あの方々は純粋なる信仰をしていると思っていましたがどうやら神々の復活を本気で目論んでいるとか」
それなら誰よりもその方は知っていますよ。ゼロ様は神様とか信じていないのですが。
「つかぬことを聞きますが、ゼロさんは神を信じますか」
「信じない」
「その心は」
「見たことない。知り合いに見た人がいない」
「まぁ、そうなるのが普通ですよね。ただ、神源教団だけではないらしいのですよ」
「もしかして、天明界と言うやつかしら?」
「い、イルザさん、どこでそれを!」
「最近やたら巻き込まれるのよ。代行者様とか天明界とかね」
「……そこまで知ってるなら無理に隠すのもおかしいですね。えぇ、仰る通り代行者、天明界なども神々の伝説に絡んでいるようなのです」
「そうか(陰謀論を信じてる人、改めて多いなと思う)」
「お兄様を守るために色々調べてるの」
どうやら、キャル様も色々裏で動きがあるのが分かっている生徒なのでしょうね。
まぁ、この中で一番動いてる人が何も知らんみたいな顔してるのは笑いものですが
「悪魔の発生率上昇、天明界、代行者、神源教団。何やら怪しい状況になってきてるのはお父様も分かっているようでして。魔法騎士全体のレベルアップが必要であると判断し、今期から試験が増えたり、難しく、また遠征なども多くなるそうなのです」
「へぇ、それで俺を心配してくれたのか。いいやつだな」
「……宿敵が勝手に消えてしまうのが勿体無いと思っただけですよ。だから、せいぜい足掻いてくださいね」
「優しいなぁ。さすが次席だ」
「アンタ、良いやつじゃない。次席だけど」
「イライラする兄妹ですね……ゼロ君貴方は魔力なしの弱い人間です。精々気をつけてくださいね。世界は徐々に弱者を食おうとしていますから」
「がってん承知の助」
「本当に大丈夫でしょうか? この人」
「お兄様……その挨拶すごく良いわね! なんか友達たくさん出来そうな挨拶ね!」
「それしたら絶対減りますよ。変な人だと思われること間違いないですし」
言いたいことが終わったのか、キャル様は淡々と昼食を食べた。
「それにしてもゼロさんは変わったのを食べていますね」
「寿司だな」
「寿司?」
「お前良いやつだから一個食べて良いぞ」
「遠慮しておきますよ」
「ならアタシがもらうわね! お兄様のお寿司結構好きなの!」
「……やっぱり貰います」
「そういうすぐムキになるの治したほうがいいわよ」
「貴方に言われたくはないです……もぐもぐ、ごっくん。あら、美味しいですね。ゼロ君、成績悪いですし落第したら私の専属コックとして雇ってあげますよ。元許嫁のよしみで」
「いらないから安心してくれ」
「そうですか」
あぁ、そう言えばこの人元許嫁でしたっけ。そう思うとこの人、すごく悪い人に見えてきました。この世界の不幸だいたいこの人のせいじゃないですかね?
「あぁ、そうそう。他にも不可思議な存在が増えているそうですね」
「そうなのか」
「魔法少女、とかなんとか。悪魔が大量に現れるとどこからともなく現れる魔法騎士だとか。途轍もなく強いらしいですよ。お気をつけてくださいね」
「最近は変わったのが多いんだな」
代行者貴方でしょ、神は私ですし。最近の変わっている存在ツートップがここに集結してますよ。
「あ、そうだ、俺そろそろ行くわ。これ食べていいぞ」
「あら、お兄様どこ行くの?」
「なら、このお寿司はいただきますねゼロ君。それでどちらへ?」
「あぁ、ビッグシスターと放課後会う約束してたんだ。今日はもう、午前中で授業終わりだろ。だから、行ってくる」
「え!? ならアタシも行くわ! 絶対行くわ! お姉さまちょっとあれだし! まぁ、尊敬はしてるけど」
「それならどうぞ。このお弁当箱は今度洗ってお返ししますね」
アルザ様、そう言えば会うの久しぶりですね。
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