第49話 ラグラー家
「お兄様! 勝手にメイドを雇うってどうなのよ!!」
「うむ、雇うしかなかった!」
「あーやだやだ、そうやってハーレムを築こうとしてるのね。やだやだ」
我が家に新たなるメイドを雇ったのだが、我が妹【イルザ】は納得がいっていないようだ。
「あの【タルミラ】ってやつ、アタシ、オーズドルルであったのよ。変なやつだったわ! 顔は可愛いけど! だから雇ったのね!!」
どうやらリトルシスターは【タルミラ】と会ったことがあるようだった。
「そんなんじゃない。ほら、家広いから掃除が大変だろ」
「レイナにやらせればいいじゃない」
「サボるだろ」
「それもそうね。あいつお兄様の部屋しか重点的にしないもの」
おい、レイナちゃんと働け!!!! 給料を減らすか……
◾️◾️
「うむ……まさか、団長殿がここまで考えておられるとは」
アルカナ幹部【星】ジーンは【アルカディア革命団】拠点にて深く、感嘆をしていた。
(オーズドルルにて、相対した【ヘルボルト】……その配下と思われた【タルミラ】という少女が団長殿の家におられた)
ジーンはまさかヘルボルトとゼロが同一人物であるとは思いもしなかった。だが、ヘルボルトと僅かに邂逅した時に、タルミラの顔は見ていた。
(【ハニートラップ】と言うやつなのですかな。ほほほ、宇宙人の情報を抜くために相手の仲間をたらし込むとは)
ゼロがタルミラをハニートラップでたらし込んだと勘違いした!!! そしてそれは一瞬で幹部たち、団員にも通達される。
「団長、ハニートラップだってよ」
「流石俺たちの団長だ。顔もかっこいいし余裕だよな」
「まさか、魔力だけでなくハニトラもずば抜けてるとはな!!」
男性団員は感嘆の声しかあげなかった。まさか、そっちの才能もあるとは思っていなかったようだ。
「あーしも宇宙人なら……ハニトラを受けられたのか……」
【月】キルス。アルカナ幹部の彼女は自身がこの星の人間であることを後悔した。その他の幹部もこの星の人間でなければ良かったと後悔をした。
「ゼロ様ー! うあぁぁああ! メイドを増やすとは何事ですか!」
一部のメイドは自身の立場が悪くなったことで発狂をした。
──【星】ジーンは再び、あの宇宙人と会った時のを思い出す
「あの、ヘルボルト。なんて言う速度。しかも、あのタルミラを連れ帰った……団長殿はそれを更に強奪したか」
(団長殿が負ける確率があるとは思えんが……分かる。あの宇宙人は団長殿と同じ【無法者】。世界の法則が通じない強者)
「……我が剣にて斬れないと思ったのは団長殿に続いて、二人目か……」
星のジーン。彼はまだまだ強さに飢えていた。団長に続いて世界で二番目であると自負していたが実際は更なる壁があった。
自らの前に壁がある事実に彼は絶望をすることなく、寧ろ高揚をしていた。
「次は斬る」
彼は心にそう決めた。一方その頃、我らが団長は……
「あー、金が欲しい」
「ゼロ様、色々儲けてると聞きましたが」
「なぜ知ってる」
「ふふふ、できるメイドですから」
「まぁ、色々売ってるけど……でも、もっと欲しい!!! 金の風呂に入りたい!!」
団長は金の欲望に飢えていた。
「私もお金欲しいです。ゼロ様!!」
「金を欲しくない奴なんていない。そこでだ、どうすれば金が儲かるかアイデアはあるか」
「うーん。沢山働きます!!」
「奴隷の考えだ!! それではいつまで経っても金持ちになれない。俺はいずれ団長を辞めたら沢山の金でシャム猫を撫でながらワインを片手に別荘で豪遊しながらスローライフをする夢を持っているんだ!! そんな方法でこれが叶えられるか!!!」
「おおおおお!!! 一生お供します!!」
「寄生をしようとするな!!」
こんな馬鹿騒ぎを彼らは屋敷の一室にて繰り広げていた。ゼロはお金が本心から欲しいと思っている人間だ。
いずれ団長を引退したら、スローライフをするのが彼の夢である、夢の果てでもある。
「まぁ、お前に聞いた俺が間違いだったな」
「では、何かあるのですね? お金持ちになる方法が」
「宝を……見つけそれを売る」
「シンプルですね。しかし、宝をゲットするには宝の地図が必要では?」
「ふふふ。その通り。宝の地図なら……実は……見つけてしまった」
ゼロの手には一冊の古臭い本が握られていた。
「これは……俺が通う学園の図書館にこっそりと置いてあった。貸出記録はなし。そして、ここには黄金に至る道が書いてある。【ミッシェル】と言う作者が書いたらしい」
「ほぇ、それはそれは! ワクワクしてきますね!」
「これが絶対に宝の地図である確証はない。ただ、やってみないと分からない」
謎の古文書を手に入れたゼロ、そしてレイナ、彼らは宝を手にすることができるのだろうか。
「うーん、【ミッシェル】って聞いたことない作者だな」
「私はあります。有名な小説家ですよ」
「ほほう」
「確か、ゼロ様が生まれる前に居た作者でかなり人気作家です」
「じゃ、これもしかして創作の本か?」
「その可能性ありです。でも、ミッシェルは埋蔵金を隠してるとかなんとか」
「よっしゃ! トレジャーハンターに俺はなる!!!!」
ゼロは気合いで満ち溢れていた。古文書には難解な文字で数多の古文が書かれていた。
「これ、俺解析できないんだけど」
「ふふふ」
「おお! できるのか!」
「できにゃい」
「こら」
可愛く、舌を出しながらレイナはできないと宣言した。ゼロも特に期待をしていなく、自分もわからないので薄く笑っている。
「誰かに頼れば良いのでは?」
「もし宝を見つけたら山分けになるだろ。それは避けたい」
「確かに私とゼロ様で半分になってるのに、さらにそこから半分になるとは」
「お前は俺のメイドだから無いよ」
「な、なんだってぇぇえええ! ゼロ様器が小さいですよ。そんなんだから、宇宙人とかやって余計にややこしくなるんです」
「うあああああ! 俺が気にしていることを!!!」
てんやわんやで騒いでいると……ゼロはハッとした。
「俺の姉に頼るか……」
「アルザ様ですか」
「ビッグシスターなら、分前いらないって言いそうだし。頭も良いからこれの解析とかもあっと言う間じゃないか」
「それで行きましょう」
二人で計画を立てることに成功した。そして、ゼロの姉を呼ぶことに決めた。幸い彼女は家にいたので、ゼロは頼むことにした。
「ミニブラザーの頼みなら勿論だ。お姉ちゃんに任せろ」
「あざーす!」
「ふ、お姉ちゃんだからな。さて、その古文書を少し見せてくれ」
「ほーい」
「可愛いな、ワタシの弟は。ふむ、古文書は……ミッシェル。名のある名作家か。これは確かに難しい暗号だな」
ゼロは姉の解析が終わるまで適当に待機していた。レイナと一緒にトランプしたり、睨めっこしたり、ジャンケンをしたりして時間を潰していた。
「ふむ、終わったぞ」
「おおお! 流石はビッグシスター」
「ふ、もっと褒めてくれ。さて結果からだが……どうやらこの古文書は我々の学園。ラキルディス魔法学園の地下にあるらしい」
「ほぇ、そんな場所に……どこの国も地下に何かあるって相場は決まってるのか?」
「さて、一緒に行こう。ミニブラザー」
「おす!」
ゼロとレイナ、そして、ゼロの姉であるアルザ・ラグラーは学園の地下に向かった。彼らは宝を手に入れることができるのか……。
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