第4話 入試

 さて、魔法騎士育成学園、通称魔法学園。



「では、入試の資料を配ります」



 学園の入り口では入試の説明の資料を配布された。ふむ、座学、剣術、魔法、面接、どうやら四つの工程が必要らしいな。


 配布された紙について目を通していると……

 

 あれ? 最後にもう一枚なにかあるぞ?


『団長へ』



 うわ、アルカディア革命団、通称『厄介厨二都市伝説軍団』(創始者は俺)からだ!!


 この字は【魔術師】のキルスからだな。うーむ、正直見なかったふりをしたいが団長である手前どうしても見ないわけにはいかない。


 どれどれ……



『お久しぶりです。団長。この手紙を見ているということは入試を受けられていることは間違いないかと思います。現在わたくしも入試を受けており、学園に潜入をするつもりです。団長ほどの頭脳の持ち主ならばわざわざ、書く必要ないかと思いますが』



 うむ、字が丸っこくて女の子の字だ。キルスって、女の子って感じなんだよな。年も15歳でほぼ同級生だし、ピンク色の髪をポニーテールにしている可愛らしい女の子だ。

 気品があって、眼は穏やかな緑色。宝石くらい綺麗って革命団内でも有名である。


 控えめに言っても美女ってやつだろう。ちょっと真面目すぎたり、俺を崇拝しすぎて一緒にいるのが息しづらいのが玉に瑕な子だ。



『現在、天明界の者が学園に潜入をしようとしているという情報は以前会合にてお話をしたかと思います。あの時の団長は誰よりもわたくしの話を聞いてくださいましたね』



 すまん、全然聞いてなかった。ただニコニコしてて、レイナに丸投げしてたんだ。



『奴らの狙いは学園内に存在する、魔法文献、そして、魔道具であると情報を掴んでいます。しかし、それがどこにあるのかは未だ調査中になります。団長が今回の件について特に指示をださなかったこと、団長の崇高なるお考えには至りませんが、わたくしも全力で行動させて頂きます。それでは、また』



 ふむ、天明界、都市伝説を信じているやばい組織だな。神をこの世界に顕現させる!!! とか息巻いて違法実験とかしている、神様とかいるわけないのにね。


 まぁ、我が組織の面々もそれを信じているからおあいこかもしれないが。



『それと、一度お話を致しませんか? 二人きりで任務について熱く語り合いたいです。夜中がいいですね、お酒とかも用意します! お時間いつありますか? あとレイナ副団長は呼ばないでください』



 ……こういうのって断って良いんだよな。あとレイナがハブられてるのはちょっと笑うわ。

 うーむ、団長として断るのもどうなんだろうか。ただそもそも俺は団長を辞めたいんだよな。

 でも、こういうのは一応だが上の立場である俺が断るとショックなのかもしれない。適当に全てはあのお方の思し召し……とか最初に言ったのは俺なわけで、それに騙されているのだからこれくらいは付き合ってあげよう。



 正直、騙してる部分あって忍びない。ただすまない、実は全部、神の代行者ムーブをノリでやっていたとは今更言えないのだ。



「さてと、取り敢えず入試頑張りますかね」



 キルスについては後でなんとかしておこう。



◾️◾️


宗教国家ラキルディス


六大神の一人、大地神ラキルディスを祀っている国。その国では王族が支配し、貴族達に土地を与え管理をさせている。所謂、封建制度と言われる社会である。



貴族達の特徴として、魔法技術があることが挙げられる。魔法とは魔力と言われる身体に宿るエネルギーを媒介として、超常的な現象を引き起こすことを指している。


魔力と言われるエネルギーは貴族がより多く持っている。魔力が多い平民もいるがその場合は貴族に嫁ぐことが多く、それにより魔力が多い者は貴族に集中している。



 そして、魔力を多く持つ者は魔法騎士育成学園に通うことが習わしとなっているのだ。魔法騎士として認可されれば、国から雇われる事による賃金の確保、自身の単純なる力の確保、力を他者に誇示できる、平民であれば貴族からの誘い、大きな功績を立てれば爵位を授かる、向上させることも可能だ。


 ──そんな国には【執行部隊】と言われる魔法騎士が存在している。



 秘密裏に設立された超実力者魔法騎士集団。国の裏側で動き、汚職調査、他国の動向、他国に対する抑止力、内乱調査、国に仇なす存在の抹殺。


 国を安定させて、スムーズに運営するには汚れ役が必要不可欠なのだ。何より実力者を隠し持っておくことで他国からの不本意な圧力や攻撃を無闇にさせない事も目的なのだろう。



 しかし、あくまでそのような存在が居るとだけ言われているが実際に見たことがある者はほとんど存在しない。




「さて、ナデコ……貴方に任務を渡します」

「……なぜ」

「なぜ、それは貴方が執行部隊のメンバーだからでしょう」

「……眠い」

「眠くない」



 ナデコと言われた少女は眠たげに返事をした。黒髪をショートボブのような形にしており、小さい顔立ちによく似合っている。眼も黒で二重で鼻立ちもスッとしている美しい少女。


「……隊長、ワタシ、だいぶ、働いてる。悪魔、倒してるし」

「そうだな。ナデコ、貴方は非常によくやってくれています。さて、それはそれとして任務です。【天明界】という団体は知っていますか?」

「……知らない」

「でしょうね。私もつい最近まで知りませんでした。【天明界】……創始者、構成員、規模数。謎な部分が多いです、ただ一つだけ。六大神の力を手中に収めようとする危険思想を持っていることだけ。それだけが分かっています」

「……初耳」

「えぇ、私達ですらつい最近まで知り得なかったのです。相当根が深いのかもしれません……名前と思想だけ、ただのカルト集団、ただのおふざけ集団で済めばいいのかもしれませんが。さて、ナデコ、その天明界のメンバーが学園に生徒として潜伏をする可能性が高くなりました」

「……見つけて、処分」

「いえ、捕縛を命じます。怪しい生徒を何名か上げ、その上で確信があれば即座に捕まえてください」

「……了解」

「くれぐれもバレないように。執行部隊は他国の目もあり、秘密裏の行動を余儀なくされています」

「……わかた」




 隊長と呼ばれた女性は赤い髪に赤い瞳を持っていた。彼女が命じるとナデコはゆっくりとその場を後にした。


 そして、彼女は学園の入試へと向かうことになる。



「くれぐれも……バレないように……、怪しい奴捕縛」




◾️◾️



 さーてと、試験がついに始まった。まずは魔法試験。魔法は一番大事とすら言えている。貴族としての嗜みに収まらない。魔力が多いだけで平民が貴族に嫁ぐことも、婿になることもあるのだ。


 その魔法が使えるとなれば……それだけでスクールカーストでは上位となれる。実に魔法学園はシンプルだ。



「では、キルスさん。魔法を」



 おや、キルス、キルスじゃないか。どうやら本名で参加しているようだ。まぁ、普段は【魔術師】とかコードネームみたいなので呼んでるし、問題はないのか。



 さて、彼女の魔法の腕前なのだが……



火球の通る道ロード・ファイア



 どがあああああああああん!!! うわお、相変わらず素晴らしい魔力制御だ。この焦げる匂いも嫌いではない。前世の子供時代におばあちゃんの家の線香の匂いが好きだったのと原理は同じだ。



「す、すごい!? あの平民、一体何者なんだ!?」

「無詠唱だったぞ!!」

「あんなの見たことないぜ」

「しかも可愛い」

「火球ができるまでの工程が一瞬だった」

「しかも可愛い」

「魔法発動までの時間、無詠唱。魔力制御がとんでもないな」

「しかも可愛い」



 だいぶ、可愛いの方が感想が多い。だが、それも納得だ、明らかなる美人であるのは間違いないのだから。それを差し置いても魔法には誰もが注目しているだろう。


この世界には悪魔と呼ばれる化け物がいて、それを狩るのが魔法騎士だ。


 貴族であれば領地と平民を守るのに特に必要なのだ。税を貰えたりするのも悪魔から平民を守るからであるし。家督を継ぐのは魔法において優秀な存在であることが10割である。


 大きな功績を上げれば爵位が上がり、領地も増える。


 だからこそ、どの貴族も魔力が多い存在は平民であっても重宝し、仲間にしたり、場合によっては家族として迎え入れる。


 キルスは顔もいいし、いきなり目立っているな。


「……怪しい。あの人」



 むむ? どうやら違った感想を持っている生徒もいるみたいだ。黒髪黒目の大和撫子みたいな顔立ち、だが、どこか冷めていてクールな子だ。


 ジッと、キルスを見ている。あれか、チヤホヤされているのが気に食わないみたいなのかもしれない。嫉妬深い人は結構多いからな。

 魔力があるだけで人より、優遇されたりするからな。魔力や魔法成績で人生が変わるのはこの世界では当たり前、上位の者に嫉妬はつきものだろう。



「……なに?」

「いや、なんでもない」




 触らぬ祟りになんとかだ。こう言う女性同士の戦いにはスルーをしておこう。



「では、次、ナデコ」

「……あい」



 おやおや、どうやらあの子が試験を受けるらしい。試験は簡単で的に火球を当てるシンプルな試験だ。



「「火球の通る道ロード・ファイア」……どかーん」



 どうやら、あの子もそれなりにできるようだ。周りが驚いている。



「な、なんだ!?」

「すげぇ威力」

「普通じゃないな」

「無詠唱だったぞ」

「あと、可愛い」



 キルスほどではないが、魔力制御が滑らかだった。これは相当な鍛錬を積んでいるのは予測できる。だからなんだと言われたらそれまでだが。



「次、イルザ・ラグラー」

「はーい」



 おお、我が妹でありリトルシスターの出番ではないか。リトルシスターはキルスには負けるし、多分、ナデコという黒髪の子にも魔法では負けるだろう。



「さーてと、見てなさいよ。火球の通る道ロード・ファイア


 

 魔力制御は54点かな(身内には結構厳しめに点数つける)。イルザの火球に周りも驚いている。こいつらずっと驚いてばかりだな。



「次、ゼロ・ラグラー」

「試験官」

「え? はい」

「アタシの兄だけど、魔力ゼロだからやるだけ無駄よ。そうでしょ、お兄様」

「うむ、ここは0点で通させて欲しい」

「なんで、アンタそんな太々しいのよ」


 俺は敢えて堂々と腕を組んで二郎系ラーメン店主のように厳しい顔つきで試験官に話しかけた。



「え、えっと、0点だと大分不利になりますけど」

「不利になるも何も0なのでね。ゼロ・ラグラーだけに」

「おもんな。お兄様、マジでおもんないわね」

「え、えっと、分かりました。では、次の受験生に回します」



 妹が口添えをしたおかげで俺は大きな恥をかかなくて済んだな。これはお礼を言わなくては



「お前のおかげで恥かかなくて済んだよ」

「大分、恥かいてたわよ。見なさい、周りの生徒めっちゃバカにしてるわよ」

「でも、的当てるところまで行って何もできない方が惨めさが大きかった。それに気を使ったんだろ?」

「……か、勘違いしないでよね!! アタシは自分の兄が落ちこぼれだと、アタシ自身の株が落ちるからだと思っただけなんだから!!」

「あ、そうなのか。礼言って損したわ」

「おおい! 気使ったに決まってるでしょ! 察しなさいよ!」

「どっちだよ」



 相変わらず、我が妹は情緒が安定していない。



「しかし、互いに無事に魔法試験は突破したな」

「アンタは突破どころか、転んでるでしょ」

「次は座学か……兄としてお前の座学は心配だな」

「妹としてアンタの入試結果が本気で心配なんだけど。あのね、お兄様、この学園を卒業できたら魔法騎士よ。そうなったら、家督を継げない人も家に帰ってきたりして、領地を守ることもあり得るわ。アタシが当主になったらお兄様の居場所は保証するから頑張りなさい」

「がってん承知の助」

「本当にわかってるのかしら、このお兄様」



 さーて、座学は百点だった。なぜなら座学は誰にも見えないようにカンニングをすればいいのだから簡単だ。魔力を使えば勝手に暗黒微笑BGMが流れるが、使わなくても、カンニングくらいは簡単だ。


 我が妹のテストを見せてもらった。ついでにキルスのも見せてもらったし。これで高得点間違いなしだ。



「ふー、お疲れ様、お兄様」

「うむ」

「どうやら、その顔は自信あるようね」

「ふっ、間違いなく高得点だ」

「安心したわ」

「ふむ、次は剣術か」

「お兄様、ここである程度成績出しておかないときついわよ」

「大丈夫、なんとかなるって」



 確かに魔法の要素が大きいこの学園で0点は最早、ほぼ入試落ち確実とすら言っていいだろう。だが、ここで諦めるわけにはいかない。

 代行者が入試落ちは笑えないからな。まぁ、最悪落ちても、なんとかレイナに丸投げして適当な理屈をつけて貰うことも考えてはいるけど。



 少し、剣術は手を尽くすか。



「では、剣術試験です。二人一組を作ってください。相手は誰でも構いませんよ」



 ふむ、現在は闘技場にいるのだが全部で大体500人くらいか。この中から誰と組むべきか。妹は辞めておこう。あいつが戦いにくいだろうし、キルスは気まずいからスルーしておくとして……


 お、なんだか高身長、イケメン、魔力制御もそこそこの男子生徒が居るな。この試験は魔力使用は禁止だし、純粋な剣術勝負。


 あの男を一目見て、戦ってみたい……そう、俺の心が叫んでいた。



「サムラン様、わたくしと組みませんか?」

「なんでよ、わたしよ!」

「ちょっと、抜け駆けしないでよ!!」



 女を囲っているとはけしからん!! 昭和頑固親父のように俺が奴を成敗してくれるわ!! ああいう優男を気取っている奴は性根が腐っていると相場は決まっている!!


 俺は基本的にモテたいとか、少しくらいしか思っていない。基本的に俺の周りにいる女は変なメイドか、代行者フィルターを通して評価が異常なことになっているかの二択なのだ。


 故に純粋にモテている男が心底嫌いだ。



「お兄様、あの男と戦うのかしら」

「ほほほ、地獄に叩き落としてくれる」

「そんなに!? どんだけ目の敵にしてるのよ!?」

「ああいうのは欲の亡者に決まってる、ここは俺が奴を倒し、周りにいる女子の目を俺に向けさせるのが得策だ」

「アタシの隣に欲の亡者がいるわね」

「まぁ、単純にああいうなんでも持ってそうで、純粋にモテてるのが気に食わなくてさ」

「最悪ね。ただ、そう簡単にうまくいくかしら? サムランといえば有名魔法騎士一家、レーバール家の長男でしょう。あのサムランの父親も相当腕の立つ騎士でお父様も剣術では及ばなかったらしいわ。まぁ、総合力ではお父様が勝ってたみたいだけどね、魔法技術とかすごいし」

「ふーん」

「まさかとは思うけど……剣術では勝てなかったお父様の仇を打つために……」

「え? あ、うん。そうそう」

「そうね。そんなことなさそうで安心したわ。ほら、さっさと戦ってきなさい」



 そんな訳で俺はサムラン君に話しかけた。


「やぁ、サムラン君。俺とやらないか?」

「君は……なるほどゼロ・ラグラー君だね。良いだろう」



 さーてと、周りの女子の目がすごいけど勝ってやるさ。普通に入試成績悪いし。何よりこんな欲の亡者がモテてるのが気に食わん!




◾️◾️



 わたくしは【魔術師】のキルス。団長より冠位グランドを与えられた幹部の一人。



 シスターであった。とある小さな村、その孤児院の一人。神に祈りを捧げていた。ただの無能なシスター。


 大地神に祈りを捧げていた。世界の為だとか、理由はあった。その村ではそれが当たり前だった。それに疑問をわたくしは持っていなかった。そこに初めて疑問を持てたのは、他のシスター達が行方不明になったからだ。


 偶に孤児院には子供を引き取りたいとくる大人がいた。それは喜ばしいことだと普通なら考えられる、家族として引き取りたいと言えるのは余裕のある大人。貴族であったりする。

 

 だから、喜んで純粋に素晴らしいと思っていた。


 だけど、外に出た友達からの連絡が一つもない。一向にない。何度も手紙を送っているにも関わらずにだ。


 違和感が強まっていった。この孤児院は一体なんなのか、よく考えたら外には一度も出たこともない。


 違和感、それが大きくなったとある日、わたくしにとある知らせが届いた。貴族がわたくしを養子として引き取りたいのだと言う。子供に恵まれない貴族の夫婦がわたくしの元へ来た。


 断ることは出来なかった。


 そして、孤児院の外に出て向かった先で見たのは……大きなガラス模型の中に収められた友達の群れ。



「何度も君は手紙をこの子達に送っていたようね」

「残念ながら、手紙は読まれることもない。でも寂しがることもない、なぜならこれからはずっと」



 ガラスの中で液体に浸っていた友はもう死んでいるようだった。だから、わたくしの声にも反応はしないし、助けてくれることもない、助けることもできない。



──わたくしも、死ぬ



 ただ、死なないだけの生きた人形のようにされる。友への嘆きや悲しみ、怒り、相手への憎しみそれがいくらあっても現状を打破することは不可能だった。


 これが私に定められた運命だった。




『るーるー、るるるるるー。ででででーん』



 黒き羽根が落ちた時、定められし運命が変わった。そして、わたくしはあのお方と出会うことができた。



「私の名は代行者。真実が知りたければ付いてくるといい。尤も、ここより先は歴史の裏側、価値観が壊されることを覚悟したほうがいいがね」




 団長の、代行者の、ゼロ様のお手をとってわたくしの人生が大きく変わることになる。まず手始めにガラス模型に入っていた友を全て団長はお救いになった。


 超高度な回復魔法を団長は使用可能なのだ。数秒で友を治していた。友は元気になり、次の日にはスイーツを一緒に食べたくらいだ。


 そして、スイーツを一緒に食べながら世界の真実についても教えられてしまった。未だかつて誰も到達したことのない世界の真理である。

 驚くべきはその事実を団長が既に子供にも関わらず把握していたことだ。わたくしが団長と出会った頃は8歳の時、その時にすでに歴史を紐解き行動をしていた。頭脳明晰と言う言葉では説明ができない神懸かっている頭脳、稀代の大天才、知力と純粋な力を併せ持つお方。



 そのような方に敬意を持たないのは逆におかしいという物……


 そう、わたくしはゼロ様に心酔している。聖神アルカディアには正直興味などない。あのお方が崇めているからわたくしも一応、崇めているに過ぎない。


 ゼロ様がただ尊敬でき、素晴らしいお方だから仕方なく信仰しているだけなのである。わたくしは六大神などという下賎な輩は排除したいだけなのだ。


 しかし、目的が分かってもそうは上手くいかない。純粋に天命界の規模があまりに大きいということだ。規模が大きいのにそれを隠蔽しているとなるとかなり面倒な組織と言えるだろう。


 まぁ、団長がいれば時間の問題だろうけど。



 団長は本当に頭が切れる。普段貴族のゼロ・ラグラー様として行動をするときは落ちこぼれの、無邪気そうな子供を装っている。イルザ・ラグラーは馬鹿にしているが、あれはバカではなく、愚者のふりをしている天才だ。


 神々については国民、世界の誰もが騙されている。気づいていたのはたった一人、団長だけだ。天才すぎて誰もあのお方に追いつけない。その意思を全て悟ることができればわたくしもあのお方に近づけるのに。


 わたくしは世界平和を望んでいる。それと同時に望んでいるのがあるとすれば団長の隣に居たいということだ。アルカディア革命団には団長の隣を望む女性が多い。


 だが、そう簡単にいかない。その理由は副団長だ、あいついつもべったり、隣にいやがって……




「あいつ、剣術結構できてるなぁ!」

「魔力は0だから大したことないだろ」

「でも、剣術は見どころあるだろ」



 今、まさに団長が剣を振るっている。ゼロ様として振るう剣には普段のキレがない。手を抜いているのが丸わかりだ。しかし、美しい。型がきっちりと流れるように定まっている。


 ゼロ・ラグラー様は世を忍ぶ仮の姿。だが、あの方の行動には全て意味がある。わざわざあの相手を選び剣術試験で戦っていることは何か意味がある。それにナデコと言われている少女も意味深によく眺めていた。



 団長が目をつけた、サムラン。ナデコ。この二人、調査しておくべきだろう。


 

 試験が終わり次第、調査に入る。ふふ、頑張ったら団長褒めてくれるかな?


 






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