第46話 星の使徒

 さて、惑星外生命体、宇宙人、ヘルボルト。みたいな設定で適当に暴れ回っていた過去。



 俺が過去に宗教の過激派を叩き潰してたけど、それらが俺が去った後にまた暴れ出したらしい。




 面倒なので、さっさと過激派をぼこぼこにして帰ろう。全身鎧姿で顔が見えない、昔はまだまだ幼児で小さかったので竹馬に乗っていた。


 でも、今は体も大きくなったので必要がない。




「ゼロ様、相変わらず面倒な事態になっているようで安心しました」

「お前、いつの間に……」




 気づくと先程まであんなにも俺に懐いていた犬は消えてしまった。そして、レイナがニヤニヤしながら立っている。



「先ほどの宗教の過激派の敵、体術のみで圧倒するとは流石でした」

「あれくらいはね。余裕でしょ」



 宗教の過激派、俺が嘗て率いていた革命軍(適当に宗教教祖ごっこしてたサークル活動)は現在でも対立をしているらしい。




「宗教の過激派は潰しておかないとね。色々あるらしいし。平和でしょ」

「ゼロ様、私も同意見です。潰しておきましょう……神の信仰、欲望の力を削ぐこともできますしね」





 何言ってるんだ? こいつ



「あ、ゼロ様がそんな格好なのに私がメイド姿だと味が出ませんね。ちょっと鎧を用意します」

「いらんやろ」

「全身を隠す感じで……ヘルボルト二号と名乗ります」

「おい」




 そそくさと鎧を被るレイナ。何を考えているかは分からないが、ノリノリで二号を名乗っている。




「まず何をするか、裏大会とか言うのを消しに行くか」

「そうですねぇ……でも、叩き潰したいので泳がせましょう。その裏大会は悪徳な貴族も居るのですから、全員把握しておいて、後々に一気に潰しましょう。芋づる式で行きたいので全部壊すのはやめておきたいです」

「あー、ある程度襲撃で抑えて怒りを買い、大きな戦力を動かせて全部叩きたいわけね。ここで潰しちまうとトカゲの尻尾切りされるし」

「そうです」

「意外と頭良いな。普段、自称神のくせに」

「本当の神です! 信じてください! 見てくださいこの綺麗な瞳を! 曇りなき眼ですよ! 嘘を吐いているように見えますか!」




 グイグイと顔を近づけてくるレイナ。確かに瞳は青く輝いている。



「確かに綺麗だな」

「ふぇ!? あ、えへへ、ありがとうございます! 瞳が綺麗で一生を共にしたいだなんて、ありがたくその申し出を受けます!」

「言ってない、綺麗だけど。その態度がなんか嫌だ!」

「おおい! こらこら! 素直になりなさい! 人間!」




 さて、裏大会とやらに参加するか、様子見をするってことだけども。どうにしろ、一度その大会を見にいかないとといけないな。




「では、鎧を互いに被りながらデートと行きましょう。ペアルックです」

「なんとも言えないペアルックだな」




  てくてくと歩きながら裏大会の場所に向かう。場所は先ほど襲撃してきた者達から聞いた。




「この国には沢山の地下施設があるようですね。一つある闘技場、その地下で行われているようです」

「多額の賭けもあるらしいな」

「取り敢えず様子見か」




 どこもかしくも色々と変な奴はいるようだけど、この国は相当だな。俺の国もこんな地下施設とはない……な、無いよね? 流石に……




 闘技場の地下確かに存在するようだ。闘技場に到着して、色々探し回っていると隠し扉が存在していた。



 ……隠し部屋を開けると




「うわぁ、あったよ」

「行きましょう」




 てくてくと歩いて行くと地下階段が終わりを迎える。少しした広場があり、そこには男と女が一人ずつ立っている。



「おい、待て」

「そこの二人、見たことない姿ね」




 男と女が俺達を見つけると話しかけてくる。見張り番を兼ねた受付なのだろうか。



「ダルジルド様の許可証を持っています」



 あ、さっきの襲撃者から奪った許可証だ。



「ふむ、お前達、ダルジルド様の使いだったのか。ならば問題ない」

「そうね。通ると良いわ」




 受付を華麗にスルーして更なる扉を開ける。通路が続いており、そこを抜けると光が降り注ぐ。



「ここが闘技場の観客席か」

「満席ではないですね」




 ふむ、ざっと100人程度しかいないみたいだ。




「ゼロ様、この人達の顔覚えておきましょう。ここは悪徳貴族や天命界、教団全部絡んでいます。関係者なら覚えておいて損はないでしょう」

「顔覚えるのか。てか、貴族も絡んでるのか相当だなこの国」

「権力も腐敗するとこうなりますか。全員取り敢えず打破して、アルカディアの名前を布教しておきましょう」

「また神かい」






 ここに居る奴らって何が欲しいのか、お金とか富とかか?




「こいつらって、何が目的なんだ?」

「裏大会は殺し合いとかなんでもアリですからね。高みの見物でしょう、刺激的なものが見たいんでしょう。悪魔の細胞を入れた人間とか」

「ふーん」

「まぁ、他には神の力に貴族は興味あるんでしょう。天命界や教団はこう言った場所で、宣伝してるんでしょう。神の力の一端を」






 神の力って……神なんて存在しないんだって!!! 義務教育受けてないんだろうな異世界人は。よかったぁ、日本で義務教育受けておいて。嘘だと全て看破してしまうからねぇ!






「しかし、納得しました。天命界とかどっからお金持ってきてるかと思ってました。ここも財源の一つでしたか。神の力を宣伝して恩恵を受けれるようにしていた。悪魔の細胞などの力、それを活用する技術は確かに魅力があるでしょう」

「魅力あるのか、あれが」

「まぁ、もっと訳わからない規格外の力を持っているゼロ様からしたら意味不明でしょうけども」





 レイナと会話を交わしながらも話を進めていると闘技場に悪魔が乱入してきた。




「うぁぁ!! よぉし、10万ゴールドかけよう!! 人造悪魔一号に10万だ!!」

「私は、50万!!」




 人造悪魔? と言うらしい。確かに人型の悪魔で人間みたいな感じだけども。固有の名前をつけていると言うことはそれなりの敵なのだろう。




「もう一人出てきましたね。あ、今度は獣の形をしている悪魔です」

「ふぅむ、なるほど。よし、獣の方に俺は賭ける」

「楽しまないでください! 貴方も同類になります!」




 

 見ていると確かに戦いあっている。周りの貴族は楽しいようでテンション上がっているようだけど……これ、カブトムシ戦っている方が面白くない?




「ゼロ様、ここに居るすべての人間の顔は覚えました。少し暴れても問題ありません。ただ、ほどほどにしてくださいね」

「あ、うん。あの人型と獣の悪魔を倒せばいいの?」

「はい、キャラ作りながら倒してくださいね。一応は空の上の宇宙からやってきた惑星外生命体なんでしょう? 宇宙人って言う設定なんですもんね? 貴方が始めた物語なんですから、頼みますね?」

「おおい! 俺の傷を抉るような話し方やめて!!」




 そう言えばタルミラはどこに居るんだ? 裏大会で暴れるとか言ってたけど……まぁ、いいか。





「──さぁてと、行きますか」





 

◾️◾️







「な、なんだ? あれは」





 貴族達は戦慄をする。神源教団によって作られた人造悪魔、その力を示す大会であった。貴族達も神の眷属である悪魔の力がどの程度か、可能性はどこまであるのかを知る機会でもあった。




 だが、




「俺は、そうだなぁ。遠き星エイリアより舞い降りた星の使徒って所だな。俺はこの星の秩序に則り、力を示すと決めた……ここから先、この星の支配下はこの俺のものとなる」






 全身が鎧姿の戦士。ヘラヘラとしているが圧倒的な力を保持しているのがわかった。なぜなら、獣の悪魔を一撃で粉砕したからだ。





「なんてねぇ、冗談だよ。安心しな、人間共」





 明らかにこの星に存在している生物の次元ではない。異様な、存在。未知との遭遇を彼等は果たす。




「ただの宇宙人だ、あんまりビビるなよ(異世界転生しただけの貴族だけど、まぁ、嘘ついてもバレないからええやろ)」




 そして、この宇宙人が新たなる火種を呼ぶことになる。




 

 

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