第30話 超絶レベルアップ!
黒い灰が降る世界を探索すると、東西南北にそれぞれ洞窟を見つけた。
その内一つは来るときに使った滝壺。それ以外は燃え盛る業火に包まれた洞窟、雷の降る洞窟、氷に覆われた洞窟とそれぞれ分かれていた。
「まるで地獄めぐりだな……」
俺はそんな感想を覚えながら、どうせならと来るときに使った滝壺を調べることにした。するとすぐに滝裏に空間を見つける。
なるほど、10キロ以上上から降り注ぐこの水圧を乗り越えろという事なのだろう。……余裕にもほどがあるな。
俺はちょうどリポップの時間だったのもあり、血を吹き出して蝙蝠を討伐。
その後エリクサーを1本飲み身体を万全な状態にする。最悪ボス戦になる可能性もある。備えておいて無駄にはならないだろう。
俺は黒風で滝を消して裏の空間に進む。
特にボスはいなかった。滝自体が障害ということなのだろう。
滝裏の洞窟には、豪華な宝箱が置いてあった。
中には、あの黒い牡鹿の角を彷彿とさせる禍々しさを放つ黒い剣。
「……あからさまに怪しいなぁ」
どう見ても呪いの装備とかの類にしか見えない。
装備して性能を確認するのは流石に怖い。
「こういう時の為のあれだな」
俺は収納カバンから黄色い宝石を取り出す。
巨塔の螺旋階段を登った先、魔帝シリーズを手に入れた連続隠し部屋にいたプロト・メデューサのドロップアイテムだ。
地上で効果を鑑定してもらったところ、〈鑑定珠〉といい、名前のまんま砕くことで一度だけ鑑定を行えるという便利アイテムだった。
因みにこいつの回収も今回の遠征の目的の一つである。
―――――――――――
・《カース・オブ・ヘル(剣)》HP、MP+2000、力+300、敏捷+100、使用者を呪刻状態にする。
……冥王より賜りし神を滅する為の剣。使用者は冥王に魂を捧げる代わりに無限の力を得ると言われている
―――――――――――
「うーわなにこの壊れ性能」
〈深秘の宝剣〉が子供のおもちゃに見える程のチート性能だ。
特にMP+2000は黒風との相性が良すぎる。
とはいえ、装備したら冥王に魂を奪われるらしいので残念ながら使えないが。
「これどうしよ。万が一誰かに使われても怖いし破壊するか……? いやでも勿体ないなぁ」
迷った末、俺は収納カバンからアタッシュケースを取り出し、その中に入れてから収納カバンにしまった。
もしかしたら、地上に戻れば解呪出来るスキル持ちがいるかもしれないからな。
それにフレアからもらった指輪もある。持ってるだけなら大丈夫だろ、多分。
その後、俺は他の3つの洞窟も順に回ったが、やはりというか同じ〈カース・オブ・ヘル〉の鎧と兜、そして靴が入っていた。
全部呪われていたし、鎧が入る大きさのものなんて持っていないからそのまま収納カバンに放り込んだ。
最後の装備を回収して外に出ると、
「灰が止んでる……」
黒い灰が降り止み、曇り空の下に黒い雪が積もったかのような風景に変わっていた。
「封印、みたいなものだったんだろうか」
その辺は考えても分からない。
だが、これは嬉しい誤算だ。
今までは視界が悪くてこの世界のモンスターでレベル上げをするのは難しかったが、こうなれば話は別。一気にレベル上げをすることが出来る。
それから俺は3日3晩ぶっ通しでレベル上げをしまくった。
首を切って蝙蝠を呼び出し、リポップ時間に目に付いたモンスターを片っ端から狩り倒し。エリクサーを飲めば疲れは消えるし、倒せば倒すだけ上がるのでつい楽しくなって殆ど寝るのも忘れて集中していた。
その結果、
―――――――――――
【名前】古瀬伴治
Lv:189(98→189)
HP : 2200
MP : 1650/1650(1250) 装備+400
力 :478(378)(+180) 装備+100
守り :418(348)(+180) 装備+70
敏捷 :388 (+180)
器用さ :331 (+180)
知性 :436(326) (+180) 装備+110
運 :308(348) (+180) 装備+70
※括弧内が装備補正無しのステータス、(+)はレベルアップによる上昇値
・ボーナスポイント: 106
【スキル】
・神滅の黒風奏(仮)Lⅴ4(必要ポイント140)
・暗視の魔眼
・鳳凰の雄叫び
【装備】
・《魔帝のマント》MP+200、守り+30、知性+50
・《魔帝の王冠》MP+200、守り+10、知性+10、運+50
・《深秘の宝剣》力+100、守り+20、知性+50、運+20、武器スキル『鳳凰の雄叫び』
・《賢者の親愛》
【セット効果】
・《魔帝セット》2/5 ……スキルの効果を2倍にする
―――――――――――
俺は大幅なレベルアップを遂げることに成功した。
もはや羽デカ蝙蝠を倒しても1すらレベルが上がらなくなってしまったのでこの辺りで打ち止めである。
途中で黒風さんをレベル4まで上げたところ、効果範囲が1メートルに上がったのと、『消した対象のHPから10分の1を吸収する』という能力が追加された。
正直微妙な強化だ。MP吸収なら強かったのだが、HPはそもそも減らないからな……
だが、レベル4の必要ポイントが70だったのに対し、レベル5は倍の140ポイントが必要となっている。
これはもう大幅な強化を期待するしかないだろう。
「さて……もうこの世界でやる事は何もないな」
今の俺なら黒い牡鹿相手にも無双できるので、以前の恨みを晴らしてやろうと思って探したのだが、一体も出てこなかった。
あれは巨塔の扉を開く為のユニークボスということなのだろう。
一応、美咲さんに一週間くらいで一度地上に戻ると約束している。
ここで無理やりスキルレベル5になるまで上げてもいいが、それだと時間を使いすぎてしまう。
それより、効率よく強くなる方法を選ぶべきだろう。
「それじゃ、そろそろ魔帝装備を回収しに行くとするか」
そうして俺は再びこの世界に別れを告げ、螺旋階段を登り始めた。
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