第43話 CIAオーウェン長官

 国道沿いのムクドナルドは、店員さんが大量の注文に奮闘していた。原因は俺たちだ。

 写真付きのメニューを見たレジスタンスの三人が、あれもこれもと注文するのだ。俺はバーガーのセットとホットアップルパイだけだが、三人はバーガーセット、ナゲット、デザート複数、さらに追いバーガーで種類違いのバーガーを沢山オーダーした。

「領収書下さい。宛名はCIAで」

 キャンディスさんが領収書を店員さんにお願いしているが、宛名がCIAなので口に含んだコーラーを吹き出しそうになった。



 *



 米軍横田基地に到着すると、昨日と同じように基地の奥へと誘導された。

 大きな格納庫に到着する。格納庫の中には、昨日会った眼鏡で太った中年男性がいた。キャンディスさんの上司の上司。CIAの偉いさんだ。

「キャンディス。ご苦労。ユウマもよく来てくれた。昼メシは?」

「車内で済ませました。ご馳走様です」

「日本人は本当に礼儀正しいな」

 キャンディスさんが領収書を上司の上司さんに渡す。上司の上司さんは、領収書をチラリと見て胸ポケットにしまった。

「随分沢山食べたな!」

「彼らが珍しがって沢山食べたんですよ。紹介します。レジスタンスの三人です。ダークエルフのミアさん、ドワーフのガルフさん、犬獣人のモーリーさん」

「よろしく。CIA長官のオーウェンだ」

 この人がCIAの長官なのか! 俺は驚き目を見張る。レジスタンスの三人はオーウェン長官と握手を交わす。

 ダークエルフのミアさんが、俺に質問してきた。

「ユウマ。この人物は? シーなんとかとは?」

「オーウェン長官は、キャンディスさんが所属するCIAという組織のトップだよ。CIAはスパイ組織……間諜の組織といえばわかるかな? 敵の情報を集め、場合によっては実力行使をする。CIAは世界で一番有名な間諜の組織だ」

「なるほど……。彼は偉い人物なのだろうか?」

 ミアさんの世界ではスパイの地位が低いのかな? ミアさんは、オーウェン長官を値踏みするような目で見ている。

 俺はオーウェン長官に質問した。

「オーウェンさんは、アメリカ政府で重要な人物ですよね?」

「もちろんだ。この件は初動から大統領と対策を話し合っている」

 俺はミアさんに、オーウェン長官が重要人物であることを伝えた。大統領、つまり国のトップの側近であると。

「なるほど。では、オーウェン殿にもこの指輪を渡した方が良いだろうか? あまり数がないのだが……」

「あー、そうだね……ちょっと聞いてみる」

 オーウェン長官に事情を話す。

「数が少ないなら私は要らない。作戦で行動を共にする者に指輪を貸してやってくれ。ユウマ、通訳をお願いできるか?」

「キャンディスさんが、今朝指輪をもらいました」

「おお! そうか! キャンディス、通訳を」

「承知しました」

 キャンディスさんがオーウェン長官とレジスタンス三人の間に入って、色々と話し出した。

 アメリカとレジスタンスの話だから、俺は関わらない方が良いだろうと距離を空け、話が終るのを待った。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る