血より水より深い愛

ある梅雨の登校日。昔から特定の仲間を作らず浅く広い付き合いをしている今村修我は、中立の位置を利用して、悪目立ちする傘が原因でクラスで馬鹿にされかけた目立たない女子・萩野潮李を軽い気持ちで助けると、彼女と傘を交換して自分達だけが知る「二人ルート」で登下校することになった。修我は、こうして彼女と共に過ごす時間が増えることで、自分では気づけなかった"学び"と"本来の萩野潮李"を知っていく。

二人は親密な関係となり晴れやかな気持ちで夏休みを迎えたが、直後に潮李の高頻度でやって来る頭痛や貧血などの体調不良に違和感を覚え、クラスメートの姉である新人医師から、特定の人物と距離が近づくことで体調を崩す「近距離病」という奇病の疑いを告げられる。
それでも、

「俺らはあのカップルよりも物理的なものを超えて愛…続きを読む