第2話 部活動紹介!

「リズ、体育館に行こっか!」


「うん。行こう」


 部活動がどんなものかを見るため、部活動、サークル紹介が行われる体育館へ行くことにした。


「部活動ってなんか目星つけてる?」


「そこらじゅうに貼り紙があるけど、私はこのサモンサークルなんかが気になってる」


「ほんとだー! リズ以外にも召喚が好きな人っていっぱいいるんだねー」


「エルフィーはやっぱり魔弓まきゅう使いだから、遠距離戦闘部とか?」


「……うーん、色々見てからにしようかな」


「それもそうだね。私も他のサークルとか行きたくなるかもしれないし、興味あるのが見つかるといいね」


 体育館にはかなりの人が集まっていた。


「すごーい。一年生こんなにいるんだー!」


「私たちもその一部だけどね」


「リズ、前の方見える?」


「み、見えるさ、ゴーレムを出せば」


「こんなところでゴーレムだしたら大変なことになるよ。

 そうだ! リズ、おんぶしてあげよっかー?」


「いやいや、大丈夫だって、ほら、見え……るし」


「背を伸ばす魔法があれば使ってあげたいんだけどな」


「余計なお世話だ」


 数分待ってると、スピーカーから女子生徒の声が聞こえる。


「――お集まりいただきありがとうございます。

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます!

 本日は、部活動、サークル紹介を行います。

 ステージが見えにくいという方は、体育館入口の魔法具まほうぐをご利用ください。

 それでは早速ですが、紹介に移らせていただきます」


「リズ、入口に便利な魔法具があるって!」


「うーん。ちょっとしゃくだけど、取りに行ってこようかな」


「うん、いってらっしゃーい!」


 ステージには上級生が部活動の紹介を始めようとしている。トップバッターは陸上戦闘部のようだ。

 

「――ただいま」


「あ、おかえり!

 間に合ってよかったね。まだ陸上戦闘部の途中だよ」


「うん、戻る途中に見てたから」


 ステージ上で順に上級生たちが部活動の紹介をしていく。

 陸上戦闘部、空中戦闘部、遠距離戦闘部に魔法剣サークル?

 ……なんか色々あるなー。


「――以上が運動部、運動サークルの紹介でした。十分間の休憩の後、魔法部、魔法サークルの紹介となります」


「それ、凄いね、離れていてもステージが見えるんだ! ちょっと貸してー!」


「うん、いいよ。はい」


「ありがとー!

 わっ! すごい。ただの手鏡に見えるのに、手に持つとステージが見えるようになるー!」


「これが先生の言ってた魔導まどうってやつなのかな」


「うんうん。身の回りのものでも、すぐ便利なものに変わっちゃうんだ!

 魔法って凄いなー。こんなのも、作れちゃうようになるのかな?」


「どうだろうねー。今のところ、私にはこれがどうなってるのか全然分かんないし。

 まあそれは、おいおい授業とかでやってくれるんじゃないかな」


「わー! なんだか魔導も楽しそうだなー」


「――それでは引き続き、魔法部、魔法サークルの紹介をお楽しみください」

 

 ステージの上には、猫耳の生えた女子生徒が立っていた。


「こんにちは!! 私たちは魔導創作部まどうそうさくぶです!!

 身の回りにある物に魔素を込めて、便利なものを作る活動をしています。

 体育館入口で配布されている魔法具も、私たち魔導創作部が作ったものになります!!

 持っている方は、鏡のところを触ってみてください。なんと、ズームとか出来ちゃうんですよ!!」


 リズが鏡のところを指で触ってみると、その部分が拡大された。ステージの上に立っている先輩の顔がくっきり見える。


「ほんとだ。すごいねこれ」


「他にもズームアウトとか、画面を記録できるとか、色々便利なんですよ!!

 一年生は魔導の授業がこれから始まると思うので、興味を持った方はぜひ、私たちの魔導創作部へお越しください!

 部員一同、お待ちしております!!」


 思わず拍手してしまった。自分の作ったものが、こういう場で誰かの役に立つ。

 なんてわくわくすることなんだろう!

 

「――以上で部活動、サークル紹介を終わります。

 興味が湧いたものがありましたら、ぜひ立ち寄ってみてください。

 最後に生徒会会長から、生徒会の紹介となります」


 舞台袖から、角と翼を生やした男子生徒がステージへと出てきた。


「こんにちは。私はレジェロ魔法学院高等部生徒会会長、キバマキだ。

 見ての通りドラゴニュートだが、もちろん生徒会は種族を問わない。

 必要なのは魔法に対する情熱。どれだけ魔法が好きかを語ってくれれば、生徒会はいつでも歓迎するよ」


 紫の翼を広げたその姿は、いかにも学院の代表のような、高貴な姿に見えた。

 会長さんは、魔術と魔導、どっちを選んだんだろう……。

 会長が立ち去る姿をぼーっと眺めていると、リズが睨んでくる。


「……エルフィー?」


「!  はいっ! エルフィーといいます!

 よろしくお願いします!」


「なになにー? 生徒会長に一目惚れ?」


「えっ! いやいや、そうじゃなくって、会長は魔術と魔導のどっちにしたのかなーって」


「えー? そんなこと関係あるー?

 なかなかかっこいいドラゴニュートだったよね。気になっちゃったりした?」


「もうー! そんなんじゃないって!」


 リズがけらけらといじってくる。


「ごめんごめん、そろそろやめにするよ。

 それで、魔術と魔導がどうしたの?」


「はあー。なんかさー、魔導創作部ってあったでしょ。

 私、あの部活なら魔導が出来るようになるんじゃないかなって思って」


「ああ、この手鏡も、あの部が作ってたみたいだね」


「そう、ちょっと私、覗いてみようかなー」


「いいんじゃないの」


「リズはどうするのー?」


「私はやっぱりサモンサークルが面白そうだと思った。召喚獣の実演も見れたし」


「あの部の迫力は凄かったねー! 急にわーってライオンが飛び出てくるんだもん!」


「あれは私も驚いた。あそこまでの召喚速度を出すのはすごいと思った」


「じゃあリズはそんな感じかー」


「とりあえず、見てみないと分からないから、それぞれ見学行こうか」


「うん。そうだね。ではリズくん。健闘を祈るよ!」


「別に誰とも戦わないって」

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