第15話 魔創部会議!
体育祭も終わり、日常がまた戻ってきた。
今日も今日とて授業を終えると部室へ向かう。
「今日は何しよっかなー」
体育祭の準備が始まってからというもの、体育祭用のものばかり作っていたので久しぶりに好きなものが作れる。
「リズはなにするの?」
隣を歩いているリズに尋ねてみる。
「魔導書を作ってみようと思う」
「お、ついに作るんだね!」
「うん。だいたい仕組みは把握したから、作れるんじゃないかと思って」
「いいねー! それでこそ魔創部だよ!」
「エルフィーは?」
「私はー。何か作りたいものが思いつかないんだよねー」
「便利な魔法具じゃないの?」
「うん、それはそうなんだけど、何が便利なんだろうって思って」
「んー。エルフィーはエルフィーのためじゃなくて他の人のためになんかを作るって感じだから、需要がないと動機づけられにくいのか」
「そうかもねー。まあ一応今日は昔作ってた折り紙の続きやろうとは思ってるんだけど、なんかあれ便利なのかなーってなってて」
「折り紙折れない人にとっては便利なんじゃない?」
「折り紙折れない人には便利かー……」
考えながら歩いていると部活棟の廊下でメアちゃんが嬉しそうに手を振ってきた。
「エルフィーやっほー!」
「あー! メアちゃんこんにちはー」
「リズちゃんもやっほー!」
「どうも。シグレアさん、だよね?」
「うん! メアね、このまえの体育祭のうちあげでエルフィーとなかよしになったの!」
「ああ、なんか話してたね」
「そうそう、リズちゃんともなかよくなれるはずだよーってエルフィーいってたから、よろしくね!」
「うん、よろしくね。シグレアさん」
「エルフィーもリズちゃんもさん付けがすきだね。メアのことはメアでいいよ!」
「分かった。メアだね」
「うんうん! これでなかよしだ!」
メアちゃんはタッタッタッと小走りで部室へ向かった。
「元気だね、あの子」
「ねー、こっちまで元気になるよね」
部室につくとマルクくんやミラ先輩、セアン先輩、ソニア先輩、キバマキ会長など勢揃いだった。
「こんにちはー」
「こんにちは!!」
ミラ先輩がメアちゃんの数倍元気に挨拶を返してくれる。
「今日は人多いですね」
「そうだよー。今日は魔創部会議の日だからね」
そういえばこの前の打ち上げの時、ミラ先輩が今日は絶対来てねって言ってたっけ。
危ない危ない。魔創部に行かないことは無かったけど、こういう大事なことはちゃんと覚えておかないと……。
「あとは一年の二人だね。もうちょっと待っててね」
しばらくすると魔創部に部員全員が集まり魔創部会議なるものが始まった。
「じゃあ始めるね」
ミラ先輩が司会進行を務めるようだ。
「一年生は魔創部会議は初めてだよね。
この会議は、会議っていうほど堅苦しいものじゃないんだけど、簡単に言えばアイディア出しの時間みたいな感じかな。
部員が持ち寄ってきたアイディアを出すだけ出して、作りたいものがあれば今後作っていけばいいし、なにか別のアイディアを思いついたら嬉しいよね、みたいな感じだね」
おお、作りたいものが思いついてなかった私にとってちょうどいいものだ。
「基本的に一学期に一回、どこかのタイミングでやろうってことになってるから、二学期にもこういうのがあるよ。
ということで、一学期分のを今から始めます!!
それでは、スタート!!」
先輩たちはごそごそと鞄からメモを取り出す。
え、私何も用意してないよ?
「一年生は見てて大丈夫だよ!! 私も何も言ってなかったし。
これから、こうやってみんなのところに紙を配るから、考えてきたアイディアをひとつずつここに書いて集めるの。
最後に書かれたものを黒板に書き出していって、インスピレーションを沸かすんだ!!」
「あ、匿名なんですね」
「うん。そうだよ! 名前による先入観とかを無くしておきたいからね!!」
「なるほどー」
「一年生も、今思いついたアイディアとかあれば紙に書いていいよ!!
どんなアイディアでも、名前を書く必要が無いから大丈夫だよ」
紙が回ってきたので、私も何か書きたい。
とは言っても、そのアイディアが無いから困っているのだ。
……そうだ、いっそのこと、それをそのまま書いてしまおう。
紙に「魔法具目安箱」と書き込むと二つ折りにして提出した。
「おー今回もいっぱい集まったね!!
じゃあちょっと書き出すから待っててね」
ミラ先輩とソニア先輩が手分けして黒板に書いていく。
「はい! こんなにでました!!
じゃあこれを
また紙が配られアイディア出しをする。
でも今回は黒板にたくさんあるのでそれを見ながら新しいアイディアを考えていく。
黒板を見てみると「砂を使わない砂時計」「空飛ぶ紙」「魔法陣生成器」「頻出魔素語辞典」「魔素を注入させるやつ」「絶対折れない木」「燃えない紙」「身体強化魔導書」「魔素を消滅させる何か」「魔物の蘇生魔法」「魔道具目安箱」「絵の魔導書」「授業をサボれる魔法具」「固まる液体」「身長を伸ばす魔導書」
……うん。最後のは一体誰が書いたんだろうな。
「はーい、みんなおつかれー!!
あとは集めたのをここに書いとくから、会議自体は終わりです!!
作業に戻ってもいいし、黒板をじっくり眺めて色々考えてもいいからね!!」
そう言うとミラ先輩達は二回目に集めた紙を見ながら黒板へ書き写し、魔創部会議は終了となった。
黒板には一回目のアイディアを私みたいに混ぜたものや一回目のアイディアにプラスしたり、さらに別のアイディアなんかが書き加えられた。
「水を弾くペンキ」「文字を読み取るルーペ」「魔素を複製するやつ」「硬くなる紙」「魔素語ペン」「魔法具持ち歩きバッグ」「足が長くなる魔導書」……。
なんだか、どうしても身長が気になる人がいるみたいだ。
しかしこれだけたくさんアイディアがあると自然と創作意欲も出てくる。
目安箱に送られてきた悩みを解決出来る魔法具も何か思いつけるかもしれない。
「すごいねー。こんな感じで作っていくんだねー」
「エルフィー良かったね。ちょうど何作るか思いつかないって言ってたし」
「うんうん! それで私思いついたの! 学院で困ってる人の悩み事を入れられる目安箱を作って、解決出来る便利な魔法具を作ろうって!」
「いいじゃん。それならきっと役に立つものになるね」
「うん! リズはなんか思いついた?」
「あそこに書かれてる頻出魔素語辞典とかは欲しいなって思った。
それで、そこに書かれてる魔素語を自動で書いてくれる魔素語ペンとか、セットで使えたら魔導書も作りやすくなるんじゃないかなって」
「おおー! 書かれてることの組み合わせだね!」
「うん、でもとりあえず今日は朝から考えてた魔導書を作ってみるよ」
「おー! リズファイトー!」
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