第21話  等価交換の代償

「等価交換って人間の原理げんりに似ていると思わないかい?」


 オータムは難しい話が好きだ。その手の話をたまにされるが俺には理解できない話が多い。小さい時に勉強をしすぎたのが原因ではないかと思っていた。


「どういうことだよ!」

「人間も自分が欲しいものがある時には、それに見合った代償を払わないといけないところさ」

「例えばなんだよ!」

「例えば、裕福ゆうふくな暮らしをしたいなら、他の人が寝ている間に自分の畑を耕し、時間を代償として、払わなければならないとか」

「そうかもな……」


 相槌あいづちは打ったが、俺は楽に欲しいものを手に入れたいけどなと思っていた。オータムの話よりも、なぜ俺が食材を入れた袋を二個も持って歩き、こいつが袋を持っていないのか。その方が気になって仕方がなかった。


「今も昔もきっと変わらない原則だと思うんだ」

 

 そう言いながら、オータムは気持ちよさそうに両手を広げ背伸びをした。その隙に、俺は持って歩いていた2袋をその両手に渡してやった。今度は自由になった俺の両手を広げて背伸びをした。


「これが等価交換だな」と言ったが、これは等価交換ではないとオータムは言っていた。

「それにしても、あいかわらず眩しいぜ」

 車に向かう間は、照明ライトが道の両側に立っており、俺らを眩しく照らす。交換所は夜の10時まで開いている。交換所が閉まっても照明はついており、人通りはほぼない。


 これを節約すれば、配給はいきゅうの量も週によって変わらず、支給できるのではないのか。



 家に着くころには、真っ暗だった。家の扉を開くとアンコは1枚の写真を眺めていた。


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