第28話 敵?荒れ狂う町(マーヒー)

「なんなんだ。この町は?」

 目の前に広がった場所は俺たちのいた11区とはまったく違った。俺たちが住んでいるところは、緑が多い。


 田んぼや木の葉や芝といったように自然豊かな色であったが、 この町を色で表すなら土色だ。目の前に広がっているのはもはや砂漠だ。


 このマーヒーという町は、11区と20区の境目にあり、まだ11区ではある。目の前は土埃つちぼこりのせいで視界が悪い。


 ただ町の人は特に気にする様子はなく、普通に生活をしている。町の入り口には『負けたら、勝った者を主と考えよ』と書かれた木の看板が赤文字で書かれていた。


他にも色々書いてあったが、面倒臭くて見なかった。その間、アンコは看板を見まわした。


「なにが書いてあったんだよ」と聞くと、「この町の人口と独自の規則を書いていましたよ。フィンさん、絶対に騒ぎを起こさないでくださいね」と忠告された。


 何を書いてあったかをクドクドと教えてくれていたが、適当に相槌を打ち聞いてなかった。

「分かった! とりあえず何事も行動だ。行こうぜ」



 町を進んでいくと、異常な光景を目にした。目の前を手縄にかけられた筋肉質な男たちが誰かに連行されていた。そいつらは明らかに農民ではなく、戦う為だけに 生まれてきたよう体つき、雰囲気を感じた。よろいをまとい、頭は出していたが、体の部分は鎧でガードされていた。


 地面の土は、でこぼこ道で、風が吹けば砂嵐が巻き起こっていた。町は繁盛しているのか、みんな忙しそうにしている。少し町の奥に進んでいくと、高さ50メートルはあろうか石造りの円形闘技場えんけいとうぎじょうが目の前に広がっていた。こんなに立派な建物は初めて見た。



「すごいね! ここは観光地みたいだね!」

 メロンは喜んでいた。アンコは人の多さにびっくりしているのか、メロンの腕を組み、おそるおそる歩いているようだった。

「すごいぞ! この町そこらへんに等価交換できる場所がある」


 でこぼこな砂利道じゃりみちの両側で青い敷物を地面に敷き、何十人もの人が店を開いていた。店と言っても、日用品を米に変えてくれなどを板に書き、店を出している程度だ。メロン曰く、これはフリーマーケットと言うらしい。


 明らかに国が経営しているのではなく、町の人達が勝手に開いている。道端で酒を飲んでいる奴や喧嘩をしている奴ら、その勝敗をかけている奴とまさに無法地帯だ。できたら博士の家に引き返したいと思うほどだ。



「……たしか、マーヒーの案内所にフィドロからの紹介と伝えたら案内してくるって言っていたよな」


 こんな場所でさまよっていたら色んなやつに絡まれて、仕方がないと思っていた。



「ちょっと何しているの!」

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