第40話 20区②

 携帯で写真を撮りだし、メロンは自己満足にひたっていた。昔はSNSとして人気者が生まれやすい環境で遊んでいたみたいだが、現在はSNSも国が運営しているサイトしかない為、そこまで人気者が生まれない。


 影響力を持ちすぎる人は国にとって危険だという認識もあるようだ。500年程前に、うそまことか、国を転覆てんぷくさせようとくわだてた人がクーデターを起こそうとSNSで呼びかけたみたいだ。


 その時は国がおさえたみたいだが、それ以降は一般企業のSNSサイトは全て封鎖ふうさされたようだ。


 クーデターを起こした人達は一瞬にして、死んだ。その時は何万人の軍勢が王の住んでいる城に襲撃したと聞いているから、不思議な話だ。


 国王の城にたどり着く為には、3つの門を突破しなければ、王のいる城には、たどり着かない。


 その人達は第1の門を突破したところで、全員心臓発作で亡くなったそうだ。


 その噂が広がり、それ以降クーデターを企てた人達はいなくなった。この話を聞いた時、信じられなかった。


 国は責められ、城中にまで入り込まれているのに、一瞬で人が亡くなるものだろうか……。誰かが作った話なのではないだろうかとさえ考えていた。



「美味しかったですね!」

 一杯になったお腹をさすりながら、アンコは大満足したようだ。一方、アンコはなぜか食べ終わった後の茶碗ちゃわんを写真におさめていた。恐らく、SNSに投稿する為ではなく、自己満足の為だ。やはり、ちょっと変わり者だな。


「すみません。釣りをしたいのですけど……」

 アンコは食べ終わった食器を持って返却口にいき、ご馳走様でしたと感謝を伝えた後に、要望した。外の釣り堀では多くの魚が釣れるようだ。ぜひ俺も体験したい。



「今からですか? いいですよ!」

 厨房ちゅうぼうの奥から帽子ぼうしをかぶった女性が出てきた。タンクトップ姿の体は運動神経も良さそうな体つきをしている。身のこなしも綺麗で見惚みとれてしまっていた。


 見惚みとれていると背中に激痛が走った。後ろを振り返ると誰にも分からないようにメロンが背中にパンチを入れていた。


  その後、俺へのパンチが嘘かのようにメロンはアンコと楽しそうにしていた。女は恐ろしいと改めて怖いと感じていた。

 

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