第7話 お金工場?

「とりあえず、美術館全体を見てみようよ」

 オータムの提案に賛成した。ただ、オータムは全作品を一通り見たいだけなのではないかと疑った。


 しばらくをして集合し、お互いの情報を共有した。


 まず外に出るにはトイレの換気用窓ガラスがあり、そこの窓ガラスの大きさは、俺がギリギリ通れるくらいの大きさであること。外には壁があるが何とかよじ登れるということ。

 最後に、コーヒー工場の奥にもう1つ 大きな建物を発見した。


 工場の奥にある建物が何なのかを確認したかったが、この美術館には2階がなく、上から見渡すことができなかった。もしくはそのように設計されているようにさえ感じた。


 話し合いの結果、周りの人に不審ふしんがられないよう、男女別々の窓から外に出ることを選択した。


 まずメロンが女子トイレに入り、俺とオータムはトイレの入り口で待った。しばらくすると、女子トイレの方から外に勢いよく飛び出す音が聞こえてきた。


 恐らく成功した。オータムと顔を合わせ、次に俺たちが男子トイレの中に入っていった。トイレの中には誰もおらず、先に俺が外に出ようとすると、子供の声が後ろから聞こえてきた。


 声を聞いたオータムは俺を外に押し出した。押した勢いで地面に顔面から着地した。その後何事もなかったかのようにすずしげにオータムはその外に出てきた。



「よし。成功だね。フィン、大丈夫?」


 なんとか外に出ることに成功した。周りを見渡したが、監視カメラや警備員などは見当たらなかった。目の前にはメロンの身長と同じくらいの壁が立ちはだかっていた。

 どうするか俺とオータムが若干ためらっていた時 。


「何をしてるのよ? おいてくよ!」


 メロンがすでによじ登っていた。考える間もなく、後を追うように俺とオータムも静かに壁を乗り越えた。


 目の前にはまた先程より高い壁が大きく広がっていた。壁の向こうに廃墟はいきょが見える。何をしていた建物なのか、見た感じは学校の廃墟にそれは似ていた。俺たちはコーヒーの工場よりもこちらの工場が気になっていた。



 誰もいないことを確認して壁の正面に回り込むと廃墟にはなにやら建物の名前が書かれている。きざまれている字は風化されて読みにくく、解読しにくい。


 オータムがしばらくして、『造幣局ぞうへいきょく』と解読した。聞きなれない言葉。


 その横には「工事中の為、侵入禁止」と看板がある。こちらは比較的きれいで何十年も経っているようには見えなかった。


「造幣局ってなに?」


 メロンに聞くと「Game世界時代に作っていたお金を作るところだよ」と教えてくれた。まだ存在していたのかと不思議に思った。

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