第23話 秘めた思い

「なんか怖いね」

 楽しそうに食事をしていたメロンがしゃべりだした。お皿にはまだ少し、ご飯粒はんつぶが残っており、それを必死にスプーンですくっていた。


「ほんとですよね」

 アンコはオムライスをきれいに完食した。お皿にはご飯粒が一粒も残っておらず、きれいに食べ終えていた。育ちが良いのか、食べ終わった皿はきれいなものだ。それと同時に自分の皿とメロンの皿を炊事場に持っていき、慣れた手つきで洗い物を始めた。



「かなり危険かもしれないね」

 オータムも同じ事を考えていたのだと少し安心していた。この間行った造幣局ぞうへいきょくといい、アンコを連れ出し、指名手配にもなりそうになったことを考えると、これ以上進むのは命の危険を感じていた。


「かなりね」

 オータムは付け加え、どこか確信を持っているかのような面持ちだった。まだ、オムライスを完食しておらず、たまごとごはんの残った量は同じくらい。丁度ちょうどいい配分で食べていると感心した。


 俺の皿を見るとご飯だけ大盛にした影響もあったが、たまごはすでに食べつくし、ごはんだけが大量に残っていた。仕方がないので、ご飯をかけこんだ。


「誰かに相談したほうがいいのかな。保安区の人とか」

 メロンはそうは言ったものの、そこまで怖がっているようには見えない。アンコ一人に皿洗いをしてもらうのは、悪いと思ったのか途中から洗い物を手伝った。



「いや。保安区が一番危険だ。中央区の手下感もあるし。万が一オズワルトにつながっていたら、わざわざこちらから捕まりに行くようなものだよ」



 オータムはさとすように言った。

「……俺たちだけで行くしかねえってことだな?」


 俺が発した言葉には誰も反応しなかった。それがたまたま聞こえないだけなのか、行きたくないという意思表示だったのかは分からなかった。


 

しばらくの沈黙の後。


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