第25話  おちた金のペンダント

俺はカードを片付けだした。時間を見た後にもっと早く打ち切ればよかったと後悔しながら、トランプを箱の中におさめて、立ち上がった。


「そうね。アンコは私の家に泊まって!」

「ありがとうございます!」

 いつの間にかアンコとも打ち解けていた。


 トランプなどのゲームは不思議なもので、人間関係を作ってくれる道具だな。昔も今のようにみんなでワイワイして遊んでいたのだろうか。


「あ! 金のペンダント落ちているよ?」


 メロンがアンコの足元を見て言った。アンコは問いかけが聞こえてないようだった。


 そのペンダントはロケットペンダントになっており、ペンダントには、船のいかりの印が刻まれていた。

 そのチャームは開閉式かいへいしきで、中に写真が入っているようだった。それを開けたメロンが目を細めて見ていた。



「え!」と声をらし、静かにアンコに返していた。

「あ! ごめんなさい!」

 

 ペンダントを落としたのに気づいたアンコは謝りながら大切そうに受け取っていた。裕福ゆうふくな家の子だと思っていたが、やはりそうなのだろう。


 今の時代でこんなに高価な物を持っている人はなかなかいない。3人と別れた後、俺は床に寝転んだ。アンコも仲間に加わってくれたし、安心してひとりで図書館を目指せると考えていた。



 学生時代、一緒に行動していた友達グループは卒業したら、連絡を取ることさえなくなった。その時のグループでは、俺が抜けたら解散してしまうだろうと気をつかっていた部分があった。


 本当の意味で心を開いてなかったのだろう。その時から学生時代だけの関係性だと分かっていた。

 


 本物の仲間とは、俺がいなくても大丈夫だろうという信頼関係がある人間同士でないと成立しないと確信していた。


 別に俺がいなくても、あいつらならやっていける。そう確信していた。


「あいつらを巻き込むことはできないぜ」

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