第10話 〇?

2階の通路を歩いていると、先に明かりが見えた。通路はせまくなり、3人横並びに歩くことは困難こんなんだ。


 俺たちは明かりが見える方向にゆっくりと歩いていった。気が付けば、メロンとオータムは後ろにいて、俺を先に行くようにうながしていた。本当は後ろを歩きたかったが、メロンが俺の上着をつかみ、逃げられないように抑えていた為、仕方がなく先頭で進む。


 次第しだいにその明かりの正体は何なのか分かってきた。


 天井には「ここが見学スペース」と書かれた看板がり下げられていた。そばにある壁には「ここから1階を見下ろしてください」と説明書きが貼られていた。



 通路は片方側がガラス張りとなっており、通路から見下ろすことができる。光は間違いなくそこからきている。


「あ! なんかいる! こっちにきてよ!」


 メロンは声を上げた為、オータムは急いで口を閉じさせ、身をかがませた。ガラス張りの通路にはしゃがみ込めば、身をかくすことができる壁がある。


「こちらから向こうが見えるときは、大体向こうからも見えてるからね」


 オータムはジタバタしているメロンを必死に説得していた。


 1階では白い防護服ぼうぐふくを着た人が大勢いることがわかった。非日常的で奇妙きみょうな光景だ。建造物に侵入禁止と書かれているにもかかわらず、人がいる。


 やはり、おかしい。


 再度、慎重しんちょうに1階をのぞき込みと、大きな看板があり「工場ライン」と書かれていた。 この工場ラインに置いてある機械たちは音を立てて、稼働かどうしていた。そこには白色と黒色の防護服を着た人が何十人も働いているようだった。



 大きな1階の部屋では、二分割されている。一方では紙が印刷されているようで、もう一方ではコインが音を立ててきれいな円形のコインとして大きな袋の中に入っていく。 


 当然、なぜこの工場が稼働しているのか、何の為に稼働しているのかといった疑問が脳裏のうりによぎっていた。メロンとオータムも呆気に取られていた。



 「博士の残したメッセージの〇はこういうことか」とつぶやいた。俺はその言葉を聞き、オータムの方を見ようとすると。




【お昼の時間になりました。皆さん食堂に集まってください】


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