第35話

「このテストわかりますか?」

「あ、ああ。数学のテストだろ?」

「桑原君は満点だったみたいね」

「そうだよ。まさかそれを疑ってるのか?」

「ええ」

「ふざけんな!何で満点取ったら疑われるんだよ」

「おかしいのよね」

「何がだよ!おかしいのはお前の頭だろ?」

「最後の問題。問題に対して答えが途中から他の問題の答えになってるのよね」

「...は?」

「順位が出た時にはまだ訂正はされていない。それにも関わらず、桑原君の名前は数学の満点者として記されていた」

俺がテストを返された際は全て0点と記されていた。そんなテストに対して自分の間違いを確認しようとも思わなかったため気づかなかった。

「......知らねーよ。俺のテストなんてもう無いんだから証拠はない。残念だったな」

「先生。お願いできますか?」

「持ってきたけど。大変だったんだからな?先生に頼んで理由も詮索されて、もし違ったら僕の責任になるわけだし、話し...」

「ありがとうございます」

「えー...」

先生の愚痴を軽々と躱し、話を進めていこうとする。

普段俺の話も聞こうとしないので憐むこともない。

「これは桑原君含めた4人のテストでいいかしら?」

「...ああ、そうだよ」

四人が一斉に顔を合わせ、渋々と首肯する。最後の問題を注意深く確認してみると、実際の答えはわからないが、最後の問題の四人の回答は全員揃っていた。

「そして、これが訂正される前と後のテスト解答」

筆跡が全てを表していた。

四人の解答は訂正される前と一字も違わず適合している。

「制作した先生が仰るには、解答三行目から別の問題を見てしまったようね。訂正後のこの問題正解者は一人。しかも該当する人物は0点。それでは誰も発見できないわよね」

別のページから俺の解答コピーを差し出される。確かに俺の答え通りだ。

「あなたたちに確認しておきたいけれど、問題に沿って解いていると、いきなり問題が変化することがあるのかしらね?」

「......」

「最後に、件の問題の発端は桑原くんたちで合っていますか?」

「知らねえよ」

その言葉と同時に透百合の表情が崩れた。

「あなたたちが是認しようが否定しようが証拠は揃っています。もう一つ朽葉さんたちにお願いできるかしら?」

入ってきたのは、何日か前に藤桜が話しかけた三人だった。鍵を盗んだのを見た女子たち。

「アナタたちも見たのよね?」

「はい。この三人で実際に見ました」

「どういうことだ!てめーら...よくも...お前たちだって」

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