第41話
「さすがは学年元1位。嘘も上手いもんだな」
「とんだ皮肉を言ってくれるじゃない」
今朝、新しく順位表が掲示されていた。
1位 796点 茜澤拓真
2位 768点 透百合礼華
3位 678点 藤桜翡翠
現代文で4点落としたのみで2位に圧倒的な差をつけていた。
もちろん、桑原たちは不正として処分され全員400位、正確には順位は無くなった。
ここに座っている三人が上位三位だというのが傍から見れば驚かれるかもしれない。
しかもその内二人がEグループ。
上のグループにとって見れば、やんごとなく気に入らないことであろう。俺らを射る視線は嘲侮でなく嫌悪に近い。
その様子はいかにも滑稽なことだ。
これで樫谷と藍水が最下位に近い総合点数を取らない限り、マイナスになることもない。
先程聞いておけばよかったが、話が逸れていき聴けず仕舞いだった。
「事実、私一人で解決したわけでもないし」
「どういうことだ?」
「先生も手伝ってくれたのよ...あ、言う必要はなかったか」
「は?」
耳を疑った。あれほど俺に対し興味を持たず、信用しようとも思わなかった薄情な人間が、手伝うわけがない。
桑原たちの味方に付くとも思っていたくらいだ。
「黙ってるように口止めされていたんだけど。仕方ないわね。先生も桑原君たちを疑っていたらしくて、私と協力したのよ。最初は乗り気ではなかったが言いくるめてあげたわ。といっても強制したのだけれど。個人のテストのコピーなんて私が用意できるわけでもないし」
「信じられない」
「あの面倒くさい正確だものね。今私が言ったことは絶対に先生には内緒にしておいて」
「ああ...わかった」
あれだけ冷たくあしらっておいて、陰で動いていたのか。多少見方は変わった。
それよりも透百合が怖すぎる。先生まで手玉に取って行動するとは恐るべし女だ。
「それにしても良く桑原と決め付けたな。テストの件、もし桑原が不正でなかったら先生とお前が処分されていたかもしれないぞ?」
透百合が先生が喋っている途中で遮ったが、いくら先生と言えども、生徒のテストコピーを持ち出すのは問題だ。
不正発覚のために欲しいと言ったのだろうが、もし違った場合どうするつもりだったのだろう。
「その時は全て先生に責任を押し付けるつもりだったわ」
「うわ、下衆すぎるな」
「半分冗談よ。一応証拠となる答えを見ていたから」
「半分は本気なのか...証拠ってどういうことだ?」
「私も居たのよ。私たちが戻った後、桑原君の弁論を」
「いや、お前らは戻ったろ?残り三人を連れて」
俺たちとA グループ三人とやり合った後、透百合が全員を連れて戻っていった。その後桑原たちが隠れ出てきたわけだ。透百合が知るわけない。
「戻ったフリをしただけよ。三人とも歩けたから、大丈夫だと思って。あの時あなたたち以外に気配がしたから気になったのよ。茜澤君もそれを知って残っていたのでしょう?」
「.......ああ」
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