第44話

「1900ポイントから600を引いて、1300ポイントだ。残念だが現状維持ということになる」

結果など分かってはいたが、その瞬間膝から崩れそうになってしまった。

「ショック!!」

魂が抜けたかのように瞬き一切せず、藍水が固まっている。

態々声に出してまでショックを受けているほどの阿呆加減。

「僕もびっくりだよ。二人がトップをとっていて、昇格できないのは。普通ないことだからね」

嘲笑うわけでも落胆するわけでもなく、何も感情がないように告げてきた。

そんな先生の言い方はどうしてか、心地よく感じてしまった。

「それともう一つ、こちらが本命だ」

「これ以上何も聞きたくないんですけど」

そんな樫谷の引き留めには応じない。

「桑原君たちのことだが、処分は君たちが決めてくれとのことだ」

「は?」

どういうことだろう。桑原たちはそのまま退学だと勝手に考えていた。俺たちに決めさせる意味がわからない。

「君たちが今回の件に対して宥恕があるなら、退学は免れる。看過できないのであれば、即刻退学なるわけだ。特に茜澤君、一番の被害者として決めてくれ。ここに残るとなっても一年間はEランクへ降格だ」

「...俺はどっちでも良いですけど。残れば良いんじゃないですか?」

1年の間は権威に託けて、俺らに突っかかることもない。

結局俺らと同じランクであれば同等だろうが、少なくともあいつらの信用は落ちているので、何かあっても、俺らの有利には違いない。

「え?良いの?アタシは反対なんだけど!だつてアタシたちが退学になりかけたんだよ?」

「まあ、そうだが」

「翡翠ちゃんだって許せないよね?」

「私は茜澤君が良いなら良いよ?」

「え〜?じゃあ晃くんは」

「オレも茜澤にのるよ」

樫谷も賛成してくれる。てっきり、俺の意見には不満を持つかと思っていた。

畢竟、俺からしてもどちらでも良いので、退学の票が多ければ多数意見に従うつもりだ。

「えーー普通逆じゃないの!?何かアタシが悪者みたいになってない?」

「てっきり退学希望にするかと思っていたよ...わかった。対処はそういうことにしておく」

それでも先生は納得はいかないのか、一瞬だけ俯いた後に再び問いかけてきた。

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