第45話

「最後にもう一度だけ。本当に良いんだね?」

「はい。これでまた何か吹っかけてきたら、次は容赦しませんよ」

「アタシの意見は完全スルーなんだ...」

落ち込みながら独りごちている。

俺が決めることになってるのだから当然だ。

しかし俺も意外な結果になったことに驚いている。

自身にここまで怒りがないというのも不思議だ。

「話はこれで終わり。帰っていいよ」

そのままドアを開けて教室を後にしていく。短時間だった筈なのに議論を交わしたような疲労感が残っている。

残された俺たちは数秒間黙っていたが、藍水がまた喧しく口を開いた。

「あれだね。結局!Eランクのままになっちゃったけど、頑張ろう!」

「お前がな」

「そ、そうだけど...拓真君もだよ!」

「何でだよ...まあ主に藍水が昇格チャンスの阻止に対して大活躍してくれたな。ありがとう」

「どういたしま...いや、全然嬉しくないんだけど!本当嫌味が効いた言い方してくるよね!」

「ありがとう」

「褒めてないっての!」

同時に左から握り手が何回も飛んでくる。肩にポカポカと殴打されるが全く痛くない。

これ以上居ても、藍水の怒りのボルテージが上がっていきそうだ。

「ちょっと用事あるから帰るわ」

「逃げたーーーー!」

藍水の大声を後ろに先生を急いで後を追いかける。

本当に足が早い。すぐ追いかけたつもりだったが、どこにも見当たらなかった。

急ぎの用事ではない。明日にでも話をしよう。

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