第43話
好戦的な表情を見せて立ち上がった。
「藤桜さんもまた会いましょう」
微かに笑みを浮かべると、髪を翻しながら、颯爽と立ち上がり場を後にしていく。
透百合の跡を追いかけるように突風が吹き荒れた。
姿が見えなくなると同時に授業開始のチャイムが鳴り始める。
次の授業はあの先生の授業だ。
俺たちは顔を合わせると、伝心したかのように揃って急ごうともせず、ゆったりと教室まで足を運んだ。
放課後を迎えると先生から召集がかかった。
今日一日で問題行動を俺は起こしていない。
悪い情報ではないと思うが、先生の表情から読み取ることはできず、どうして呼ばれたのかは分からないと構えてしまう。
「あー、一応君たちの評価が改めて決まった」
順位表とは別に昇格降格の評価のことだろう。
「明日掲示されるが、君たちにはもう一個聞きたいことがあってね」
「拓真くんと翡翠ちゃんがトップなんだから、相当ポイント貰えるんじゃない?」
藍水が嬉々として語っているが、先生は一切表情を変えない。
面倒くさいと脱力しているだけではあるだろうが、固唾を飲む。
何よりも評価とは別のもう一つが気になって仕方がない。
「茜澤が1位で1000ポイント。藤桜が3位で900ポイント」
この時点ではDランク昇格にはなる。
「やったーこれで昇格じゃない?」
藍水は昇格すること前提で喜んでいるが、自分を忘れていないだろうか。
「まだお前らの分があるだろうが。馬鹿なの?」
「あ...そうか...って別に馬鹿じゃないし!馬鹿っていう方が馬鹿だもん!」
「俺は一位だ」
「そうだった...でも馬鹿は馬鹿なんですー」
「どういう理屈だ」
どうしても俺を馬鹿扱いにしたいらしい。
確か二人の順位は200位より下だった筈だ。少なくともマイナスになることはわかっている。
これが400ポイントまではDランクに昇格できるわけだが。
「まず樫谷が250位 マイナス100。そして藍水は390位、マイナス500。併せてマイナス600だ」
「なら...何ポイントですか?」
緊張した面持ちで藍水が祈っている。
だが祈るまでもない。もう答えは出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます